あのセメント工場
埼玉県日高市のセメント工場でボイラーが爆発し、隣接する駐車場の車などに被害が生じる事故が起きたのは2021年4月26日の夜です。ニュースを聞いたとき、このセメント工場はあのセメント工場に違いないと私は確信しました。
共同通信のニュース動画です。
大きな爆発だったにもかかわらず幸いにも怪我人がなかったせいか、あまり続報がありません。私が触れてほしいところに触れる報道がない以上、自力でやるしかないわけです。まあ、爆発事故に関係するものではありませんが…。
30m以上低くなった武甲山
秩父市と横瀬町の市町境界にそびえる武甲山(ぶこうざん)はヤマトタケル由来の山です。地理院地図には最高標高の三角点が1304mと記載されています。
1900年(明治33年)の測量では標高は1,336メートルを記録したが、山頂付近も採掘が進められたために三角点が移転させられ、1977年(昭和52年)には標高1,295メートルとされた。元の山頂付近は1980年9月頃に採掘のために爆破されている。2002年(平成14年)に改めて三角点周辺を調査したところ、三角点より西へ約25m離れた地点で標高1,304mが得られ、国土地理院はこれを武甲山の最高地点と改めた。
Wikipedia>武甲山
武甲山の北側斜面は石灰石の採掘で削られ、山頂は30m以上低くなっているようです。
同じ画角で空中写真に切り替えてみました。削られた北斜面の様子がわかります。
ピンクの線はベルトコンベアです。総延長23.4キロに6基のベルトコンベアが設置され、爆発事故が起きた日高市内の太平洋セメント埼玉工場まで伸びています。
日本最長級のベルトコンベア
自然環境保護と輸送費低減の問題を同時に解決するためにつくられたのが、武甲鉱山と太平洋セメント社埼玉工場を結ぶわが国最長級の地中式長距離ベルトコンベヤ(Y ルート)です。
武甲鉱業株式会社>輸送
武甲鉱業さんのWebサイトでは謙虚に「わが国最長級」とされています。観光ガイドなら誇らしげに「日本最長」を謳うはずです。トラベルライターさんはここぞとばかりに「日本三大ベルトコンベア」に仕立て上げることでしょう。
このベルトコンベアはほとんど地下を通っているため、目に触れる機会があまりありません。その存在になかなか気づかないのです。
出発点近くの横瀬町横瀬で生川を渡ります(A地点)。
横瀬町から飯能市へ
飯能市内の山中では姿を表す箇所が2か所あります。飯能市北川です(B地点)。
同じ飯能市北川ですが、喜多川キャンピングベースの奥に武甲鉱業ベルトコンベヤ高畑積換所があります。B地点から直線なら600mです。
農耕車以外通行禁止
越生町に入ったベルトコンベアは毛呂山町を通過して日高市で高麗橋川を渡ります(D地点)。
市街地に入ってもコンベアはまだ地下埋設のままです。八高線を過ぎて(くぐって)500mのところに「農耕車以外通行禁止」の看板が設置されています。
私が鳥形山のベルトコンベアに気づいたのはGoogle Mapの衛星写真でした。川に架けられた橋のようなものがつながっているように見えたのでした。
日高の場合は衛星写真で見つけるのはかなり難しい話です。秋吉台から長門市・仙崎湾へのコンベアは嫌でも目に入ります。
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