日本における最高気温は長らく山形の40.8℃でした。1933年7月25日に記録されています。太平洋には高気圧が、日本海には台風があり、フェーン現象がもたらした特異値だったはずです。
74年間守られた記録は、2007年8月16日に熊谷と多治見の40.9℃で塗り替えられます。2013年8月12日には伏兵・江川崎が41.0℃に更新、2018年夏は東の横綱・熊谷が41.1℃で1位に返り咲きました。
熊谷の観測地点は熊谷地方気象台です。県庁所在地に地方気象台(または管区気象台)がないのは、埼玉のほかに千葉(銚子)、滋賀(彦根)、山口(下関)の4県です。浦和や大宮では東京に近すぎるため熊谷に設置されたものと思われます。
一方、多治見の観測ポイントは舗装された駐車場の脇にあります。北東側は高速道路の法面であり、西側の隣接土地にはブロック基礎の倉庫のような平屋建ての建物があります。
この倉庫?の空調室外機は幹線道路側に向けられていますので、直接に影響を受けることはないのでしょうが、熱がこもりやすいのではないかと思える立地ではあります。
観測施設が設置された後に倉庫?が建てられたはずです。観測施設に隣接する民有地に建築制限をかけるような法令はないでしょう。これはこれで受け入れるしかないことになります。
では、日本一暑い観測地点はどちらなのか、いくつかの数値で比較してみます。ちなみに、熊谷気象台は市街地にあり標高は30m、地形的には荒川の扇状地です。多治見は盆地で観測点の標高は120mです。
2008~2017年の最高気温
- 37.3、36.8、38.1、39.8、37.8、39.3、38.8、38.6、37.3、37.8(熊谷)
- 39.0、37.6、39.4、38.1、38.5、39.5、39.3、39.9、39.7、36.5(多治見)
2009~2018年の7月の日最高気温平均
- 30.1、32.6、33.0、31.5、32.0、31.3、31.6、30.4、32.8、34.5(熊谷)
- 30.8、33.2、32.9、31.9、33.8、32.8、31.5、32.5、33.5、35.3(多治見)
2009~2018年の8月の日最高気温平均
- 30.8、34.8、32.0、35.2、33.9、31.7、31.4、32.3、30.5、34.0(熊谷)
- 32.9、35.0、33.7、34.8、35.5、31.7、33.9、35.2、33.5、35.6(多治見)
2009~2018年の7月の日最低気温平均
- 22.3、23.3、23.3、22.4、22.6、22.4、22.8、22.0、23.9、24.6(熊谷)
- 22.0、22.7、22.2、22.4、22.4、21.7、22.1、22.0、23.0、23.9(多治見)
2009~2018年の8月の日最低気温平均
- 22.3、25.2、23.3、24.3、24.0、23.2、23.4、23.5、23.1、24.0(熊谷)
- 22.3、24.5、23.2、23.0、23.0、22.8、23.2、23.1、23.0、23.8(多治見)
▼以下、2018年については10月末現在です。
2009~2018年の夏日
- 128、134、129、132、145、132、133、129、136、141(熊谷)
- 153、147、144、153、158、145、158、156、146、152(多治見)
2009~2018年の真夏日
- 53、85、75、77、70、60、61、67、64、76(熊谷)
- 81、90、84、85、99、78、66、87、87、90(多治見)
2009~2018年の猛暑日
- 04、41、26、32、23、19、20、08、11、37(熊谷)
- 10、38、27、26、33、15、25、27、16、39(多治見)
2009~2018年の熱帯夜
- 03、30、15、15、10、11、20、05、16、29(熊谷)
- 01、13、02、04、05、03、06、02、04、16(多治見)
安定的に暑いのが多治見、ツボにハマると怖いのが熊谷ということになりそうです。そして、盆地の関係で寒暖差の激しい多治見の夜は比較的過ごしやすいものと思われます。
【2020/01/18追記】
熊谷の平均気温の推移
熊谷地方気象台は1896年開設です。以降、気温に関しては同じ場所で観測されています。10年平均を求めてグラフ化してみました。1910年代の平均気温は13.6℃であり、2010年代は15.7℃です。
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