大阪や東京の第3波が長期化しそうな深刻な背景

北海道がピークアウトしています。1週間単位の新規陽性者の推移は次のとおりです。NHKの特設サイトから感染者数を拾いました。

北海道の新規陽性者

東京の「新型コロナコールセンター相談件数」とモニタリング指標の1つである「#7119における発熱等相談件数」に着目してみました。月別の件数です。「相/陽」は陽性者1人当たりのコールセンター相談件数、「#/陽」は陽性者1人当たりの#7119の相談件数です。

相談件数#7119陽性者相/陽#/陽
3月19,5522,21248940.04.52
4月45,4322,9053,74812.10.78
5月30,5972,14695732.02.24
6月16,3301,60899416.41.62
7月40,3302,2426,4646.20.35
8月29,8122,3648,1253.70.29
9月18,5271,7024,9183.80.35
10月12,3851,6655,3502.30.31
11月14,1641,8079,8571.40.18
▲陽性者1人当たりの相談件数の推移(東京)

陽性者1人当たりの相談件数は下降線まっしぐらです。これが第3波への対応を難しくしています。相談件数が少ないということは、少し異変を感じた程度では病院を受診しないということになるはずです。感染力を伴う無症状者はかなり多いだろうということは容易に想像できます。

大阪も同様の傾向です。大阪では第2波の新規陽性者のピークは1日130人程度でした。第3波のピークは288人です。第3波の相談件数は第2波に及びません。第1波や第2波で相談が多かったのはやはり小学生以下だったのでしょうが、危機感は確実に薄れています。

大阪の新型コロナ相談件数の推移
大阪市>新型コロナウイルス感染症 発生状況

もうマスク・手洗いや三密回避では何も響かないわけです。大阪も東京も感染拡大のペースが鈍っているだけで、北海道のように減少に転じているわけではありません。

先日の総理会見では外国人記者から次のような質問がありました。

(記者)
 フランスの公共ラジオ局のラジオ・フランスの特派員、西村と申します。
 GoToトラベルについての質問をします。GoToトラベルキャンペーンを強く推進する自民党の二階幹事長は全国旅行業協会の会長として務めていますが、結果的に他の業界に比べて自民党はこのトラベル業界を優遇するのではないかと思う国民はいると思われます。その点について、総理の御意見を聞かせてください。

首相官邸>12月4日 菅内閣総理大臣記者会見

二階氏だけがGoToの旗を振っているのではなく、公明党はバラマキが大好きです。1999年の地域振興券や2009年の定額給付金でも積極的に関与しています。なによりもインバウンド政策を推進してきたのは菅氏自身です。オリンピックを契機に観光立国を目指すはずでした。

来賓として出席された菅内閣官房長官からは、「2020年4000万人が完全に射程に入った。国際観光旅客税を活用して、世界一番の観光立国になるように政府も皆さんをしっかり応援させて頂きたい」とのご挨拶を頂きました。

観光庁>「観光立国新春交流会 -訪日外国人旅行者4000万人に向けて-」を開催しました!(19/1/22)

2019年の訪日外国人数は31,882,049人です。2020年は4000万人どころか10月末でようやく400万人に届いたところです。五輪に合わせてオープンしたホテルが宿泊療養施設として使われたケースもあります。

煽られて設備投資したホテル業界は見事に空振りして、菅氏は突き上げられる立場にあるわけです。そう簡単には旗を降ろさないだろうというのが私の見立てですが、だからこそ、もっとも効果的な一手はGoToの一時停止ということになります。

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