日本相撲協会が初場所に備えて1月8日に878人の協会員にPCR検査を実施したところ、そのうちの5人が陽性だったと報道されています。878人で陽性者が5人なら0.57%です。これは市中感染率そのものです。東京の人口を1382.2万人として計算すると、その0.57%は78,785人になります。
東京の累積陽性者数は1月9日現在で73,450人です。682人の死亡者と55,542人の退院・回復者を引き算すると、アクティブの陽性者は17,266人となります。入院中が3,119人、ホテル療養が1,000人、自宅療養が6,370人、調整中が6,737人ですので、この合計が17,266人です。
78,785人から17,266人を引き算すると約6万人です。東京には把握されていない陽性者が6万人ほどいるはずです。この約6万人の大半は無症状者であり、その中の約2割が感染力を持つと言われているわけです。6万人の2割は1万2000人です。1万2000人は東京都の人口の1150人に1人です。
ということは、1日50人との接触があるとすれば、23日間のうちに感染力のある感染者の誰かと接する計算になります。もちろん、まだそのレベルなのだと言えないわけでもありません。
直近1週間の人口1万人当たりの感染者数が2.5人を超えているのは、1月9日現在で13都府県です。10万人当たりなら25人で第4ステージ相当です。7日時点では9都府県でした。事態は急速に悪化しています。
県 | 直近 | 陽性率 | 実効6 | 実効7 | 実効8 |
北海道 | 1.75 | 6.1% | 0.92 | 0.88 | 0.96 |
茨城 | 1.92 | 9.3% | 1.24 | 1.46 | 1.61 |
栃木 | 3.99 | 16.0% | 1.58 | 1.52 | 1.61 |
群馬 | 2.02 | 8.6% | 0.99 | 1.13 | 1.42 |
埼玉 | 3.66 | 9.1% | 1.09 | 1.10 | 1.24 |
千葉 | 3.78 | 22.7% | 1.13 | 1.55 | 1.42 |
東京 | 8.36 | 17.3% | 1.22 | 1.27 | 1.45 |
神奈川 | 4.89 | 18.3% | 1.11 | 1.11 | 1.19 |
山梨 | 1.76 | 8.1% | 2.16 | 0.87 | 1.54 |
岐阜 | 2.71 | 8.2% | 1.21 | 1.17 | 1.17 |
愛知 | 2.88 | 24.0% | 0.95 | 0.96 | 1.05 |
滋賀 | 2.12 | 8.3% | 1.12 | 1.21 | 1.29 |
京都 | 3.12 | 11.7% | 1.32 | 1.65 | 1.02 |
大阪 | 3.86 | 8.8% | 1.17 | 1.26 | 1.41 |
兵庫 | 2.91 | 11.6% | 0.94 | 0.97 | 1.13 |
奈良 | 1.72 | 6.7% | 1.00 | 0.94 | 0.99 |
岡山 | 1.92 | 17.6% | 1.23 | 1.41 | 1.50 |
広島 | 1.69 | 5.1% | 0.81 | 0.83 | 0.74 |
福岡 | 3.56 | 9.2% | 0.99 | 1.21 | 1.48 |
長崎 | 2.16 | 6.3% | 1.15 | 1.39 | 1.39 |
熊本 | 2.46 | 12.6% | 0.88 | 0.76 | 1.10 |
宮崎 | 3.79 | 14.1% | 4.18 | 2.32 | 3.79 |
沖縄 | 2.64 | 8.2% | 1.12 | 1.11 | 1.16 |
「直近」は直近1週間(9日まで)の人口1万人当たりの感染者数、「陽性率」は直近1週間の陽性率、「実効6」~「実効8」は東洋経済オンライン掲載の実効再生産数(6日時点~8日時点)です。陽性率は厳密なものではなく、県同士の比較にはなじまない場合がありますが、悪化していることは事実です。
この状況下で関西3府県が正式に緊急事態宣言の適用を求めたのは当然のことだと私は理解しています。西村大臣からは来週末まで様子を見て分析する旨の返答だったようです。首都圏の場合、2日に求めて8日午前0時から始まりました。「はい、そうですか」で通る性質のものではないとしても、このスピード感の欠如には呆れるしかありません。
北海道と大阪はモルモット役でした。北海道と大阪で成果が見えたから東京もそのパターンを踏襲すればいいというロジックだったはずです。総理の年頭会見では北海道と大阪の話が2度出てきます。
北海道、大阪など、時間短縮を行った県は結果が出ています。東京といわゆる首都3県においては、三が日も感染者数は減少せずに、極めて高い水準であります。
北海道、大阪など、これは時間短縮、こうしたことを行った県では効果が出て、陽性者が下降してきております。ただ、東京とその近県3県が感染者が減少せずに高い水準になっているということもこれは事実であります。
首相官邸>菅内閣総理大臣記者会見(1/4)
大阪も北海道も上昇に転じているわけですから、そのパターンでは限定的な効果しかないことが証明されてしまったのです。ということは、東京も1か月後に成果が出るとはまず期待できません。それでも、関西でやらないよりはマシです。抑えられれば早く解除すればいいだけのことです。
重傷者用の病床使用率は全国で35%に達しています。もはや重症患者の地域間移動を促す余地は限りなく少なくなりました。あとは病床そのものを増やせるかどうかですが、病床があっても医師数が少ないのが日本です。いくらベッドを揃えても誰が診るのかという問題は解決しません。
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