日本一・平均年齢が68.2歳の群馬県南牧村（なんもくむら）

高齢化率も全国最大

2020年国勢調査で平均年齢68.2歳と全国1位だったのが群馬県の南牧村です。前回2015年国勢調査では66.0歳でした。2位の奈良・御杖村（みつえむら）と大差で、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合でも長野・天龍村を抑えて2冠です。5年間の減少率は全国6位でした（1位は球磨村）。

国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」（2018/3）では、2020年に1590人と予測されていましたので、その差は21人です。

長野には読みが異なる南牧村（みなみまきむら）

南牧村は群馬県南西部の長野県境にあります。地図の赤マーカーは御巣鷹山の日航機墜落地点、オレンジのマーカーは国土地理院公認の「日本で一番海から遠い地点」です。

南牧村は2つあります。村役場同士の直線距離は25キロほどです。長野は「みなみまきむら」で、群馬は「なんもくむら」です。長野の南牧村は1889年の町村制施行の際に海尻村、海ノ口村、広瀬村、平沢村と大明村の一部で発足しています。群馬の南牧村は、1955年に磐戸村、月形村、尾沢村が合併して成立しています。群馬が後追いです。

長野の南牧村は島崎藤村の「千曲川のスケッチ」にも出てきます。藤村が小諸に移住したのは1899年ですので、すでに南牧村はありました。北牧村は今の小海町です。長野の南牧村は千曲川水系です。

白楊、蘆、楓、漆、樺、楢などの類が、私達の歩いて行く河岸に生い茂っていた。両岸には、南牧、北牧、相木などの村々を数えることが出来た。水に近く設けた小さな水車小屋も到るところに見られた。

青空文庫＞島崎藤村「千曲川のスケッチ」

群馬にも「北牧」があるかもしれません。渋川市に「北牧」の地名がありますが、吾妻川を挟んで対岸に「南牧」があります。それでワンセットです。高齢化日本一の南牧村に対応する「北牧」はありません。

地図の水色線は星尾川→南牧川→鏑川（かぶらがわ）です。鏑川は烏川に合流する利根川水系の河川です。1955年の南牧村の発足前に「南牧川」と呼ばれていたのかどうか、つまり川が先か村が先かは確認できませんでした。

県道45号線

国立社会保障・人口問題研究所による「将来推計人口」では群馬・南牧村の年齢別人口を次のように予測していました。

南牧村では学童保育料や学校給食費は免除されます。出産祝金は1人5万円、第2子以降は10万円です。転入奨励金や新築・増改築に対する定住促進奨励金の制度もあります。ケーブルテレビ＋インターネットで月額2700円です。それでも人口減少に歯止めはかかりませんでした。

上信電鉄は隣町の下仁田が終点です。南牧村には国道も通っていません。2018年4月撮影のストビューです。

2014年2月には標高350ｍ台の村役場付近で1ｍ近い積雪があり、村のほぼ全域が孤立したうえで停電するという事態が起きています。県道45号線が命綱ですので、ここの除雪ができないと手の施しようがないわけです。

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