一方的に送られたという教団ファックスを添削した

全政党に送った?

旧・統一教会(統一協会)の財産保全をめぐる法案は、
(1)立憲が時限立法の特別措置法案を
(2)維新は宗教法人法の改正案を
臨時国会に提出済みです。

与党の自公はPTを立ち上げましたが、「実効的な被害者救済の推進に関するプロジェクトチーム」という名称が示すように、必ずしも新規立法がゴールに設定されているわけではありません。自民党の取りまとめ責任者は萩生田政調会長になります。これまでの疑惑を覆い隠すには絶好のチャンスなのに腰が引けた対応です。

不可解なのが、教団側が自民党議員などに送ったファックス文書です。岸田首相の事務所にも届いているそうですが、時事通信の記事では全政党本部に送ったそうです。

教団は取材に「全政党本部および主要な議員宛てに送った」としている。

JIJI.COM>旧統一教会、岸田首相らに文書 財産保全法案は「違憲違法」2023年10月27日

立憲に送られていたのなら、西村代表代行の国会質問が成り立たなくなります。共産党やれいわに送られたなら出てきてもよさそうです。組織の小さい元NHK党や参政党なら埋もれることもないはずです。結局、自民党にだけ送られたのではないかと思われます。

今の時代、どこも複合機になっているはずです。私自身、もう数年以上ファックスを送ったことがありません。そう言えば、この教団は昨年10月7日の元2世信者の記者会見でも、外国特派員協会に中止を求める「親心から」のファックスを送っていました。

電話で済む用件ではなく、メールアドレスがわからないときに使われるのがファックスです。そのように考えると、岸田氏と教団の関係はあったとしても薄っぺらなものと考えることができます。

添削したくなる文書

この教団の対応は何かズレていると感じることが多くてネタが尽きません。昨夏、各地の消費生活センター相談窓口を訪問して被害相談があれば連絡してほしいと求めていた件にしても、危機管理対応としては下策中の下策でした。

その際は組織的ではなく各地の教会が独自に動いたということでしたが、今回の18枚に及ぶファックスは田中会長名義であり、「担当」として記載されているのは岡村法務局長です。ニュース映像から冒頭部分を文字起こししました。

日頃より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。3つの資料を送らせていただきます。
1つ目は今国会で当法人に関する「財産の保全に関する特別措置法」等の立法措置が取り上げられていますが、解散命令請求裁判の判断の前に違憲違法な立法措置等がなされないようにお願い申し上げ、また当法人が元信者等による返金トラブル等に対して十分に対応してきたしまたこれからも対応できるということを改めて申し上げるものであります。

世界平和統一家庭連合から一方的に送られたFAX(ANNのニュース映像から)

2段落目のセンテンスが長すぎます。「~してきたし、」は「~しており、」あるいは「~してまいりましたし、」でしょうし、「また」を重ねるのもアウトでしょう。ビジネス文書として合格点に達しているとは言えません。

岡村氏がこれを書いたとは限りませんが、私には副局長の近藤氏のほうがはるかに有能に思えます。先日の会見も岡村局長+福本弁護士より田中会長+近藤副局長のほうがよかったのではないかと感じています。

信頼できないからこその新規立法

十分に対応して来なかったし、またこれからもどうせ対応するはずがないと思われているからこそ、新規立法が必要だという話になっているわけです。

「対応できる」と言うのなら、その姿勢を次のように示すべきです。
(1)せめて調停の39億円に相当する固定資産のリストを示す
(2)それらの不動産を処分したり担保に供したりしないことを約する
(3)やむを得えず一部不動産を処分する場合は入れ替えで補填する

金額と終期については議論の余地があるでしょうが、立憲にしても維新にしてもこの仕組みを法制化したいだけだと思われます。調停の39億円は全額が認められるとは限りません。一方で係争中の案件もあります。また、今後は元信徒だけでなく、これから離れていく信徒の一定数も返金を求める側に回るはずです。

仮差押がついたとしても使用収益は制限されませんので、今までどおり使うことができます。売却する意思がなければ受け入れられる話ですし、「私たちは、国から解散命令を受けるような教団ではないと確信して」いるならなおのことです。

法制化されずに救済できないという結果に至った場合、法制化に反対した党派はその責任を問われることになります。容易に予見される事態に対処しなかったことになるからです。結局、何かしらの対応を迫られることにはなるのでしょう。

外為法の改正では海外送金を食い止めることができても、教団資産がUPFや天地正教や個人に置き換えられるのを防ぐことができません。

多摩市永山の研修施設建設予定地

さて、旧・統一教会(統一協会)が多摩市に取得した土地には、400人規模で宿泊可能な新しい研修施設の建設計画がありました。当面これを見合わせることになったと報道されています。いたって当然です。

多摩市永山の教団所有地

解散命令請求が通れば使えなくなるに違いない施設を、わざわざ急いで建てることはあり得ません。逆に、進行中の解体工事については止める理由がありません。更地にしたほうが転売しやすくなります。解散命令請求裁判次第です。

建設に反対する署名は5万5463筆だそうです。多摩市の人口は10月1日現在で147,904人です。天地正教のときの清水町では人口の7割の署名があったと言われていますので、対人口比では清水町の半分に過ぎませんが、5.5万人は少ない数でもありません。

波野村や上九一色村で自給自足の閉ざされた王国を志向していたオウムとは異なり、旧・統一教会(統一協会)はあまり地方の施設を持っていません。国内の研修施設が配置されているのはおおむね大都市の近郊です。

解散命令が出されても、教団の規模が小さくなり名前が変わるだけで、雲散霧消するわけではありません。必要な研修施設はどこかに設けられることになります。

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