11月の平均気温は高め、横浜は月間降水量たった9ミリ

11月の平均気温

11月の平均気温は47都道府県の県庁所在地のうち40地点が観測史上10位以内でした。あまり実感はありませんが、比較的暖かい11月だったわけです。全国的に降水量は少なく日照時間が長くなっています。横浜の月間降水量は9.0mmに過ぎず、1904年11月の9.2mmを下回り11月としては観測史上最少でした。

気象台や旧測候所などの気象官署の観測所から空港関係と南鳥島を除いて、大館、さいたま、大津のアメダス観測所を加えた157地点について、11月の平均気温等を調べました。

軽井沢、諏訪、飯田、多度津では日照時間が11月としては1位です。前から気になっていた多度津について少しだけ調べてみました。

アメダス多度津

多度津測候所は1892年（明治25年）8月に香川県立測候所として開設されています。高松地方気象台は1941年の観測開始ですので、香川県最初の気象観測所は多度津です。少林寺拳法の総本山でも有名な多度津ですが、高松より早く気象観測所が開設されたのは港の関係と思われます。

宇高連絡船の開業は1910年（明治43年）です。以後、高松港が四国の玄関口となりますが、それ以前は内陸に金刀比羅宮や善通寺を抱える多度津や丸亀の中讃地域が主要港だったようです。1889年には丸亀－多度津－琴平間に讃岐鉄道が開業しています。

多度津測候所が無人化されたのは2001年です。建物は取り壊され敷地も縮小されていますが、道路や隣家との間隔は確保されています。浜松のように交通量の多い道路沿いではありません。観測施設はごく一般的な2階建ての住宅街の中にあります。標高は4ｍ、風速計の高さは12.1ｍです。

一太郎やぁい像

多度津特別地域気象観測所のそばに天満宮がありますが、あいにく付近に川が流れておらず天神橋は見つかりませんでした（極楽橋がありました）。気になったのが、桃陵公園（桃陵神社）に「一太郎やぁい像」です。像には次のように記されています。

明治37・38年、日露戦争の際、多くの将兵が眼下の多度津港から船に乗り出兵しました。この中に岡田梶太郎（通称一太郎）がいました。その母カメは早朝、三豊郡豊田村から、わが子、一太郎を見送ろうとかけつけましたが、船はすでに岸を離れていました。そこで大声で「一太郎やぁい、わかったら鉄砲をあげろ」と叫けびました。

一太郎やぁい像の説明文プレート

戦前、尋常小学校4年生用の国語読本に収録されていた美談仕立ての物語のようです。国語読本では、カメさんが「うちのことはしんぱいするな。天子様によくご奉公するだよ。わかつたらもう一度鉄砲を上げろ。」と続けて、一太郎少年が呼応したことになっています。

ベースは実話で、そこに都合のいいフィクションが付加されたもののようです。この対極にあるのが与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」です。

【外部リンク】
■青空朗読＞君死にたまふことなかれ

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