高市氏と萩生田氏と荻原健司長野市長、それぞれの弁

文部科学大臣

「あの頃はよかった」とは言いたくありませんが、昔の文部大臣や法務大臣はハトであれタカであれ叩いても埃の出ないタイプだったという印象があります。私が知らなかっただけかもしれませんけど…。

両者を歴任したのは坂田道太氏、稲葉修氏、瀬戸山三男氏などですが、瀬戸山氏についてWikiには次のような記述があります。

選挙区の有権者にハガキの一枚も出したことが無いことを誇りとしていた

Wikipedia>瀬戸山三男

瀬戸山氏は第1次中曽根内閣で文相でした(その後任は森喜朗氏です)。法務大臣が選挙違反に問われては具合が悪いわけです。同様に教育行政のトップが疑惑の人物では示しがつきません。いつの頃からか、「伝統」が継承されなくなってしまったようです。

中央省庁が再編されて以降の文部科学大臣は次のとおりです。

1町村信孝2森2001/01森派
2遠山敦子1小泉2001/04(民間)
3河村建夫1小泉2改2003/09江藤・亀井派
4中山成彬2小泉改2004/09森派
5小坂憲次3小泉改2005/10旧橋本派
6伊吹文明1安倍2006/09伊吹派
7渡海紀三朗福田2007/09山崎派
8鈴木恒夫福田改2008/08麻生派
9塩谷立麻生2008/09町村派
10川端達夫鳩山2009/09(民主党)
11高木義明菅1改2010/09(民主党)
12中川正春野田2011/09(民主党)
13平野博文野田1改2012/01(民主党)
14田中眞紀子野田3改2012/10(民主党)
15下村博文2安倍2012/12町村派
16馳浩3安倍1改2015/10細田派
17松野博一3安倍2改2016/08細田派
18林芳正3安倍3改2017/08岸田派
19柴山昌彦4安倍1改2018/10細田派
20萩生田光一4安倍2改2019/09細田派
21末松信介1岸田2021/10細田派
22永岡桂子2岸田1改2022/08麻生派
▲歴代文科相

瀬戸山氏や森氏も清和会ですが、とりわけ第2次安倍内閣以降は清和政策研究会から起用されるケースが圧倒的に多く、下村氏は3年近く、萩生田氏も2年務めています。この10年間に限定すると清和会以外の文科相は今回の永岡氏が2人目です。

絶妙な高市氏の弁明

高市早苗氏は、2001年に世界日報社が発行する月刊誌「Viewpoint」の対談記事に出ていたことを「当時は知るすべもありませんでしたが、21年前に接点があった事実は変わりません」とTwitterで報告しています。

毎日新聞から、21年前の2001年に旧統一教会関連団体が発行する雑誌の対談に参加していたとの指摘があり、国会図書館に調べて頂き、掲載誌を発見しました。大好きだった評論家の細川隆一郎先生からのお誘いで喜んで参加した対談でした。
<略>
日本で一部の情報検索サービスが開始されたのは、2001年の対談の5年前ですが、事務所では未だ利用していませんでした。スマホが初めて米国で販売されたのは、対談の6年後。今ほど手軽に様々な活字媒体の背景を調べることは困難な時代でした。

同氏のTwitter(9:51 PM · Aug 14, 202210:08 PM · Aug 14, 2022

故人から誘われたというのが絶妙です。そう主張しているわけではありませんが、編集部からの依頼ではなかったと仄めかしているようにも解釈できそうです。今さら確認しようがない故人の名前を出されたら、それ以上の話には発展しません。

今回は国会図書館に問い合わせたのですから、2001年にも国会図書館に問い合わせていれば、「Viewpoint」の発行元が世界日報社であることは確認できるわけです。情報検索サービスやスマホは何の関係もありません。

2001年当時でも世界日報社が統一教会(統一協会)関連であることをネットで調べることは可能でした。2001年の時点で、高市氏が世界日報社を知らないはずはありません。保守系の議員事務所には頼んでいない新聞が「贈呈」されるはずです。

高市氏は1992年7月の参院選に出馬し、1993年7月の衆院選が初当選です。その前には飯星景子氏や蓮舫氏とともに深夜番組の司会を務めていました。飯星氏の統一教会(統一協会)入信・脱会騒動は1992年です。

【外部リンク】
■NEWSポストセブン>高市早苗氏が30年前、立民・蓮舫氏と並んでテレビ司会をしていた過去(2021.09.16 16:00)

もちろん、接点が20年前の対談だけなら、目くじらを立てるほどのことではありません。弁明のストーリーとしては寺田総務大臣よりはるかに優れています。

関連団体

統一教会(統一協会)の主要関連団体Webサイトに文鮮明氏の名前があるかどうか調べてみました。

1968年国際勝共連合「提唱者・文鮮明総裁」
1975年世界日報(記載なし)
1991年世界平和連合(FWP)「総裁に就任した 文鮮明師」
1992年世界平和女性連合(WFWP)(記載なし)
2005年天宙平和連合(UPF)「文鮮明・韓鶴子総裁夫妻によって…創設」
平和大使協議会「UPFは文鮮明夫妻によって創設」
▲主な関連団体

荻原健司・長野市長は今年1月に開かれた平和大使協議会長野支部の会合にビデオメッセージを送っていたことを明らかにしました。その際、同団体が統一教会(統一協会)系であることは知っていたと語っています。

実に率直な反応です。参議院議員を1期務めただけの荻原氏が平和大使協議会を関連団体だと知っていたのです。統一協会(統一協会)報道のピークは1992年です。最初の五輪金メダルのアルベールビルがちょうどその年です。

萩生田政調会長は市議3期と都議1期を経て、衆院当選6回です。八王子市議初当選は1991年です。「あえて触れなかった」ということですから、それは賢明だったかもしれません。知らないほうがいいことはたくさんあります。

萩生田氏が関わったとされるのは世界平和女性連合です。世界平和連合は国際勝共連合とどこが違うのかよくわからない政治色の強い団体ですが、「女性」が入るだけでまったく性格が変わります。世界平和女性連合はボランティア系です。Webサイトでも文鮮明氏の名前が見当たりません。

萩生田氏の弁明はこれはこれで成立しているのではないかと思われます。結局、1992年にソフト路線の世界平和女性連合を立ち上げたのが巧妙だったわけです。萩生田氏は文科相を2年務めています。宗教法人所轄官庁の大臣です。あえて確認しないのが一番です。

【外部リンク】
■AERAdot.>安倍首相側近らが続々と統一教会詣での“怪”(2014/11/27)

法務省と警察庁と消費者庁は被害者救済のための集中強化期間を設けるということですが、まず動くべきは文科省です。究極的な問題解決のためには本体への解散命令が必要です。

第八十一条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。

e-Gov法令検索>宗教法人法

コメント

タイトルとURLをコピーしました