震度ゼロで津波注意報、鳥島近海の頻発地震

震度計がない

10月9日の3連休最終日、JR外房線と内房線が津波注意報を受けて一時的に運転を見合わせました。原因となる地震は午前5時25分頃に鳥島近海で起きていますが、近くに震度計は設置されていません。

鳥島
鳥島(地理院タイルを加工)

この海域では10月5日にもM6.5の地震があり、津波注意報が出て八丈島では30センチの津波が観測されています。鳥島は八丈島とも父島とも離れており、最寄りの震度計は八丈島の南の青ヶ島ではないかと思われます。前回も今回も震度観測上は震度1に達していません。「震度ゼロ」です。

気味の悪い話ですし、このまま収まらないなら、鳥島にも震度計を設置しようという流れになるのかもしれません。今では無人島となっている鳥島ですが、観測所の建物は残っているようです。

鳥島の気象観測所跡

廃止された鳥島気象観測所

気象庁の鳥島気象観測所が閉鎖されたのは1965年11月の群発地震が原因のようです。この建物の規模ですから、有人観測所だったものと思われます。

鳥島西岸の跡地
鳥島西岸の跡地(地理院タイルを加工)

鳥島の最高標高は394mの硫黄山です。気象庁的にはAランク活火山であり、常時観測対象になっていない理由は無人島だからなのでしょう。火口から観測所跡までの水平直線距離は1キロ少々です。

諏訪之瀬島のような「壁」はありませんので、1902年の噴火では北北東の千歳浦集落の全島民125名が死亡しています。当時のことですから、ヘリで救助することはできません。1939年にも大規模噴火で住民全員が退去しています。最近の噴火は2002年8月です。

気象庁の観測所は1947年6月に設置されていますが、おそらく海軍時代の観測所を引き継いだものと思われます。今の地震計は地下設置になるはずですから、コンクリートの建屋で覆えばいいだけのことです。

噴火した場合は、電源となる太陽光パネルが噴石に晒されて、通信が途絶することになるのでしょうが、それでも「データなし」よりいいかもしれません。

八丈島・八重根7:170.6m
三宅島・坪田8:110.5m
神津島・神津8:000.5m
土佐清水8:090.4m
中之島(トカラ)8:260.4m
▲津波の高さ

震源に比較的近い父島の津波は10センチでしたが、はるかに遠い千葉県館山市や鹿児島県南大隅町では30センチです。気象庁はマグニチュードを発表していませんが、津波が起こる規模ではなかったようです。震源が浅いことから、海中地すべりの可能性も指摘されています。

ジョン万次郎が漂着した島

陸生の外敵がいない孤島は鳥類の営巣地になりやすく、鳥島と名付けられた島は各地にあります。それらと区別する必要があるときは伊豆鳥島と呼ばれています。南鳥島や沖ノ鳥島のほうが有名ですから、鳥島と言われてもなかなかピンと来ないものです。

南鳥島と沖ノ鳥島
南鳥島と沖ノ鳥島(地理院タイルを加工)

伊豆諸島の鳥島は、ジョン万次郎が漂着した島として知られています。1841年1月、足摺岬沖で操業していた漁船は嵐で難破し、黒潮で伊豆鳥島に流されます。

5月になって立ち寄ったアメリカの捕鯨船に救助されますが、鎖国という事情もあって国内には戻れません。救助された5名のうち4人はハワイで下船、14歳の万次郎は船長とともにアメリカに渡り、1852年に帰郷を果たします。

英語と航海術を身に着けていたジョン万次郎は1860年には咸臨丸に乗り込み、土佐藩や薩摩藩で重用されます。本人が直接関わったわけではないにせよ、倒幕・明治維新に影響を与えたことで知られています。

なお、鳥島は市町村の帰属が定まっていない島です。青ヶ島村と八丈町が帰属を主張していますが、名目的にも実質的にも東京都が直轄しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました