統一教会が抱えていたらしい「国際機動隊」とは?

国際機動隊?

Wikiに次のような記述があります。

1980年代前半に日本で「国際機動隊」が結成される。マイクロバスに乗って、全国を周り、戸別訪問で、難民のための募金や、珍味、印鑑、靴下、ハンカチなどを戸別訪問で売って回る。

Wikipedia>世界基督教統一神霊協会の年表(2023/06/28閲覧)

本当に「国際機動隊」という名称だったのだろうかと疑問に思わなくもありません。「国際機動隊」を名乗る団体がピンポンして、玄関ドアを開ける気になるかどうかはなはだ疑問です。

珍味売りの機動隊が本当に「国際~」と名付けられていたのなら、「難民のための募金」が鍵なのでしょう。1980年代ならインドシナ難民と思われます。難民支援のための募金にご協力ください、と言うなら「国際~」は妥当ですが、「~機動隊」はちょっと違うような気がします。

「国際難民救援センター」とでも名乗ったほうがリアリティがあります。対外的に「~機動隊」を名乗っていたのではなく、「~機動隊」とは内輪の通称だったのかもしれません。

サンダーバードは「国際救助隊」です。1961年から1977年にかけて今のテレビ朝日系列では「特別機動捜査隊」という刑事ドラマが放映されていました。対外的に「~機動隊」を名乗るなら、せめてツナギの制服が必須ではないかと思われます。

「機動隊」と言うなら

「野の花会」は1977年、「しんぜん会」は1985年の設立です。戸別訪問時はもっとソフトな名称を語っていたのではないかと私は想像しますが、どうやら「国際機動隊」は実在していたようです。

裁判記録にも

判決文にも登場するのです。「同年」とは1982年です。

同年12月,原告Aを含む21日修練会卒業者(93期生)全員が国際機動隊(マイクロ隊)として活動することになった。93期生は勝共カンパ部隊となり,原告Aは東北部隊に配属された。
<略>
L4キャプテンを中心に隊員5名で,任地の山形に向かった。L4キャプテンは,隊員に,カンパを1000円単位で貰うこと,戦争反対や北方領土返還等の名目でもらうことを指示した。
<略>
原告Aは,午前5時半に起床し,祈祷,朝食,洗顔(近くの駅や公園で行う。)をして出発した。また,常に野外で用便をしていた。午前6時半ないし7時からカンパが始まり,午後9時ないし12時まで行われた。

裁判所>平成元年(ワ)第374号損害賠償請求事件等 新潟地裁

いくら「戦争反対や北方領土返還」の名目を掲げようとも、朝7時はさすがに迷惑きわまりない話です。また、少なくともこの時代の統一教会(統一協会)と勝共連合はほとんど一体のものだったようです。

原告Gは,平成元年10月,宇都宮支部の配属となり,教育部に属して実践トレーニングの講師をした後,平成2年5月,国際勝共連合関東管区に配属となった。

裁判所>平成元年(ワ)第374号損害賠償請求事件等 新潟地裁

大学卒業とともに献身者となった原告が当たり前のように勝共連合へ「異動」するのですから、今のように別団体を主張できるレベルではありません。

なお、Wikiの「国際勝共連合」のページには次のような記述があります。これは1971年の項目ですから、50年前の話です。

2月13日 『読売新聞』に「でたらめ街頭募金追及。“本家”が厳重抗議、「北方領土」のでっち上げ団体、金の使い方も不明」との記事が出る。国際勝共連合が母体となった「北方領土復帰推進連盟」という団体で募金運動を行っていることに対し、51団体が加盟している全国組織の「北方領土問題連絡協議会」が募金で集まった金の使途を明らかにせよと迫ったが、国際勝共連合側は明確な回答をせず。

Wikipedia>国際勝共連合 沿革(2023/06/29閲覧)

特別伝道機動隊

「~機動隊」という名称に話を戻します。年表の1973年には次のような記述もあります。

日本、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア等から伝道師が米国に集い、「世界統一十字軍」という伝道機動隊が編成される。その責任者には、各国の43双(1969年の43組の合同結婚式の参加者)の信者が、日本部隊の責任者には神山威が立つ。

Wikipedia>世界基督教統一神霊協会の年表(2023/06/28閲覧)

伝道機動隊としての「世界統一十字軍」の名称にはとくに違和感はありません。機動班とか機動部隊とかは一般的には内部向けの名称です。

「統一教会 機動隊」で検索すると、長文のPDF文書がヒットしました。

「新世」は統一教会の「南東京教区」の印鑑販売部門であり、信者の間では「特別伝道機動隊」と呼ばれていた。「新世」社長は伝道部長であったという。手順書(マニュアル)は10数種以上あり、購入者に家族には内密にせよと念を押すことや、統一教会との関係を察知されないように指示する文言があった。

(公財)国際宗教研究所 宗教情報リサーチセンター>藤田庄市「日本における統一教会の活動とその問題点」 140ページ

「信者の間では」ですから「特別伝道機動隊」の名称はやはり内部的なものです。対外的に「~機動隊」を名乗ることはあまりしないはずです。

さて、有限会社新世が警視庁公安部に摘発されるのは2009年6月です。南東京教区の渋谷教会などが家宅捜索を受けています。11月には東京地裁で有罪となり、被告側は控訴せず判決が確定します。

ところが、教団側が今も強調している「コンプライアンス宣言」は2009年3月です。時系列としては摘発や判決より先になります。これは報道が先行していたためと思われます。

で、コンプラ宣言のときの「信者が勝手にやっていた」という有名な言い訳がこれです。

これまで、教会員が自主運営するビデオ受講施設等における教育活動等については、当法人とは法主体の異なる信徒会の活動の一環であったため、当法人は教会員の信仰活動の自由の観点からその自主性を尊重し、指導・監督を行ってきませんでした。

家庭連合NEWS ARCHIVES>教会員の献金奨励・勧誘活動及びビデオ受講施設等における教育活動等に対する指導について 2009/03/25

このあと「しかしながら…」と続きますので、この引用は前段部分の切り抜きですが、今の言い分と通じるものはありそうです。

なお、摘発された2009年6月は麻生内閣、判決の11月は鳩山内閣になります。

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