三刀屋川の氾濫
島根県雲南市にレベル4の避難指示が出たのは7月12日午前9時30分、レベル5の緊急安全確保は10時35分、斐伊川(ひいかわ)の支流・三刀屋川(みとやがわ)が坂山橋で氾濫危険水位に達したのは午前10時40分です。

越水が報道されているのはピンクの星印付近になります。ちょうど三刀屋川が斐伊川に合流する地点の手前です。赤マーカーはアメダス観測所です。最寄りのアメダス観測所は大東ですが、三刀屋川の上流にあるのは掛合(かけや)です。青マーカーは三刀屋川支流の源流です。
各アメダス観測所の1時間ごとの降水量は次のとおりでした。アメダス斐川は出雲空港です。
掛合 | 大東 | 斐川 | 出雲 | |
6時 | 2.5 | 5.0 | 6.0 | 0.0 |
7時 | 11.0 | 8.5 | 3.5 | 2.0 |
8時 | 1.0 | 6.0 | 10.0 | 11.5 |
9時 | 17.0 | 7.5 | 22.0 | 29.5 |
10時 | 23.0 | 17.0 | 17.0 | 33.5 |
11時 | 65.5 | 24.5 | 15.5 | 52.0 |
12時 | 7.0 | 5.0 | 10.5 | 15.0 |
13時 | 6.0 | 1.5 | 0.0 | 1.5 |
14時 | 1.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
アメダス掛合
雲南市は大東町、加茂町、木次町(きすきちょう)、三刀屋町、掛合町、吉田村の合併により2004年11月に発足しています。雲南市の市名について、市のWebサイトには次のように記載されています。
「雲南」という名称は、旧国名「出雲」の南に位置する地方の意味として、近代(明治)以降使用され、合併前の旧大原郡、飯石郡、仁多郡をあわせて「雲南三郡」と呼ぶなど、古くからこの地方を表す呼び名として定着していました。
雲南市>雲南市の由来
そのため市内には○○株式会社雲南営業所、公立雲南総合病院、雲南消防本部など、雲南市が誕生する前から「雲南」の名称を用いた企業などが多くありました。また地域別天気予報にも雲南地方として採用されています。
1980年代末の総理大臣・竹下登氏は掛合村の出身ですが、アメダス掛合の観測所は掛合小学校の近くです。小学校のWebサイトには次のような記述がありました。竹下酒造は校区内のようです。
2年生は、町探検で竹下酒造様に見学に行きました。お酒のできるまでのことや、お店の歴史につおいて教えていただき、江戸時代からお酒をつくっていることを聞き、子ども達はびっくりして聞いていました。
雲南市立掛合小学校>学習の様子
観測施設のある敷地は道路より1~2m高くなっています。標高は215mとされています。1976年の観測開始です。

2020年の観測値は次のとおりです。日本海側らしく日照時間は少なめです。とりたてて雨の多い地域というわけではありません。
年降水量 | 1957.0ミリ | 556位 | /1293地点 |
年平均気温 | 14.1℃ | 448位 | /922地点 |
年最高気温 | 36.2℃ | 399位 | /922地点 |
年最低気温 | -4.6℃ | 370位 | /922地点 |
年較差 | 40.8℃ | 595位 | /922地点 |
年平均風速 | 1.3m/s | 782位 | /921地点 |
年日照時間 | 1484.4時間 | 699位 | /841地点 |
7月12日11:08までの1時間降水量は69ミリで観測史上1位です。この雨はそのまま三刀屋川を流れていきます。
三刀屋高校の対応
15日の報道では雲南市内の浸水被害は200棟ほどということです。三刀屋川の水位が上がって、三刀屋川に合流する河川が越水したというありがちなパターンのようです。12日当日のニュース映像です。
5:08あたりで背景に見える三谷川橋は赤マーカーです。5:20あたりで生徒が膝までつかって冠水した道路を歩いているのは地図上のカメラ矢印の付近になります。

2015年6月撮影のストビューを埋め込みました。
三刀屋高校(ピンクの丸囲み)の校舎は高台にあります。学校の敷地内を通る等高線は標高50mです。4つの寺院マークも50mラインです。郵便局の近くに39.5mの水準点があり、三谷川橋付近には38.6mの水準点があります。
レベル4の避難指示が9時半ということですので、おそらく大雨警報は登校時間帯には間に合わなかったものと思われます。生徒が登校したあとで雨が強くなり、当日の授業は早々に打ち切られたようです。
生徒の安全確保のため、本日はこの後放課とします。本校は避難場所に指定されておりますので、安全を確保するため下校手段がない生徒の皆さんは学校で待機してもらいます。
島根県立三刀屋高等学校>【緊急】授業の打ち切りについて(7/12)
路線バス等の運休も予定されていますので、生徒の下校については保護者の皆様のお迎えをお願いします。ただし、現在通行止めや冠水している箇所が多数ありますので、学校待機の指示をしているところです。
避難所になっているのが痛し痒しです。授業自体は続行できるのでしょうが、それでは避難所としての機能を果たすことができません。帰したくても時間雨量60ミリのレベルで外を歩くのは危険です。待機ということにしかなりません。
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