バスプールとタクシープール

あまり一般的ではないのかもしれませんが、「バスプール」あるいは「タクシープール」という呼称もないわけではありません。もっとも有名なのは仙台駅のバス乗り場だと思われます。

先日訪れた高知龍馬空港では、予約していたタクシーが「バスプール」内に待機していました。

ストリートビューで見ると、こんなところになります。

羽田の「バスプール」は観光バスの一時待機場所であって、そこで乗り降りするわけではありません。規模の違いでしょうが、高知空港の場合は乗り降りもここで行っているのではないかと思われます。

その性格は別にしても、空港の公式サイトで「バスプール」の存在を確認できるのは、羽田のほかに、福岡、那覇、神戸、高松といったところです。

一方、「タクシープール」は「バスプール」より一般的な用語のようです。タクシー乗り場へ向かうタクシーの一時待機場所が「タクシープール」と呼ばれています。

「タクシープール」の場合、用法的にも「蓄え」の意味と合致します。

楽曲のモータープール

「島唄」はウチナーグチ・バージョンが1992年、スタンダード・バージョンが1993年リリースです。「島唄」を歌った4人編成のTHE BOOMには、その名も「モータープール」という楽曲があります。

「モータープール」 は、THE BOOM6枚目のオリジナル・アルバム「極東サンバ」の収録曲で発売は1994年です。歌詞は別ブログに掲げました。タイトルこそカタカナですが、歌詞中ではアルファベット表記です。

ここで歌われている「Motor Pool」が関西風の貸駐車場を意味するのか、それとも関東風の車両置場を表しているのかが問題です。数百台規模の後者ではないかと私は解釈しています。

作詞の宮沢和史は甲府市内の小中学校から甲府南高、明治大と進んでいますので、関西圏ではなく四国でもありません。1966年生まれですので、1994年は20歳代の後半です。

仮に関西風の貸駐車場を知っていたとしても、関東圏では通じない「モータープール」を積極的に使う理由はありません。

ROSSOというロックバンドにも「モーター・プール」という楽曲があります。2002年発売のファーストアルバム「BIRD」に収録されています。こちらは立体駐車場のようです。

作詞のチバユウスケは鎌倉出身の1968年生まれで、湘南学園高から明学大に進学しています。発売当時は30歳代の半ばです。立体駐車場ですので、車両置場ではなく貸駐車場ということになります。

大江千里の「BOYS & GIRLS」には歌詞の中に「モータープール」が登場します。1984年発売のセカンドアルバム「Pleasure」の収録曲です。2014年に槇原敬之がアルバム「Listen To The Music 3」でカバーしています。

RAZZ MA TAZZの「EYES」にも「モータープール」が出てきます。1996年発売のサードアルバム「PRESENT」の収録曲です。このアルバム、オリコン2位だそうです。

「BOYS & GIRLS」の大江千里も「EYES」を作詞した阿久延博も大阪出身で関西の大学です。当然のように「モータープール」とは貸駐車場のことだと思われます。

最近では、たこやきレインボーの「絶唱!なにわで生まれた少女たち」で「モータープール」がネタ的に使われています。たこやきレインボー3曲目のシングルで2014年の発売です。作詞は大阪出身の前山田健一です。

というわけで、「絶唱!なにわで生まれた少女たち」のMVを埋め込もうと思っていたわけですが、先日公開されたばかりのこの動画にしておきます。

私はPCに向かうときは、You Tubeを自動再生しています。動画を見ているわけではなく、音声だけ聞いています。てっきり本人だと思っていました。

曲は「灰とダイヤモンド」の落ちサビで、歌っているのはたこ虹のイエローでセンターの清井咲希です。たこ虹の赤は2014年に卒業しており、「絶唱!なにわで生まれた少女たち」は現在の5人編成になって最初の曲です。

長州出島のモータープール

2016年9月に登記簿が閉鎖された関門モータープール株式会社という法人があったようです。登記上の本店所在地は山口県下関市長州出島です。Google Earthプロの画像では、埋立地の右下に乗用車が並んでいます。

輸出待機用の車両置場だろうと思われますが、ストリートビューは橋の手前で途切れており、埋立地には届いていません。橋の入口には「関係者以外の立入を禁止します」との下関市港湾局の看板が掲げられています。

ストリートビュー・カーは関係者ではなかったということでしょう。橋の向う側が埋立地の長州出島で、その沖合に見える島影は位置関係から日本書紀にも登場する六連島(むつれじま)と思われます。

埋立地の中古車の輸出先は当初はアフリカだったようですが、韓国との間に定期航路もあるようです。関門モータープール株式会社さんがどちらに関与していたのかはわかりません。

長州出島は1995年から工事が始まり、2006年に一部供用開始となったそうですが、2008年に始まった下関海響マラソンのコースに組み入れられています。ランナーとして「関係者以外立入禁止」のエリアに堂々と入れるようです。

高低差50mの彦島大橋と高低差40mの出島大橋を往復で渡るという厳しいコースですが、10年目の今年はフルマラソンで1万人規模の大会だったようです。

なお、You Tubeを「長州出島」で検索すれば、クルーズ船入港の動画で長州出島のモータープールの様子を窺うことができます。

九州のモータープール

Yahoo!地図のランドマーク検索で九州・沖縄8県のモータープールは計21件ヒットします。括弧内はストリートビューで看板等を確認して「モータープールMAP(大阪以外)」に反映した貸駐車場としてのモータープールの数です。

  • 福岡県 4件(2か所)
  • 佐賀県 0件
  • 長崎県 0件(1か所)
  • 熊本県 4件(8か所)
  • 大分県 6件(5か所)
  • 宮崎県 2件(6か所)
  • 鹿児島県 5件(0か所)
  • 沖縄県 0件

鹿児島は5件のうち3か所反映しましたが、いずれも車両置場としてのモータープールでした。1件は法人の登記上の本店所在地のようで、近所にそれらしき貸駐車場がありましたが、看板は見当たりませんでした。

もう1件は運送業者であり、「モータープール」の看板は出ていないようです。ただし、「プール」なら隣接地にありました。

「谷山港プール」の看板が掲げられており、敷地内には車両運搬用のキャリアカーも停まっています。ここの場合、車庫の意味合いで「プール」が使われているものと思われます。

少し性質が違いますが、輸出あるいは国内移送の待機のための数百台規模の「モータープール」は各地の大規模港湾で見られます。次の航空写真は広島の宇品港です。

高速の北側にあるのはマツダの宇品工場であり、高速の南側には車が整然と並んでいます。岸壁にはちょうど自動車運搬船が横付けしているところです。

なお、Yahoo!地図のランドマーク検索では、大阪以外のモータープールが769件ヒットしました。そのうち177件はストビューで看板や表札を確認することができませんでした。

愛知・岐阜・三重のモータープール

Yahoo!地図のランドマーク検索で岐阜、愛知、三重の3県は計13件ヒットします。

  • 「モータープール 岐阜県」4件(MAP反映3件)
  • 「モータープール 愛知県」4件(MAP反映2件)
  • 「モータープール 三重県」5件(MAP反映3件)

今のところ貸駐車場としてのモータープールは、岐阜で2か所、愛知で6か所、三重で5か所をMAPに落とし込んでいます。三重県5か所のうち3か所は関西圏と言うべき名張市です。

名張市内を流れる名張川は木津川を経て淀川に合流し大阪湾に注ぎます。近鉄名張駅から鶴橋まで快速急行で約1時間です。平日ダイヤの始発から朝8時台までの上り電車は京都行きの1本を含み33本設定されていますが、下りは19本です。

興味深いのは、Google Map上では「宇治山田駅モータープール」と表示される駐車場です。

最新2014年12月のストリートビューでは「宇治山田駅駐車場」の看板があります。2013年4月のストビューでは「宇治山田駅 月極駐車場」です。「モータープール」の看板は見つかりません。

実は、この後のMY MAPシリーズで「駅裏」をテーマにしたいと考えていたことがありました。探りを入れてみましたが、期待していたほどの量が集まらずに断念しています。せめて100か所ぐらい見つからないと面白くありません。

「駅裏」と呼ばれている(であろう)地域はいくらでもありますが、それを自称するケースは意外と少なく、まして看板として「駅裏」が明記されていることは滅多にありません。

なお、名古屋港で自動車保管場所としてのモータープールを4か所MAPに落とし込んでいますが、「モータープール」の看板を確認できたのが4か所であり、同種の施設は悠に2桁あります。

埼玉と千葉のモータープール

Yahoo!地図で「モータープール 埼玉県」とランドマーク検索すると10件がヒットします。このうちストリートビューで「モータープール」の看板を確認できたのは5件でした。

埼玉のMAP反映は全部で7か所ですが、貸駐車場は「ベッサンモータープール」1か所だけです。看板には「鈴木月極駐車場」の連絡先として「ベッサンモータープール」が記載されています。法人名ではないようです。

「ベッサン」とは所在地の別府3丁目を略したものと思われます。この略し方は、「天六」や「上六」や「谷四」を踏襲したものでしょう。命名者は何らかの形で大阪と縁があるのだろうと容易に想像できます。

「モータープール 千葉県」でYahoo!地図をランドマーク検索するとヒットするのは13件です。ストビューで看板を確認できたのは8件でした。貸駐車場は市川にある「ラコスモータープール」1か所のみです。

両県とも販売用の車の保管場所より、重機置場としてのモータープールのほうが多いのかもしれません。

千葉県山武市にはBMWのモータープールがありました。メルセデスベンツのモータープールは茨城県の日立港にありますが、看板は確認できませんでしたのでMAPには反映していません。

北海道・東北のモータープール

Yahoo!地図のランドマーク検索で北海道・東北では24件のモータープールがヒットします。MAPに反映したのはそのうちの15件です。

  • 「モータープール 北海道」10件(MAP反映7件)
  • 「モータープール 青森県」0件
  • 「モータープール 岩手県」1件(MAP反映1件)
  • 「モータープール 宮城県」5件(MAP反映4件)
  • 「モータープール 秋田県」3件(MAP反映0件)
  • 「モータープール 山形県」1件(MAP反映1件)
  • 「モータープール 福島県」4件(MAP反映2件)

Yahoo!地図ではヒットしないものを含めて北海道のMAP掲載は10件です。貸駐車場は旭川の3か所と帯広の1か所です。札幌にも貸駐車場としてのモータープールがあるとのブログを読んだ記憶がありますが、私には確認できませんでした。

今のところ、私が把握している日本最北端のモータープールは旭川市5条通の「5・8モータープール」になります。

東北6県のMAP掲載は11件です。Yahoo!地図で「モータープール 青森県」を検索すると「一致する情報は見つかりませんでした」になりますが、八戸には貸駐車場としてのモータープールがあります。

盛岡と仙台にも1か所ずつ貸駐車場としてのモータープールが確認できますが、さすがに東北ではさほどの広がりはありません。

茅ヶ崎の新設モータープール

茅ヶ崎市のWebサイトに「茅ヶ崎モータープール建設計画」というページがあります。条例で大規模土地利用行為は市のサイトで公表されることになっているようです。

届出日は今年の2月15日で、事業主は地元の不動産業者です。417台分の「駐車場(モータープール)の築造」をおこなうとのことで、工事の完了予定日は6月末です。もう完成していることになります。

所在地のGoogle Mapを開くと、どうやら吉田牧場さんの土地のようです。去年の10月に開かれた神奈川県乳牛共進会で総合1位の農林水産大臣賞を受賞したのが、吉田牧場で育てられた乳牛だったそうです。

おそらくは赤いマーカーが吉田牧場さんの牛舎だったのでしょう。65頭ほどの牛を飼っていたようです。廃業したのか移転したのかは余計な詮索です。この周囲には400台の駐車場を必要とするような商業施設やレジャー施設はありません。

また、付近一帯の民家や共同住宅は敷地内にカースペースがあります。貸駐車場がつくられたわけではないはずです。吉田牧場さんの西隣の敷地には箱状の物体が整然と並んでいます。

いすゞ自動車さんの藤沢工場から吉田牧場まで車で15~20分の距離のようです。これが「正解」ではないかと思われます。茅ヶ崎市の市街化調整区域に新たに築造された「駐車場(モータープール)」には今はトラックが並んでいるのでしょう。

関東以北におけるモータープールとはこのような施設のことのようです。ただ、一般化しているわけではなく、あくまでも業界用語の域を出ないことから、「駐車場(モータープール)」で申請したものと思われます。

公営のモータープール

富士重工業株式会社さんは今年4月、「株式会社SUBARU」に商号変更しています。登記上の本店所在地は渋谷区恵比寿ですが、スバルの本拠地と言えるのは、やはり創業の地である群馬県太田市です。

太田市のWebサイトに「モータープール」の文言があります。「金山総合公園・モータープール」のページです。

昼間の金山とともに、夜の金山は恋人達のデートコースのひとつにもなっている。ドライブウェーを登りつめたモータープールの展望台からは、発展する「工業都市」が生み出した光の海が関東平野のかなたへと続いている。

新田金山(にったかなやま)の山頂部にある無料の駐車場のことで、Google Mapでも「金山総合公園・モータープール(展望台)」と表示されます。

あいにくストリートビューでは「モータープール」の看板は見当たらず、途中の分岐点の案内標識は「新田城跡」でした。実際にはどこかに表示されているのかもしれませんが、ストビューで確認できない以上はMAP掲載を見送ります。

公共機関がその有する施設を「モータープール」と称するのは、かなりレアなことだと思われます。単に「駐車場」で済む施設を、わざわざ「モータープール」と呼ぶのは企業城下町ならではなのかもしれません。

埋め込んだストビューは桐生市との境界付近にある太田市北部のジャパンスネークセンターの案内看板です。2012年8月撮影のものです。

館内の食堂ではヘビ料理も提供されています。私は蒲焼きや唐揚げが限界ですが、マムシの踊り食いもあります。

自動車メーカーやディーラーの一時保管場所

三菱自動車工業さんのプレスリリースです(1997/04/24)。

三菱自動車工業(株)では、近畿地区の乗用車新車物流の一層の効率化を目指して、兵庫県小野市に新車点検・納車整備工場を併設したモータープール「兵庫小野モータープール」を新設し、4月21日(月)に同モータープール内で竣工式を挙行した。<略>

今回新設した「兵庫小野モータープール」は同社としては、苫小牧、千葉、津田山、高槻に次ぐ全国で5か所目の乗用車集中新車点検・納車整備工場を併設したモータープールであり、大阪府及び兵庫県の販売会社向けの乗用車を一時保管し、納車前の点検・洗車・清掃並びにステレオ、エアコンなどのオプション用品装着を集約して行う。

「兵庫小野モータープール」はもう売却されているでしょうが、1997年のプレスリリースをWebで公開している企業はそう多くはないはずです。自動車業界では工場から出荷した自動車の一時集積所を「モータープール」と呼んでいます。

有価証券報告書にも「その他の設備」として「モータープール」の記載があります。三菱さんは子供向けの「自動車づくりのなぜなにボックス」でも次のように説明しています。(工場>Q16完成した車はどこに保管し、どのように販売店へ運ぶのですか?

たとえば、 岡山県の水島製作所の近くにあるモータープールは、おおよそ20,000 台保管でき、 水島港という港から 全国の大きな港へ専用の船で運びます。専用の船で一番大きい船は「きぬうら丸」という名前で、なんと乗用車を1,476台も積むことができます。
港に着いた車は、その港にあるモータープールに一度入れられます。ここできびしい新車点検を受け、 専用のキャリアカーで各販売会社に運ばれます。
なお、 車を工場近くのモータープールから全国の販売会社へ運ぶ途中の港などにも、一時保管するモータープールがあります

メーカーあるいはディーラーの一時保管場所がGoogle Mapに「モータープール」と記載されているのを見かけますが、ストリートビューで訪ねると看板が見当たらず、MAPに反映できないケースが多々あります。

苫小牧では、三菱さんではなくスバルさんのモータープールに看板がありました。2012年6月のストリートビューです。

求人関係でも「モータープール」はしばしば登場しますので、一定の範囲では定着している言葉だと理解してよさそうです。「みんなのお仕事体験談まとめ」さんの「モータープールのスタッフ」です。

—すいません、まずモータープールって何ですか?

新車、まずはディーラーにおろすまでの間、
置いておく場所のことをモータープールといいます。

車を沢山積むトレーラーがおろしてくれた車を
同じ車種と場所ごとに決まっているので、自分で運転して、
移動させる仕事をしていました。