アメダス天城は伊豆の天城山ではなく徳之島空港

合併不発の徳之島

佐渡島の1市8町1村は2004年に合併して全島が佐渡市になっています。面積では佐渡島の3分の1以下の徳之島には、いまだに3つの町が残っています。徳之島町、天城町、伊仙町の総人口は約2.2万人です。

長崎の離島や天草では比較的スムーズに合併が進みましたが、鹿児島の離島は、屋久島こそ1島1自治体が成立したものの、種子島は不発で、沖永良部島でさえ2町が残っています。徳之島の3町で2005年1月に実施された3町合併を問う住民投票の結果は次のとおりです。

住民投票の結果

全島規模で考えると合併賛成が多数派ですが、徳之島町がダブルスコアで反対多数です。これでは破談はやむを得ません。この3町の合併なら、新名称は徳之島町のままでしょうし、庁舎が動くこともないと思われます。

2017年度の財政力指数は徳之島町が0.24、天城町が0.15、伊仙町が0.13です。将来負担比率は徳之島町31.2、天城町46.5、伊仙町86.2です。この財政状況が合併の賛否に直結したのかもしれません。

徳之島の3町
徳之島の3町(地理院タイルを加工)

島の東側が徳之島町で、徳之島子宝空港のある西側が天城町、南は伊仙町です。島内のアメダス観測地点は伊仙町面縄(おもなわ)のアメダス伊仙(赤)と空港内のアメダス天城(青)です。茶色の三角は天城岳の山頂です。標高533mの一等三角点が設置されています。

天城岳の山頂がないのに天城町

天城町Webサイトでは町名の由来を次にように記しています。天城岳が町名の由来です。

同町と徳之島町の境にある天城岳が町名の由来と言われている。当地には「大昔、アメキウデー(雨気岳=天城岳の旧名)にアメンキュという夫婦の神が天から降りてきた」という神話があり、雨気(あめぎ)が天城に転じたといわれる。

天城町の概要>町名の由来

ところが、地図をよく見ると天城岳の山頂は町境ではなく微妙に徳之島町側に入り込んでいます。天城町は山頂が町域から外れている天城岳を町名に用いていることになります。若干の不自然さを感じないわけでもありません。

天城岳
天城岳(地理院タイルを加工)

歴史を紐解くと、この不可解さが解消されます。1916年に天城村から東天城村が分割されます。徳之島4村体制です。天城岳山頂は東天城村にあります。太平洋戦争と本土復帰を経た1958年に東天城村は亀津町と合併して、今の徳之島町が成立しています。

徳之島の自治体

もともと天城岳あっての天城村だったわけですが、天城岳の山頂はいつの間にか隣町になっていたというマジックでした。

アメダス天城とアメダス伊仙

アメダス天城の2020年の観測値は次のとおりです。航空気象観測所ですので、日照時間は発表されていません。標高2mながら年平均風速は全国25位です。

年降水量2176.5ミリ421位/1293地点
年平均気温22.6℃27位/922地点
年最高気温34.4℃633位/922地点
年平均風速5.3m/s25位/921地点
▲2020年アメダス天城の観測値

アメダス天城で観測された最大瞬間風速は52.0m/sです。2012年台風17号で観測されています。雨の多いアメダス天城山は静岡県の伊豆半島で、風の強いアメダス天城は天城岳山頂のない徳之島の天城町です。

アメダス伊仙の2020年観測値は次のとおりです。気温は天城より低めです。沖縄に近いこの緯度で最高気温が922地点中722位というのも面白い現象ではあります。

年降水量2044.0ミリ506位/1293地点
年平均気温21.9℃32位/922地点
年最高気温33.5℃722位/922地点
年平均風速2.9m/s223位/921地点
年日照時間1758.1時間419位/841地点
▲2020年アメダス伊仙の観測値

伊仙の観測所は標高44mで風向風速計の高さは6.5mだそうです。もっとも一般的な電柱は長さ12mで、地中に2m埋まっており地上から高さは10mです。電柱より低い風向風速計は100m以上離れたストリートビューでは確認できません。

アメダス伊仙

99%ここだろうと思われます。

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