夕方から気温上昇、測候所が見た1976年の酒田大火

淀川長治が「世界一の映画館」と称した山形県酒田市の洋画館・グリーンハウスを火元とする火災は1976年10月29日17時40分頃に発生したとされています。当時は隣の区画に消防署があったようですので、119番通報の必要はなかったかもしれません。遠くから見れば消防署が燃えているように見えた可能性さえあります。

酒田大火による焼失建物は1,774棟です。日本海からの風に煽られてアーケードを通じて燃え広がり、30日午前3時には火勢が新井田川まで迫りました。対岸からの放水で延焼を食い止め、午前5時に鎮火しています。人的被害は負傷者964名で、通りがかりの車に乗せてもらって火元に駆けつけた消防長1名が殉職しています。

酒田大火の消失地区と測候所
酒田大火(地理院タイルを加工)

赤のマーカーが火元のグリーンハウスで、赤枠内がざっくりした焼失地域です。青のマーカーは酒田測候所です。酒田測候所は1970年に最上川に架かる出羽大橋東詰から移転しています。無人化されたのは2009年です。酒田測候所の1976年10月29日午後6時から30日午前6時までの観測値は次のとおりです。

降水量気温湿度風速風向
29日18時0.0ミリ8.5℃73%12.2m/s西南西
29日19時2.0ミリ
29日20時1.0ミリ
29日21時0.5ミリ9.9℃76%12.0m/s西北西
29日22時0.0ミリ
29日23時0.5ミリ
29日24時0.5ミリ9.2℃72%11.5m/s西北西
30日01時2.0ミリ
30日02時1.5ミリ
30日03時1.0ミリ8.9℃81%10.8m/s西北西
30日04時2.0ミリ
30日05時1.0ミリ
30日06時0.5ミリ9.3℃71%4.2m/s西北西
酒田大火時の観測値

低気圧で風は強く、29日の最大瞬間風速は28.7m/sです。当時は気温については3時間ごとの観測です。18時の8.5℃が21時には9.9℃まで上がっています。雨の日は18時より21時の気温が高いことは珍しくありません。最終的には測候所まで500mに迫った火勢によるものではなさそうです。

山形新聞社が(あまり)動かない動画を公開していました。音声に出てくる港南小学校や緑町の職業訓練所は地図の外です。火の粉は約1キロ離れた酒田駅にも飛んだそうです。

酒田大火から2年後の夏、1978年8月3日に酒田測候所は40.1℃の最高気温を観測しています。まだ破られていない日本最北の40℃オーバーです。この日の午前中は東南東の風ですので、フェーン現象によるものです。その後、酒田の39℃台は2回だけ(1990/8/22、2018/8/23)です。両日とも東風でした。

外部リンク
■酒田市>酒田大火
■酒田河川国道事務所>庄内の歴史 被災者3,300人にものぼる酒田大火

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