在日アメリカ大使館による日本の検査体制に対する不信感

在日アメリカ大使館は4月3日、無期限で日本に留まるつもりのないアメリカ国民に対し、直ちに帰国準備をするように英文で呼びかけています。

As compared to the number of positive cases and hospitalizations in the United States and Europe, the number of reported COVID-19 cases in Japan remains relatively low. The Japanese Government’s decision to not test broadly makes it difficult to accurately assess the COVID-19 prevalence rate. Our diplomatic mission is in touch with the U.S. Centers for Disease Control and Prevention in Atlanta and continues to carefully monitor the capacity of Japan’s health care system in Tokyo as well as other locations including Osaka, Nagoya, Fukuoka, Sapporo, and Naha. While we have confidence in Japan’s health care system today, we believe a significant increase in COVID-19 cases makes it difficult to predict how the system will be functioning in the coming weeks. In the event of a spike in cases, U.S. citizens with pre-existing medical conditions may not be able to receive the medical care they have grown accustomed to in Japan prior to the COVID-19 pandemic.

在日アメリカ大使館「Health Alert – U.S. Embassy Tokyo (April 3, 2020)」

日本政府がウイルス検査を控えているため、日本国内の新型コロナ有症率を正確に評価することが困難であり、今後の感染拡大で既存の医療を受けられない可能性があるから帰国準備せよという論理展開です。

いたって真っ当なアドバイスですが、だからと言って今、ニューヨークやニューオーリンズに帰りたくなるかというと、それはまた別の問題なのかもしれません。ただ、そういう都市を抱えている国から今のうちに帰って来いと言われているのが現実のようです。

厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況について(令和2年4月5日版)」から各国の感染者数、4日前からの感染者増加率、死亡者数、致死率を表にしてみました。今回の規定打席は死亡者数40人以上の40か国、死亡者40人未満でも感染者数4000人以上の3か国です。4日前の前回の規定打席は死亡者20人以上の44か国、感染者2000人以上の3か国でした。前回まで算出していた感染率を外して感染者の増加率を加えました。

感染者増加率死亡者致死率
イタリア124,6321.1815,36212.3
フランス68,6051.327,56011.0
イギリス41,0931.634,31310.5
アルジェリア1,2511.7513010.4
オランダ16,6271.321,6519.9
スペイン124,7361.3211,7449.4
インドネシア2,0921.371818.7
ベルギー18,4311.441,2837.0
イラン55,7431.253,4526.2
エジプト1,0701.51666.2
イラク8781.27546.2
スウェーデン6,4431.453735.8
モロッコ9191.49505.4
エクアドル3,4651.551725.0
フィリピン3,0941.481444.7
ドミニカ共和国1,4881.34684.6
ブラジル10,2781.804324.2
ペルー1,7461.64734.2
中国81,6691.003,3294.1
ルーマニア3,6131.611333.7
ギリシャ1,6731.27593.5
デンマーク4,2691.401393.3
アルゼンチン1,3531.40423.1
メキシコ1,6881.54503.0
アメリカ308,5331.668,2912.7
スイス20,2011.255402.7
アイルランド4,6041.421202.6
ポルトガル10,5241.412662.5
インド3,0722.20752.4
日本3,2711.50702.1
トルコ23,9342.075012.1
ポーランド3,6721.59711.9
韓国10,2371.041831.8
カナダ13,8821.622311.7
オーストリア11,6651.171861.6
マレーシア3,4831.26531.5
ドイツ95,6141.331,4271.5
チェコ4,3621.34531.2
ロシア4,7082.03430.9
ノルウェー5,5101.24500.9
オーストラリア5,5481.18300.5
チリ4,1611.52220.5
イスラエル7,8511.63360.5

感染者数では4日前の前回から1.63倍に増えたアメリカが30万人を突破、3位だったスペインが2位に、5位のドイツは4位に、12位のトルコが9位に浮上しています。日本は31位をキープしています。

カナダ、オーストリア、ポルトガル、ブラジル、韓国が新たに感染者1万人台に達しており、1万人突破は17か国となりました。感染者1000人以上の国も46か国から57か国に増えています。

増加率ではトルコ、ロシア、インドが倍増以上です。規定打席未満ではセルビアやアラブ首長国連邦が2倍以上です。まだ感染者は3桁台ですが、ルーマニアとウクライナに挟まれた旧ソ連のモルドバも倍増しています。

モルドバ

一方、韓国の増加率は1.04、規定打席未満の台湾は1.10、香港も1.21と比較的落ち着いています。イタリアは増加率では1.18と下位であり、サンマリノも1.06ですから、そろそろピークを過ぎたという報道も出てくるわけです。

死亡者数では前回7位のイギリスが2500人増で5位に上がり、中国は7位に落ちました。4位フランスはこの4日間で死亡者が4000人増えており、きわめて危険な状態にあるようです。10位ベルギーと11位スイスは700人差ですので、上位10か国はしばらく不動と思われますが、トルコ、カナダ、エクアドルあたりは要注意です。

致死率ではフランス、イギリス、アルジェリアが10%台に突入し、世界全体では5.4%です。規定打席未満では、スーダンとアンゴラが20%(感染者10人で死亡者1人)、ニカラグアも20%(感染者5人で死亡者1人)、ガイアナが17.4%(感染者23人で死亡者4人)、コンゴ民主共和国が10.8%(感染者148人で死亡者16人)です。

致死率が低いのはイスラエル、チリ、オーストラリアの0.5%、ノルウェーとロシアの0.9%です。規定打席未満では、クウェートが感染者479人で死亡者ゼロ、スロバキアも感染者471人で死亡者ゼロです。ニュージーランドが0.1%、アイスランドが0.3%、シンガポールと南アフリカが0.4%ですから、南半球の国が目立ちます。

今回は表から除外した人口1万人当たりの感染率では、サンマリノが73.8人、アンドラが60.5人、ルクセンブルクが45.2人、アイスランドが42.0人、スペインが26.7人、スイスが23.7人、イタリアが20.6人、ベルギーが16.1人、マン島が13.5人、オーストリアが13.1人です。

マン島

ロードレースで有名なマン島の面積は572平方キロです(淡路島が‎592平方キロ)。厳密にはイギリス領ではなく、かといって独立国でもなく、外交や軍事は対価を払ってイギリスに委ねているということです。


【2020/04/07追記】

駐日アメリカ臨時大使によるビデオメッセージでは、余計なことは話していません。外交的配慮ということなのでしょう。

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