20万円のささやかな協力金と都道府県別ICU病床数

百貨店への協力金が20万円とか

日本百貨店協会が公表している2021年1月期の「全国百貨店売上高概況」です。

日本百貨店協会>百貨店売上高概況(2021/01)

ちょっと表計算ソフトのお世話になります。

3265億円
196店舗
16.658億円/店
0.555億円/店/日
0.002億円(協力金)
▲すずめのナミ…

196店舗で3265億円ですから、1店舗当たり16.6億円です。元旦は営業していないものとして30で割りました。1日1店舗当たりで0.55億円です。第4波の休業要請に応じたときの協力金は1日20万円ということです。単位を揃えると0.002億円です。テナントに1日2万円ということですので、実際には0.002億円ではありませんが、お話にならないことに変わりはありません。

第1波のときは緊急事態宣言前に営業自粛要請があり、4/7の宣言発出以前にカラオケ店などは休業しています。協力金は宣言時には決まっていませんでした。期間50万円の協力金が決まったのは4/10です。同時に営業自粛要請が休業要請に切り替えられます。先に自粛を求めていたため、宣言の発出にもたついたとしても影響は少なかったわけです。

今回の政府は「緊急」時であるにもかかわらず、すっかり平時の対応に終始しています。関西が逼迫しているのに東京に合わせて出し渋った結果が1日20万円、こんな国に居たくないという思いがますます強くなります。

東京の重傷者数についての誤解

4/22放映のTBS「ひるおび」で使われたフリップです。

東京と大阪の重傷者数の推移
「ひるおび」東京と大阪の重傷者数の推移

このグラフは必ずしも適切ではありません。東京は人工呼吸器装着患者ECMOを使用している患者を「重傷者」として発表しています。4/20時点の50人はその数値です。大阪はICU入院患者も「重傷者」としています。東京と大阪で基準が違うのはずいぶん前から既知の情報だったはずです。

4月14日時点では東京都は重傷者を「41人」として公表しています。

東京都の重傷者数
東京都>都内の最新感染動向

東京都は厚労省に対してはICU入院患者を含めた重傷者数を報告しており、厚労省はこれを1週間ごとに公表しています。NHKはこの数値を用いていますので「333床」としているわけです。

厚労省基準の重傷者数
NHK特設サイト>病床使用率 全都道府県グラフ

ということは、4/14時点で東京には人工呼吸器を装着していないICU病床入院患者が292人いたことになります。

都道府県別のICU病床数

日本の病床数は人口比で世界一ということですが、ICU病床数や医師数や看護師数がそれに比例して多いというわけではなく、むしろ少ないほうです。精神科病床数だけでは辻褄が合いませんので、やはり病院の老人ホーム化が理由なのかもしれません。いずれにせよ、一般病床だけがいくら多くても医師やICU病床はすぐに増やせるものではありません。

日本集中治療医学会のWebサイトに都道府県ごとのICU病床数の数値がありましたので、ICU病床に対する重傷者数の割合を算出しました。ついでに陽性者数を重傷者数で割って重症率を求めてみました。

重症者即応床確保床ICU床対ICU重症率
北海道2316216222210%2.2%
青森03031640%0.0%
岩手14560343%2.1%
宮城18654314912%2.4%
秋田02724360%0.0%
山形526263514%2.5%
福島1150499112%3.6%
茨城1170701408%2.5%
栃木34646814%1.7%
群馬750746311%2.5%
埼玉3220015531610%1.8%
千葉10180923643%0.9%
東京3685001,0241,09534%6.9%
神奈川281991995385%1.7%
新潟3112112329%1.0%
富山13636363%0.7%
石川1235355024%5.5%
福井12424363%0.9%
山梨12424225%1.5%
長野249491012%0.5%
岐阜45959726%1.5%
静岡267401322%0.9%
愛知151211263584%0.7%
三重1653533447%3.3%
滋賀862496213%2.2%
京都24868615016%2.4%
大阪41822146461568%3.0%
兵庫8912011637824%2.1%
奈良2130306930%2.3%
和歌山740404914%2.0%
鳥取04047260%0.0%
島根02525410%0.0%
岡山1140432365%2.8%
広島170481071%0.5%
山口0137124840%0.0%
徳島725253421%2.1%
香川32626724%2.1%
愛媛83333909%2.1%
高知05758540%0.0%
福岡141101113794%1.3%
佐賀04646480%0.0%
長崎14238642%0.8%
熊本35959834%1.7%
大分14343462%2.5%
宮崎03333720%0.0%
鹿児島048421100%0.0%
沖縄40516313929%3.2%
全国1,2303,6744,2627,10917%2.9%
▲ICU病床数と重傷者率

ICU病床数は2017年度の数値です。重傷者数と重症者用即応病床数、重症者用確保病床数は厚労省の「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果(4月21日0時時点)」から拾いました。「対ICU」は重傷者数をICU病床数で割った数値、行末の「重症率」は重傷者数をアクティブの陽性者数で割った数値です。

岩手や山梨や新潟や鳥取のようにICU病床数より多くのコロナ用重傷者病床を確保している県もあります。埼玉や千葉は確保病床より即応病床のほうが多くなっています。厚労省が集約している確保病床とか即応病床とかは実態を必ずしも反映していないのではないかという疑いがあります。

重傷者数をICU病床で割った数値のほうが逼迫度を正確に反映しているのではないかと思わなくもありません。注目の大阪はICU病床数が615床で4/23現在で即応病床数は284床です。重傷者数は400人を超えており、この1週間で100人以上増えています。

東京の重傷率が6.9%というのは異常です。新型コロナの重症率は2~3%と言われています。ICUに入れなくてもいい患者がICUに入っているだけかもしれませんが、懸念するのは分母に問題がある場合です。東京の検査数はあまり増えていません。

調整中比率

厚労省のPDFからアクティブの陽性者数の内訳をピックアップしました。

陽性者数入院者数宿泊療養自宅療養施設内調整中
東京5,3141,6431,3201,234391,078
大阪13,8981,6641,2118,53002,493
兵庫4,1476934991,28101,674
奈良91927518800456
和歌山3433430000
▲アクティブの陽性者数

陽性者数に占める入院調整中の割合は、東京20%、大阪18%、兵庫40%、奈良50%、和歌山0%です。連日1000人超の大阪はむしろよく捌いているほうで、兵庫や奈良はかなり厳しい状況です。兵庫は調整中が丸3日続くわけですし、奈良も4~5日かかるようです。東京も2日目に決まればいいほうです。

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