統一教会に自主解散を提言した島田裕巳氏

地下鉄サリン事件前夜の爆弾テロ

1995年3月19日の午後7時半頃、杉並区のマンションで時限爆弾が爆発します。同日午後8時半過ぎには、オウム真理教の東京総本部に火炎瓶が投げ込まれるという事件も続きました。ともに人的被害はなかったはずですが、この2つの事件はオウム真理教の自作自演によるものでした。

翌朝に地下鉄サリン事件が起きていますので、偽旗作戦であり陽動作戦でもあったわけです。杉並区のマンションをターゲットにしたのは、教団に好意的な島田裕巳氏の居住建物だったからです。ただし、島田氏は転居済みでしたので難を逃れています。

当時の島田氏は自他ともに認めるオウム擁護派でした。教団に利用されていることを自覚していたフシもあります。その島田氏を招いて「信者の人権を守る二世の会」による4回目のシンポジウムが開かれたのは10月1日です。

私の見立てに反して、島田氏は至極まっとうな意見を述べています。毎日や共同も記事にしているくらいですので、これまで4回の中ではもっとも「届いた」わけです。第1回からこれをやっていれば、間に合ったかもしれません。

演題は「宗教学者と語る家庭連合の過去と現在と未来」です。内容を私なりに要約しておきます。

教会職員の家族1万人は多すぎないか?

18:05 アンケート集計の最後に紹介された「もし解散命令がなされたとき、公職者や教会長がいる家庭は露頭に迷ってしまいます」(そんな心配はありませんが…)に、「教会職員の家族1万人」と補足されています。

ということは、少なくとも今では教会長に対する本部からの給与支払いがあるわけです。おそらくそうではなかった時代があったはずです。食い扶持をもたらす信者を自分で集めるしかない初期の時代がないはずはありません。

教団はまるで2009年のコンプライアンス宣言1つでガラッと変わったような言い方をしていますが、2009年以降の被害相談例もあることは報道されています。簡単に変わるものではありません。

2009年3月 「信者らの献金奨励勧誘活動及びビデオ受講施設等における教育活動等に対する指導について」を策定 (コンプライアンス3要件)
2010年8月 「就業規則」制定
2014年10月 「牧会者規程」制定
2015年12月 「伝道活動および施設に関する基準」制定 (未証伝道の禁止、施設に名称明記、伝道文書に名称明記、伝道施設の法人名義
2018年11月 「経理規定」制定

世界平和統一家庭連合>改革の経緯

2009年ではなく教団名称変更の2015年にしておけば突っ込まれることも少ないだろうに…と私はずっと思っていました。地方教会長に適正な額の給与が支払われているなら、教会長は無理な献金を求める必要はないわけです。

少なくとも霊感商法華やかなりし頃の1990年代以前は、給与支払いがなかったのではないかと私は考えています。そこに旨味を感じる教会長も中にはいたに違いありません。彼らは「金の切れ目が縁の切れ目」で去って行ったはずです。

それにしても、職員の家族1万人は多すぎるように思われます。5人世帯で計算しても2000人の職員ということになります。本部1000人+300教会✕4役なら2200人です。

自主解散、関連団体もすべて解散

36:45 島田氏は家庭連合の解散について、ほぼ誰も反対していないと述べています。オウム真理教のときは 「オウムに批判的な人たちも破防法を適用することに対しては反対の声があがった」というのはそのとおりで、実は私もそのスタンスでした。

50:24  「鈴木さんなんかはズブズブの関係って言うけど、僕なんかからするとあまりにも関係が薄すぎる。結局、家庭連合の側としては議員さんにイベントに来てもらうことによって自分たちのイベントの箔を上げるってことがあったかもしれないけど、そのときに一番本来やらなければいけない自分たちの考え方を議員に理解してもらうことを怠ってきた」

どちらかと言うと、議員サイドが薄情なだけだと思われますが、あれだけのロビー活動をしてきて国会議員レベルでは誰1人として守ってくれないのは食い込みが甘いと言われても仕方がありません。

56:00 二世信者に「どうしたらいいですかねえ?」と問われた島田氏は「僕はもうあっさりしてて自主解散、合わせて関連団体もすべて解散、これしかない」と答えます。

どうせ宗教法人格を奪われてしまうなら、解散命令を受けて解散するより、自主的に解散したほうが(少しは)傷が浅いのは島田氏のおっしゃるとおりです。

控訴審判決間近の段階で現実的な選択肢としてあり得るのではないかと私は考えています。どのみち一般社団法人で出直すなら、解散命令を食らってまだ懲りないのかと後ろ指をさされるより、自主的に解散することで反省の意を示したほうが(少しだけ)やりやすいはずです。

ただ、これを韓国の本部が認めるかどうかはまったく別の問題です。日本の実情を韓国でどこまで把握しきれるか、日本的な着地点を探すことは難しいもののようです。

57:35 「意外と些細なことが最初に問題だった。些細なことが何かって言うと、僕は珍味売りとそれから偽募金だと思う」

必ずしも「些細なこと」ではないと私は思いますし、何も知らない二世信者には気の毒ですが、そこに遡る必要はあります。

間違っていたこと

59:28 「一世がやってきたことがやっぱり問題で、コンプライアンス宣言したときも幹部の人が「今さらコンプライアンス宣言か」って言った人がいたんだよね。「結局は世間から言われているんで、そういう方向に行ったという。やっぱりそこの時点で、単に宣言をするだけじゃなくて、いったい自分たちがやってきたことが何だったのかってことを検証する作業を果たしてやったのか」

本来、このときに解散に向けて動くべきでした。新世事件摘発時の政権は麻生内閣(塩谷立・文部科学大臣、佐藤勉・国家公安委員長)です。半年後の秋には鳩山内閣(川端達夫・文部科学大臣、中井洽・国家公安委員長)に変わります。

1:03:27 「勅使河原さんが言ってたのは「家庭連合の中に金を持ってく奴がたくさんいる」って怒ってましたよ」

勅使河原氏が知り得る立場の人事部長に就任したのは2014年と言われています。教団側は口を揃えて2009年を前面に出していますが、そこにも欺瞞があります。

1:08:42 「献金したときは世界平和のため、家庭連合の運動が発展してくれることのためにいくらでも私はお金を出すって思ってた人が、信仰を失ってしまうと途端にそれは騙されたってことになる」「そういうことが起こるとすると、高額献金を取るってことは非常に危険な行為ですよね」

それなのに受領証を発行していないという脇の甘さがあったわけです。

1:20:30 「弁護士さんなんか、中山さんなんかもそうだけど、ちょっとやっぱり対抗できんのかなあという気がしますね。国が積み上げてきた証拠を論破するだけのものを、今まで主張していたような継続性がないとかね、悪質性がないっていう議論だけでは論破できないんじゃないか」

これは私も思っていることです。教団側が福本弁護士や中山弁護士の主張をしてくることは十分に予想できたことです。当然、文化庁側はそれに勝てる材料を集めたうえで、解散請求に踏み切るはずです。9月の会見は原則どおりすぎて肩透かしでした。

MVPは山際氏に1票

1:22:48 「もし解散という形にならなかっとしたらどうなるのか、世間はそれで納得するのかって言うと、結構また難しいですよね」

解散請求が出て裁判所が認めなかったときのことです。判断するのは司法ですから、あり得ないことでもありません。裁判は非公開です。議論の過程が見えない中で、解散に値せずという結論だけ示されたのでは世間的な納得が得られるものではありません。だからこそ、文化庁側は裁判官にウンと言わせるだけのものを集めたはずだという見方ができるわけです。

毎日の記者への回答 2:01:29 「韓国との関係っていうのは、70年代とかよりもむしろ最近のほうが強くなっているイメージが僕なんかからはしますね」

「全国祝福家庭総連合会」なる組織の総会長は8人とも韓国人です。今の方相逸・神日本大陸会長も韓国人です。彼らは日本教会の役員ではありません。役員でないものが責任役員(会長)の上に立つという歪んだ組織構造は1990年代以降の話です。

福田ますみ氏への回答 2:19:37 「今回のことに関して言うと、鈴木エイトさんの登場したことが決定的に大きなこと」

最終的に解散となった場合に、もしMVP投票があれば私は山際大志郎氏に一票を投じます。そんなに認めたくないなら、8月5日の改造人事で留任せずさっさと入院でもして、ほとぼりが冷めるのを待てばよかったのに、とぼけきれずに閣僚を辞任したのが10月24日です。

日本からの直行便がないネパールやナイジェリアに行ったことを覚えていないと繰り返して、2か月以上も晒し者になりました。うつろな目の山際氏が主役として注目を集めた続けたわけです。

そこまでして隠したいほど、教団とよこしまな関係にあるに違いないと疑わせてしまったのです。「ここ掘れ、ワンワン」で食いつきたくなるキャラでした。まあ、最終的には深手を負って辞任することになりますが…。

井上義弘参議院議員も「政策に賛同を得られたから家庭連合の賛同会員になった」という、とんでもない言い訳をひねり出しました。錯乱していないのか心配になるロジックですが、「政策に賛同を得られたから(後援会に入ってもらって、バーターで自分も)家庭連合の賛同会員になった」ということなのでしょう。たぶん。

マザームーン連呼の山本朋広氏を含めて情報を小出しにしたのがエイト氏ですので、演出はエイト氏ですが、期待以上の演者に化けたのが逃げられないポストにいた山際氏でした。山際氏がいなければ、こうはならなかったと私は考えています。

ダメージが蓄積していくだけなのに、いつまでも山際氏を切らなかった岸田氏の貢献も大きいのはもちろんのことです。

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