多治見より暑い、長良川沿いのアメダス美濃

旧・美濃国のほぼ中央

美濃国の国府は垂井町、国分寺は大垣市に設置されていました。岐阜県美濃市が旧律令国名を名乗ったのは1911年です。上有知町から美濃町に町名変更しています。美濃町は1954年に6村と合併して市制施行しています。

1911年4月1日、それまでの地名「上有知(こうずち)町」は、美濃紙にちなんで「美濃町」に改名しました。

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「美濃紙にちなんで」は、ちょっと論理が飛躍しているような気がしなくもありません。サツマイモの産地だからという理由で薩摩市を名乗ったらブーイングを浴びそうです。

山梨県民でなければ、甲斐市と甲州市と甲府市の位置関係は即答できないものでしょう。越前町が福井にあることも、美濃市が岐阜にあることもすぐにわかりますが、福井のどこにあるか岐阜のどこにあるかは縁がないとなかなか浮かびません。

「美濃」は、青野(国分寺跡の大垣市青野町)、大野(大野町)、各務野(各務原市)の「三野」が転じたものだという説もあります。美濃国の元になったのかもしれない「三野」と、美濃市との位置関係は次のようになります。

「三野」と美濃市
「三野」と美濃市(地理院タイルを加工)

アメダス美濃

美濃市を南北に貫くのは長良川です。上流側が郡上(ぐじょう)市、下流側が関市になります。美濃市の人口は2019年12月末時点で2万人強、Google Mapでルート検索すると名所の川湊灯台まで名古屋駅から車で50分弱、岐阜駅から40分弱だそうです。

東北や九州からの定期便がある名古屋飛行場(=県営名古屋空港、小牧空港)からも50分弱です。美濃市は、熊野古道から能登半島に至るいわゆる昇龍道の一角を占めています。竜のお腹の辺りになります。アメダス観測所は市街地の外れです。

美濃市中心部
美濃市中心部(地理院タイルを加工)

長良川河畔から約60mで、公共施設の敷地内に露場が設けられています。標高は68mです。交通量の多い道路沿いの多治見とは異なり、観測環境は良好です。露場は建物から10m近く離れています。

アメダス美濃

40℃台は過去5回

美濃の観測地点では2018年8月3日、6日、8日と1週間で3回も40℃オーバーを記録しました。8日の41.0℃はこの時点で全国歴代2位タイの数値です。2020年の浜松には抜かれましたが、多治見を抑えて岐阜県1位となったわけです。40℃台5回以上は多治見と美濃の2地点しかありません。

美濃で気温の観測が始まったのは1978年11月です。1980年から5年ごとの熱帯夜(最低気温25℃以上)、夏日(最高気温25℃以上)、真夏日(最高気温30℃以上)、それに猛暑日(最高気温35℃以上)の年平均日数を求めてみました。

アメダス美濃の熱帯夜、夏日、真夏日、猛暑日

観測当初にくらべて夏日は30日以上増えています。真夏日は倍近くです。グラフ化はしませんでしたが、1980年から1984年の5年間の平均気温は13.7℃でした。2015年から2019年では15.2℃に上昇しています。

2020年の観測値は次のとおりです。

年降水量2670.5ミリ226位/1293地点
年平均気温15.6℃314位/922地点
年最高気温39.7℃12位/922地点
年最低気温-4.4℃356位/922地点
年較差44.1℃356位/922地点
年平均風速2.0m/s494位/921地点
年日照時間1908.2時間287位/841地点
▲アメダス美濃の2020年観測値

地形的には長良川沿いの北東の風のときに気温が高くなっています。アメダス美濃付近の長良川右岸の県道81号線は「和紙の里街道」という通称です(そう呼んでほしいということだと思われます)。海外の評価が高い美濃和紙ですが、岐阜和傘はなぜか台湾で人気のようです。

和紙の靴下は結構快適です。和紙オンリーで編んであるわけではありませんので普通に洗濯できますが、紙っぽい感触は残ります。

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