昨日(12月9日)の日本医師会・中川会長の記者会見で次のような応答がありました。
記者 会長が前におっしゃられていた「勝負の3週間」がまもなく終わります。ですが一方で、今日も東京で感染者が572人確認されたりですとか、医療体制が大きく逼迫していたりですとか、今後師走に向けてどのような対策が必要だと思われるかということを改めてお伺いしたいです。
中川会長 「勝負の3週間」は私が言ったんじゃなくて、あれは西村大臣がおっしゃったんだと思いますが、私は師走が正念場と最近は申し上げています。
(You Tube)ANNnewsCH>【ノーカット】感染急拡大でひっ迫する医療体制 日本医師会会見
これはずいぶん失礼な質問です。「勝負」なら勝つこともあれば負けることもあるわけです。「神のみぞ知る」の西村氏のことですから、負けることも想定しているのかもしれませんが(負けたときの対応を考えているとは思えませんけど…)、医師会の会長が「勝負」にたとえることはないでしょう。イチかバチかの勝負をしてもらっては困るわけです。負けていいはずがありません。
第1波のときの専門家会議は7月3日に廃止され、経済分野の専門家を加えた分科会が新設されました。分科会は西村大臣の所管ですが、厚労省の助言組織「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」は、ほぼ旧・専門家会議のメンバーと重なります。
東京がGoToに加わったのは10月1日です。10/13の第10回アドバイザリーボードの「直近法感染状況」は次のとおりです。まだ「留意が必要」の段階です。
新規感染者数は、4連休後の9月末頃より増加のみられる地域がある。また、散発的なクラスターの発生など、地域によっては様々な動きがあり、今後の感染拡大の動向に留意が必要。
とりわけ、8月最終週以降、東京、大阪、北海道、沖縄の実効再生産数は1をはさんで前後しており、全国的にみても直近で1を上回る水準となっており、留意が必要。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(10/13)
10/22の第11回では「微増」の文言が入ります。
新規感染者数は、全国的に見ると、 8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいから微増傾向となっており、感染の「増加要因」と「減少要因」が拮抗していると見られる。
多くの都道府県で大幅な増加がみられない一方で、急激な減少もみられない状況は続いているが、感染が高止まりしている地域や、増加がみられる地域、地方都市における繁華街や接待を伴う飲食店を起因とするクラスターの発生などが生じている。
実効再生産数は、東京、大阪、北海道、沖縄などで1をはさんで前後しており、直近1週間の平均は1を超える地域が多い。全国的には、1に近い水準が続いている。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(10/22)
10/28の第12回では「人の移動が活発化」の指摘があります。
新規感染者数は、全国的に見ると、 8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいであったが10月以降微増傾向がつづいている。特に、北海道や東北・北関東の一部、沖縄などを中心に増加がみられる。その背景としては、首都圏で感染が減少の動きとならないことや、クラスターの発生等で感染者の増加が見られる地域があることが考えられる。また、人の移動が活発化していることにも留意が必要である。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(10/28)
11/11の第13回では明確に「増加」です。
新規感染者数は、全国的に見ると、 8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいであったが10月以降増加傾向となり、11月以降その傾向が強まっている。特に、北海道や大阪、愛知を中心に増加がみられ、全国的な感染増加につながっている。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(11/11)
11/19の第14回では「厳しい状況」ですから、本来はここで政府としての動きがあって然るべきです。中川会長が我慢の3連休を呼びかけたのは11/18の定例会見でした。
新規感染者数は、11月以降増加傾向が強まり、2週間で2倍を超える伸びとなり、過去最多の水準となっている。大きな拡大が見られない地域もあるが、特に、北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られ、全国的な感染増加につながっている。感染拡大のスピードが増しており、このまま放置すれば、更に急速な感染拡大に至る可能性があり、厳しい状況が続いている。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(11/19)
11/24の第15回は「医療提供体制と公衆衛生体制に重大な影響を生じるおそれ」と深刻さは増しています。
新規感染者数は、11月以降増加傾向が強まり、2週間で2倍を超える伸びとなり、過去最多の水準となっている。大きな拡大が見られない地域もあるが、特に、北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られ、全国的な感染増加につながっている。地域によってはすでに急速に感染拡大が見られており、このままの状況が続けば、医療提供体制と公衆衛生体制に重大な影響を生じるおそれがある。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(11/24)
翌25日に西村大臣の「勝負の3週間」発言があり、急展開で東京と名古屋の時短要請が決まっていきます。ここで露わになったのは、協力金の問題があり政府がOKしないと時短・休業要請は出せないということです。したがって、市長は異論を唱えているのに名古屋の一部に時短要請がかかるという泥縄対応になります。
12/3の第16回では「移動歴のある人による2次感染」が指摘されています。
新規感染者数は、過去最多の水準が続いており、引き続き最大限の警戒が必要な状況。特に、北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に連日多数の新規感染者数の発生が続いている。
感染者の検知が難しい、見えにくいクラスターが感染拡大の一因となっていることが考えられる。20−50才台の社会活動が活発な世代で移動歴のある人による2次感染がその他の世代と比べ多くなっており、こうした世代では感染しても無症状あるいは軽症のことが多いため、本人は意図しないまま感染拡大につながっている可能性がある。
厚労省 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード>直近の感染状況等(12/3)
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