西日本太平洋側の最大積雪深は四日市の53センチ

太平洋側の積雪記録

普段はあまり雪が降らない太平洋側の積雪記録を調べてみました。雪日数を観測しているのは気象台や旧・測候所の153地点です。

このうち2022年の雪日数が1日以上で30日に満たない70地点に種子島を加えた71地点を対象に
(1)1945年以前
(2)1946~1999年
(3)2000年以降
の3区分で、最大積雪深をまとめました。

雪日数は必ずしも実感としての雪の多さに比例するわけではありません。去年の雪日数が26日だった岡山や25日の和歌山は年降雪量としては0センチでした。一方、秩父の雪日数は16日ですが去年の最大積雪深は10センチです。瞬間的にパラパラと舞っただけでもカウントされるのが雪日です。

雪日観測所~1945年1946~99年2000年~
23日小名浜281945/02/26211994/02/122008年まで
28日水戸321945/02/26271990/02/01192018/01/23
15日つくば271936/02/05251951/02/15262014/02/09
18日宇都宮301945/02/26291998/01/09322014/02/15
19日前橋371945/02/26331998/01/15742014/02/15
12日熊谷451936/02/23431954/01/24622014/02/15
16日秩父581928/02/14491968/02/16982014/02/15
10日東京461883/02/08331951/02/15272014/02/15
11日大島321945/02/22301967/02/122009年まで
3日三宅島1942年から51984/02/042009年まで
5日八丈島31922/01/2131946/03/082009年まで
7日銚子171936/03/02131974/02/2752013/01/28
13日千葉1966年から261984/01/19332014/02/09
12日勝浦371945/02/26351967/02/122007年まで
16日館山1968年から101984/02/182006年まで
11日横浜451945/02/26371986/02/19282014/02/15
14日甲府461936/01/25491998/01/151142014/02/15
3日三島181945/02/2681984/02/182001年まで
8日網代281945/02/26201967/02/122003年まで
3日静岡101945/02/2531975/02/2132001/02/16
13日浜松271907/02/1141966/01/202005年まで
2日御前崎61936/02/0431996/02/222010年まで
2日石廊崎1939年から101947/02/212003年まで
24日名古屋491945/12/19231947/02/03232014/12/18
18日伊良湖1947年から121995/12/261997年まで
27日四日市1966年から531995/12/261997年まで
15日尾鷲1938年から52005/02/012007年まで
12日大阪181907/02/11171984/01/3142014/02/14
28日姫路1948年から191984/01/312003年まで
22日神戸171945/02/25141946/03/1022008/02/24
19日洲本181931/02/10151984/01/312003年まで
23日奈良1953年から211990/02/01152014/02/14
25日和歌山401883/02/08131953/02/2162014/02/14
9日潮岬11927/02/0451948/01/162009年まで
26日岡山261945/02/25231947/02/1482014/02/08
29日福山1942年から241984/01/312002年まで
25日広島311893/01/05261984/01/31192017/01/15
19日101984/01/31102000/02/092002年まで
10日徳島421907/02/11291951/02/14102022/12/23
11日高松1941年から191984/01/3152011/02/11
8日多度津281931/02/10191984/01/312001年まで
11日松山341907/02/11141984/01/3142012/02/03
12日宇和島381931/01/10231967/12/302005年まで
7日高知81919/12/29101987/01/13142022/12/23
4日室戸岬11923/01/2541986/02/112008年まで
15日宿毛1943年から231975/02/232001年まで
9日清水1941年から41968/01/1522002/01/03
23日下関391900/01/26141968/02/24102008/02/13
26日飯塚1935年から241962/01/312001年まで
14日福岡301917/12/30151999/02/0462009/01/24
23日日田1942年から391963/01/092001年まで
8日大分71940/03/01151997/01/2222011/01/16
9日厳原91901/02/2151985/01/2952005/03/06
19日平戸1940年から121959/01/182000年まで
19日佐世保1946年から141967/12/302001年まで
14日長崎151915/01/14151967/01/17172016/01/24
27日雲仙岳481940/02/02641963/01/262005年まで
17日福江1962年から431963/01/262009年まで
21日佐賀191907/02/11211959/01/1782021/01/09
18日熊本131945/02/07121984/01/1972010/01/13
26日人吉1943年から271963/01/242000年まで
18日牛深1949年から291963/01/262002年まで
7日延岡1961年から71984/01/192000年まで
2日宮崎31945/01/2421987/02/0312005/12/22
7日都城1942年から151959/01/172000年まで
1日油津1949年から41959/01/172003年まで
19日阿久根1939年から381963/01/252000年まで
3日鹿児島251901/02/13291959/01/17252011/01/01
11日枕崎131936/01/18261963/01/262003年まで
0日種子島1948年から01986/01/052007年まで
3日屋久島1937年から21977/02/172008年まで
▲太平洋側各地の積雪記録

なお、気象庁所管で積雪・降雪を観測しているのは2022年で約330地点です。雪日判定をしている旧・測候所の大半は今では積雪・降雪を観測していません。赤字で示した尾鷲と呉については、現在は観測していないことを示すために本来のセルから左移動させています。

去年のクリスマス寒波では久万高原町で2人亡くなっています。どうせ機械観測なのですから、ここに掲げた旧測候所で積雪計を再設置してもよかろうと考える次第です。

去年の雪日数が38日の(伊賀)上野、36日の萩、34日の浜田でも積雪観測は廃止されています。温暖化で海水温が上がれば雪は増えるという理屈が成り立たないわけではありません。

四日市の積雪53センチ

さて、表の数値を眺めてみると、2014年は甲府で114センチ、前橋が74センチです。東京の46センチは1883年で、宇和島の38センチは1931年ですが、伊豆大島では1967年に30センチ、四日市では1995年に53センチを観測しています。

関東以西の太平洋側沿岸部としては、四日市の53センチが最多のようです。四日市測候所は1997年に無人化され、2000年に標高55mの現在地に移転しています。正式名称としては「四日市特別地域気象観測所」です。ここにも積雪計はありません。

移転前の測候所は1キロほど南東にあったようです。標高は47mということです。積雪53センチが観測されたのは旧・測候所です。

四日市で積雪53センチが観測された日、近隣の観測所では次のような数値でした。

1995年12月26日の積雪深
95/12/26の積雪深(地理院タイルを加工)

36センチは彦根と関ヶ原です。伊賀上野は2センチ、津と岐阜が8センチ、名古屋は1センチで、伊良湖岬が12センチですから、おなじみの帯状の雪雲だったことになりそうです。

53センチは12月25日ではないか疑惑

気象庁Webサイトによれば、積雪53センチは1995年12月26日ということになっています。これは正しくないかもしれません。

四日市の積雪記録
気象庁>四日市 観測史上1~10位の値(年間を通じての値)

四日市市の内部(うつべ)地区社会福祉協議会のWebサイトでは12月25日と記載されています。2016年1月に四日市でそこそこの大雪になったときの記事です。

内部でも14日夜から16日にかけて断続的に雪が降り続き、1995年12月25日の53㎝以来22年ぶりとなる30㎝超の積雪があり、一面の銀世界に包まれた。

四日市市内部地区社会福祉協議会「うつべ」>内部でも30㎝超の積雪

私もおかしいと思っていたのです。次の表は1行目が24日、最終8行目が31日です。横の項目は日降雪量、最大積雪深、日中の天気概況です。

1行ズレでは?
気象庁>四日市 1995年12月(日ごとの値)主な要素

24日の日暮れから降り始めた雪は25センチです。これはそのまま積雪であるべきです。翌25日は降雪36センチで積雪53センチ、26日は降雪23センチで積雪48センチなら納得できます。

気象庁の表のとおりなら、27日の日中は快晴だったにもかかわらず53センチの積雪がわずか5センチしか溶けなかったというちょっと考えにくい話になってしまいます。なにしろ膨大なデータ量ですので間違いはあり得ます。

2023/01/26追記

積雪計廃止に関して見捨てられた気分だというご意見を頂戴しましたが、四日市市南部の鈴鹿橋と鈴鹿大橋の間には国交省の雨量レーダーがあります。

国交省レーダー
国交省レーダー(地理院タイルを加工)

鈴鹿川出張所のこの施設です。まあ、レーダーでは降雪量はわかっても積雪はわかりませんけど…。

鈴鹿川レーダー

アメダスの西側ではスタックによる車の立ち往生が発生したようです。25日のアメダス四日市は最高気温がマイナス1.6℃で、38年ぶりの真冬日となりました。現在地では初めてです。

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