「不記載」ではなく「誤記載」を主張する菅家一郎氏

10増10減で区割り変更の福島県

次回総選挙から福島県の小選挙区は5から4に1つ減ることになります。次の表には市のみ掲載しました。

1区福島市、相馬市、南相馬市、伊達市福島市、二本松市、伊達市、本宮市
2区郡山市、二本松市、本宮市郡山市、須賀川市、田村市
3区白河市、須賀川市、田村市会津若松市、白河市、喜多方市
4区会津若松市、喜多方市いわき市、相馬市、南相馬市
5区いわき市
▲福島の小選挙区

新3区は、会津から県南の白河まで含む広大な選挙区です。この新3区から出馬を予定している比例復活の現職議員が菅家(かんけ)一郎氏です。菅家氏は、4日の党紀委員会による処分に先立ち、自分は「不記載ではなく誤記載だ」という旨を発言しています。

主張したいことがあるのなら政倫審に出て弁明すればよかったわけで、処分されそうになってからグズグズ言い出すのもどうかという気もします。今からでもウェルカムです。

「不記載と誤記載をしっかり分け、金額ではなく取り扱いを丁寧に見てほしい。私は不記載ではなく誤記載なので(対象者の)リストに載っていることは非常に不満だ」と語った。

産経新聞>自民・菅家一郎氏、党の処分基準に「非常に不満。不記載と誤記載は分けてほしい」 2024/4/1 21:01

寄付か借入か個人パーティーかで収入に計上していたのだから不記載ではなく、全額繰越の完全不記載組とは区別して処分しないでほしいということなのだと私は理解していましたが、どうもそういうわけでもないようです。

2020年は不記載

自民党アンケでは菅家氏の不記載額は5年間で1289万円です。4月4日に下された処分は半年間の役職停止でした。

2018293万
2019318万
2020104万
2021574万
20220
5年計1289万
▲菅家氏の不記載額

「自由民主党福島県第四選挙区支部」の2020年収支報告書は1月31日付で次のように訂正されています(福島県選管がWeb公開したのは3月22日です)。

2020(1/31付で訂正)訂正前訂正後増減
収入総額25,279,16326,319,1631,040,000
(前年からの繰越額)4,111,1564,111,1560
(本年の収入額)21,168,00722,208,0071,040,000
支出総額19,922,10219,922,1020
翌年への繰越額5,357,0616,397,0611,040,000
「自由民主党福島県第四選挙区支部」収支報告書(令和2年分)

104万円を全額繰越しており、支出に関する追加記載はありません。これは完全無欠の不記載パターンです。一方、前年からの繰越額はありませんので、2019年までの分は処理済みということのようです。

2021年の収支報告書では繰り越された104万円分が減額されています。

2021(1/31付で訂正)訂正前訂正後増減
収入総額57,923,93157,923,9310
(前年からの繰越額)5,357,0616,397,0611,040,000
(本年の収入額)52,566,87051,526,870-1,040,000
支出総額54,001,97954,001,9790
翌年への繰越額3,921,9523,921,9520
「自由民主党福島県第四選挙区支部」収支報告書(令和3年分)

自分の寄付を減額訂正

これだけではさっぱりです。この年の収入は次のように訂正されています。

収入の訂正
「自由民主党福島県第四選挙区支部」収支報告書(令和3年分)

訂正前と訂正後を比較すると、個人からの寄付が678万円のマイナス、政治団体からの寄付が574万円プラスです。

2021訂正前訂正後増減
個人からの寄付15,614,4708,834,470-6,780,000
政治団体からの寄付2,210,0007,950,0005,740,000
「自由民主党福島県第四選挙区支部」収支報告書(令和3年分)

678万円減額された個人からの寄付とは、菅家氏自身からの寄付です。

自分の寄付を減額
「自由民主党福島県第四選挙区支部」収支報告書(令和3年分)

追加記載された574万円はもちろん清和政策研究会からの寄付になります。

清和研の寄付が追加記載
「自由民主党福島県第四選挙区支部」収支報告書(令和3年分)

678万から574万を引き算すると104万円になります。これは2020年の繰越分です。結局、2年分を一括して精算したわけです。したがって、2021年については不記載ではなく虚偽記載となります。収支報告書は単年ごとに提出すべきものです。

678万円がそのまま寄付として計上されているのなら「記載」と言えなくもないのでしょうが、そこに自分の22万円を混ぜて700万で計上した以上、単純な誤記ではない明確な意思が感じられます。「誤記載」ではなく虚偽記載です。ちなみに、山谷えり子氏は「記載」という独特の表現を用いています。

2021年の派閥パーティーは選挙後の12月開催なのに、キックバックは選挙前の9月に行われたようです。当然でしょう。そうでないと意味がありません。

なお、菅家氏の2022年収支報告書は新選挙区対応で「自由民主党福島県第三選挙区支部」になります。繰越ゼロですので訂正されていません。

会津家庭教会

去年の12月には菅家氏は次のように語っていました。この時点では「誤記載」に気づいていなかったのかもしれません。

菅家(かんけ)一郎議員=比例東北ブロック選出、4期=は取材に「地元には適正に対応していると伝えている」と自身の潔白を強調。

東京新聞>裏金疑惑で萩生田光一政調会長が辞任の意向…地元で怒り沸騰「説明責任果たせ」、自民市議も「危うい」
2023年12月13日

さて、菅家氏は旧・統一教会(統一協会)との自民党「点検」では、関連団体の会合に本人出席して挨拶したということで氏名公表されています。共同通信や朝日新聞のアンケートでは「接点なし」でしたが、記録が見つかったようです。

2019年に郡山市で開かれたイベントに「復興関連事業だと思い出席した」とのことです。教団には復興局という部署がありますが、震災からの復興関連のイベントは東北では多いようです。

会津若松市には会津家庭教会があります。実は、この教会に関しては画像情報がありません。教団サイト記載の住所「会津若松市真宮新町南4丁目106」はこの建物です。表札類は見当たりません。

会津家庭教会

Googleマップではヒットしませんが、マピオンでは「世界基督教統一神霊会会津会」(ママ)として表示されます。車の数からして一般の民家とは思えません。

菅家ビル

菅家氏の会津事務所は会津城址近くの市街地ですが、教会は会津大橋の先ですから車でも10分では行けません。

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