「市町村」揃い踏みの住所、むつ市大畑町赤川村

崩落した小赤川橋

台風9号崩れの温帯低気圧による雨で国道279号線の小赤川橋が崩落したため、800人ほどが孤立したのは8月10日です。

崩落した小赤川橋

崩落したのは1970年12月竣工で長さ20m弱の車道橋です。上流側(画像下)の人道橋は残っています。ニュース映像では流されてきた倒木が人道橋の上流側50m以上に渡って滞留していますので、倒木が橋脚にダメージを与えたものと思われます。

小赤川橋
小赤川橋(地理院タイルを加工)

Google Mapでは小赤川橋以外に小赤川に架かる橋を確認することができませんが、地理院地図では上流にも橋が複数あります。ただ、車が通れる橋ではなかろうと思われます。実質的に小赤川橋は小赤川を渡る唯一の橋です。

赤川の170m北西には赤川が流れています。この大赤川がむつ市と風間浦村の市村境になります。国道279号線は風間浦村内でも寸断されており、むつ市大畑町赤川地区とともに孤立状態に陥っています。

むつ市大畑町赤川村

小赤川橋の所在は「むつ大畑赤川」です。基礎自治体としては同列であるはずの「市・町・村」が並んでいますが、この場合の「町」と「村」は基礎自治体を示す言葉ではありません。レアな現象であることは間違いないはずです。

1889年の町村制施行時に成立した下北郡大畑村は1934年に大畑町になり、2005年にむつ市に編入されています。旧・大畑町の地域には、字としての大畑村、小目名村、湊村もありますので、「むつ大畑大畑」、「むつ大畑小目名」、「むつ大畑」などの住所も存在することになります。

周辺のアメダス観測所
周辺のアメダス観測所(地理院タイルを加工)

小赤川橋付近のアメダス観測所は大間、湯野川、むつです。8月10日のアメダス大間の日降水量は観測史上3位となる109.5ミリ、湯野川が52.5ミリ、むつが100ミリです。それほどの雨量ではありませんが、もともと雨の多い地域ではありません。1日100ミリでも災害レベルになってしまうようです。

大間線の鉄道遺構

2018年5月撮影の小赤川橋のストビューです。

1日数本と思われる下北交通バスが渡ろうとしているのが小赤川橋です。左手に見えるアーチは幻となった大間線の鉄道遺構です。かつて本州最北端の駅は大畑駅でした。国鉄分割民営化に伴い下北交通が引き継いでいましたが、2001年に廃線になりました。

大畑駅から下北半島先端の大間まで、俗に「幻の大間線」と呼ばれる鉄道の敷設計画がありました。アーチはその名残です。もともと青函トンネルは計画段階では現行ルートより大間ルートのほうが有力でした。海底部分の水平距離が短く、圧倒的に函館に近いのです。

海底の地盤がトンネル工事に適さないということで龍飛崎ルートが採用されましたが、函館側に計画されていた戸井線のアーチも残っています。

赤川駅
赤川駅 (地理院タイルを加工)

大畑町赤川にはアーチしか残っていませんが、赤川駅は実在します。大湊線終点・大湊駅の手前が本州最北端の下北駅です。その手前の赤川駅はもともと田名部駅として開業しています。赤川駅の住所は「むつ市赤川町」です。むつ市には「むつ市赤川町」と「むつ市大畑町赤川村」が併存しているわけです。

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