解散命令請求へ、気がついたらモンスターだった?

宗教法人審議会

解散命令請求に際して宗教法人審議会に諮ることは義務づけられていませんが、昨日(10/12)19人の委員は全会一致で解散命令請求を相当としました。委員19人のうち8人が学識経験者(法学5名)、11人が宗教家(神道4名、仏教3名、キリスト教2名、新宗連2名)です。

井田良中央大学法科大学院教授 会長
村上興匡大正大学文学部教授 会長代理
大橋真由美上智大学法学部教授
北居功慶應義塾大学大学院法務研究科教授
宍戸常寿東京大学大学院法学政治学研究科教授
西井凉子東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授
藤原聖子東京大学大学院人文社会系研究科教授
峰ひろみ東京都立大学法科大学院教授
内田恭子教派神道連合会理事、神道修成派社会部長
九條道成明治神宮宮司
宍野史生(公財)日本宗教連盟理事、教派神道連合会理事長
村田守広竹駒神社宮司
戸松義晴(公財)全日本仏教会理事
中尾史峰築地本願寺宗務長
本多端子(公財)全日本仏教婦人連盟理事、妙清寺責任役員
網中彰子日本基督教団総幹事
廣瀬薫日本同盟基督教団牧師、恵泉女学園学園長
庭野光代立正佼成会次代会長、(公財)新日本宗教団体連合会常務理事
江口陽一(公財)新日本宗教団体連合会常務理事
▲文化庁>第36期宗教法人審議会委員名簿(2023/10/01)

必ずしも必要とされていない手続きをわざわざ踏んだのは本気度を示すものでしょうし、宗教界からの異論がなかったことには大きな意味があります。今回は特措法でしのぐとしても、やはり宗教法人法そのものの見直しは必要になりそうです。

今の宗教法人法には、そんな規定はありませんが、本当なら、解散かどうか判断する前に、問題が多そうな教団を厳重な管理状態に置き、財務や人員配置を把握したうえで、具体的な改善命令を出し、実際変化があったかどうか確認するというようなプロセスを経るべきだと思います。

現代の理論>仲正昌樹「統一教会問題とは日本社会にとって何なのか」

なお、立正佼成会の庭野次代会長が国際共同代表を務める「世界宗教者平和会議」(WCRP)は1970年発足の国連NGOです。旧・統一教会(統一協会)系の「世界平和宗教連合」(IRFWP)は1991年創設です。たぶんモデルになっているのでしょう。

ジェットコースターのよう

さて、教団は同日付で「当法人に対する解散命令請求の方針を受けて」と題するプレスリリースを発表しています。

すべてを一変させたのは、昨年7月の安倍元首相の暗殺事件でした。私たちの教団は、それ以前と何ら変わるところがありません。それにもかかわらず、私たちの教団を取り巻く環境はジェットコースターのように変容していき、気がつくと私たちは、マスコミ報道によって“絶対悪”のモンスターのようにされていました。

世界平和家庭連合>当法人に対する解散命令請求の方針を受けて 2023.10.12

浮き沈みが激しいことを「ジェットコースターのような」と直喩するのは珍しい表現ではありません。事件以降、ずっと下がり続けているだけで一度も浮いていませんので、「ジェットコースターのように変容し」たわけではなかろうと思われます。

それまでは上昇していたという思いがあるのかもしれません。実際には、会見のたびに「お薬増やしておきますねー」のAAを貼り付けたくなるような言動で、底割れを繰り返してきただけです。

もう1つの直喩「モンスターのように」は言い得て妙かと思われます。モンスターペアレントやモンスタークレーマーの「モンスター」なのでしょう。たしかに対応困難者ですから、否定しかねるところです。

テレビのワイドショーなど左翼系弁護士の根拠薄弱な情報を垂れ流すだけのマスコミ報道を鵜呑みにした大多数の国民に対して、私たちの教団の真実の姿を伝えることができなかったことは、私たちの力不足であったと痛感しております。

世界平和家庭連合>当法人に対する解散命令請求の方針を受けて 2023.10.12

ここだけ切り取るとまるで敗北宣言ですが、「真実の姿」とやらは意図的に隠されているようにしか見えません。好意的に解しても、把握できていないだけです。

2009年のコンプラ宣言

多くのお叱りを受けることもございましたが、2009年のコンプライアンス宣言以降、教会改革に積極的に取り組み、特に未来を担う新しい世代の指導者を立て、現在まで継続して改革を推進し、昨年9月以降は法人内に「教会改革推進本部」を設置し、更なる改革に取り組んでまいりました。

世界平和家庭連合>当法人に対する解散命令請求の方針を受けて 2023.10.12

常に強調される2009年コンプラ宣言は「昔は問題があったかもしれないけれども、健全な団体に生まれ変わってもう10数年になる」と言いたいのだと思われます。これが致命的な戦術ミスになってしまいました。

「二世の会」にはそれで通用しているようですが、コンプライアンス宣言を端緒にして変革に取り組んできたというだけのことで、まだ途中の段階です。正体を隠した伝道や霊的知見で不安を煽るような献金奨励は2010年代以降の事例がゾロゾロ報道されています。

文化庁の聞き取りもそこを外してはいないはずです。主張していることが信頼できないと判断されたのだとしたら、2009年で区切ってしまったことが裏目に出たわけです。不十分ながらも改善されているのにもったいない話です。

当法人が今年2月から導入した献金に関する改革のもう一つの大きな柱が、「受領書」の発行です。これは献金を捧げられた会員の方に対して、献金を受け取ったことを証明する証書を発行するもので、特に10万円を超える献金を捧げられた方に対しては、原則受領書を発行するようにしています。

世界平和家庭連合>教会改革のためのアクションプラン

他団体なら普通にやってきたことを今年の2月に導入して、7月には発行率が8割を超えたと自慢気に記載しています。単に(1)それまで受領書は発行していなかった、(2)10万円超に限定しても半年でその程度しか浸透していない、ということを白状しているだけです。

これでは解散請求やむなしの結論にしかなりません。解散請求は正攻法で回避することもできました。憎悪感むき出しのスラップ訴訟を重ねる余裕はなかったはずです。

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