2020年最少降水量3冠のアメダス留辺蘂(るべしべ)

留辺蘂駅は1912年開業です。留辺蘂高校は1948年に北見高校留辺蘂分校として開校して1953年に独立しています。「るべ」まで読めても「蘂」はなかなか読めません。「雄しべ」と「雌しべ」の「しべ」です。「わらしべ長者」も漢字なら「藁蘂」になるようです。

アイヌ語由来の「しべ」

「くさかんむり」に「心」が3つで下に「木」ですから、そう難しい漢字ではありませんが、出くわす機会は滅多にありません。実は、法律上の日本最北端の村が「蘂取村(しべとろむら)」です。択捉島は(日本の)法律的には4つの村に区分されており、その北端・東端が蘂取村です。

択捉島の蘂取村
択捉島(地理院タイル

「蘂」あるいはその略字である「蕊」が含まれる地名は次のとおりです。アメダス留辺蘂はかつての網走支庁管内に属しますが、美瑛町の「るべしべ」は「瑠辺蘂」です。日高管内にも「るべしべ」があります。

  • 川:奥蘂別川(おくしべつがわ、斜里町)、小平蘂川(おびらしべがわ、小平町)、瑠辺蘂川(るべしべがわ、美瑛町)
  • 山:小平蘂岳(おびらしべだけ、小平町・幌加内町)、小平蘂山(おびらしべやま、小平市・幌加内町)、瑠辺蕊山(るべしべやま、旭川市・芦別市・美瑛町)、留辺蘂山(るべしべやま、日高町・平取町)
  • 橋:碧蘂橋(るべしべばし、新ひだか町)
  • 字:留辺蘂(るべしべ、北見市)、瑠辺蘂(るべしべ、美瑛町)、大蕊(おおしべ、栃木県小山市)
北海道の「蘂」
道内の「蘂」(地理院タイルを加工)

このようにほぼ北海道に限られることから、アイヌ語由来であることは明白です。

旧町名の留辺蘂は、アイヌ語の「ルペシュペ」からでたものです。アイヌ語では、道のことを「ルー」越える道を「ルペシュペ」と称し、本町の場合は佐呂間別川へ越す道の意味で、ペをベにし、シュペをシベにして「ルベシベ」と訳し、さらに漢字の「留辺蘂」をあて、今日にいたっています。

北見市>留辺蘂自治区 旧町名の由来

留辺蘂町は2006年の合併で北見市になっています。北見市の面積は全国4位です。

アメダス留辺蘂

アメダス留辺蘂は2020年の年間降水量が最少で、1時間最大降水量と10分最大降水量も全国最少でした。3冠王のアメダス留辺蘂は北見市中心部から西に36キロほどです。石北線の留辺蘂駅からは14~15キロ離れています。石北線の石北は「狩」と「見」です。旭川は石狩国でした。

留辺蘂周辺
留辺蘂周辺(地理院タイルを加工)

国道39号線の石北峠はその名前のとおり石狩国と北見国の境界です。旭川から見ると石北峠の手前が層雲峡です。39号線はかつては旭川-北見間のメインルートでしたが、鉄道(地理院地図では黒)に沿うように高速(地理院地図では緑)が遠軽まで開通し、今では時間的にはほぼイーブンです。アメダス留辺蘂(赤の星印)は交通量が減少した39号線側にあります。

アメダス留辺蘂

露場の隣の建物は民家ではなく、倉庫か何かであろうと思われます。公共施設の敷地内であり、北側は畑です。ストビューでは風速計を確認できる程度です。

留辺蘂、北見、網走の比較

アメダス留辺蘂の標高は325mです。アメダス北見は104m、沿岸部にある旧測候所の網走は37.6mです。3地点の去年の降水量を比較してみました。

留辺蘂、北見、網走の月別降水量

留辺蘂は4月まで北見より雨は多いわけですが、夏から秋にかけては相対的に少雨となるようです。面白いので、降雪量も調べてみました。

留辺蘂、北見、網走の積雪量

留辺蘂と北見の関係は想像どおりですが、意外なことに積雪量がもっとも多いのは沿岸の網走です。気温は次のようになっています。

留辺蘂、北見、網走の月別平均気温

気温は標高に対応していますが、5月と6月の留辺蘂は網走より暖かいようです。

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