ストリートビューのない国道399号線

内閣府の「台風第19号に係る被害状況等について」(10/24)に記載されている橋の被害は次のとおりです。このうち盛土流出の2件と橋脚露出の1件はMAPには反映しません。

【国道】
・国道20号 山梨県大月市初狩町下初狩 橋脚洗掘
・国道399号 山形県高畠町 橋梁流出
・国道144号 群馬県吾妻郡嬬恋村大字大笹~田代 橋梁流出
【都府県道】
・福島県 橋梁損傷1
・栃木県 橋脚沈下2
・東京都 橋脚沈下1
・長野県 落橋2
・京都府 橋梁流出1
【 鉄道 】
・JR東日本 東北線 本宮駅~杉田駅間 橋りょう盛土流出
・JR東日本 磐越東線 郡山~舞木間 橋りょう盛土流出
・JR東日本 水郡線 袋田~常陸大子 橋りょう流出
・JR東日本 水郡線 磐城浅川~里白石 橋りょう流出
・JR東日本 水郡線 西金~上小川 橋りょう傾斜
・JR東日本 八高線 群馬藤岡~丹荘間 神流川橋りょう変位
・箱根登山鉄道 鉄道線 宮ノ下~小涌谷 蛇骨橋りょう流出、
・上田電鉄 別所線 上田駅~城下駅 橋りょう落下
・三陸鉄道 リアス線 陸中山田~豊間根 橋脚露出

特定できていないのが国道399号線です。山形県のWebサイトで流出した橋の名前が「金原橋」であること、その所在地が高畠町高畠 (たかはた) であることはわかっています。

大字高畠で国道399号線は最上川水系の下有無川(しもありなしがわ)と2度クロスします。緑のマーカーで示した2つの橋のどちらであるかを特定することができませんでした。

この399号線は福島県いわき市と山形県南陽市を結ぶ国道ですが、いわゆる「酷道」の部類に属すようです。ストリートビューは赤のマーカーの地点で途切れていて、きわどく2つの橋に到達することができせません。

2014年6月撮影のストビューではここから先に進むことができないのです。高畠町は宮城・福島両県と接する県境の町です。

高畠町付近(Google Earthプロ)

アメダス観測地点の高畠も10月12日には観測史上1位の降水量を記録しています。山形県内の観測点で10/12の日降水量が歴代10位以内だったのは次の10地点です。

▼順位、10/12の降水量、観測所名、従来の1位の降水量とその年月日、統計開始年を記載しました。

8位 107.0mm 飛島 159mm(2005/8/13) 1978~
1位 155.5mm 肘折 142.0mm(2016/8/22) 1976~
5位 97.0mm 尾花沢 153mm(1997/6/28) 1976~
7位 134.5mm 大井沢 212.0mm(2013/7/18) 1978~
10位 63.0mm 東根 80.5mm(2016/8/17) 2003~
2位 111.0mm 上山中山 169.5mm(2014/7/9) 2006~
1位 218.0mm 高畠 157.5mm(2013/7/22) 1977~
1位 153.5mm 中津川 124mm(2002/7/10) 1981~
3位 136.0mm 高峰 168mm(1981/6/22) 1976~
1位 185.0mm 米沢 119mm(1978/6/26) 1976~

台風19号による山形県内の住戸被害は200棟弱ですが、5000軒以上の停電が生じています。日本海側の酒田港から飛島への定期航路は12日から4日連続で欠航したようです。

神社に囲まれた丸森町の中心部

自衛隊への災害派遣要請が一番早かったのは12日20:30の丸森町です。丸森町の河川決壊箇所は3河川18か所に及びます。結局、鳥屋は決壊していなかったようです。アンダーラインは前日発表のものに対する追加箇所です。

内閣府「台風第19号に係る被害状況等について」(10/23)

内川の追加が「上林南」と「前川原」ですが、「上林西」と「上林東」はあっても「上林南」はなく、内川沿いにあるのは「前原」ではなく「前原」ですので、MAPでは「上林東」と「前河原」で反映しました。

丸森町中心部の河川と神社(Google Earthプロ)

赤が阿武隈川本流、緑が新川、ピンクが内川、水色が五福谷川、黄色が雉子尾川です。当初の報道では雉子尾川でも決壊があったと言われていました。

さて、川の左岸・右岸は、上流から見たときが基準になります。当初決壊したとされていた町役場のある鳥屋は緑の新川の左岸(北側)です。役場付近の浸水は越水によるものだったことになります。

訂正後の決壊箇所である愛宕田は新川の右岸(南側)です。田畑だけで住戸がないからかもしれませんが、ハザードマップでは白の地帯です。足利同様、こうした中小河川の氾濫はまだ考慮されていないのでしょう。

それはともかく、愛宕田という地名には反応せざるを得ません。本宮にも愛宕神社がありました。鳥居は水につかりましたが、石段の上の本殿はもちろん無事だったはずです。愛宕田があるなら丸森にも愛宕神社もあるはずです。

緑の新川がピンクの内川に合流する地点の東側に丸森町の愛宕神社はあります。神職が常駐する神社ではなく、祠だけの神社かもしれません。周辺の目についた神社にマーカーを打ってみました。

見事に市街地を囲む安全地帯に配置されていました。これはもう感動的ですらあります。これらの神社は、必然性があってそこに配置されたに違いありません。

麻績川の決壊箇所はどこ?

台風19号による長野県の河川の決壊箇所は、散々報道されている長野市穂保地区のほかに次の6か所とされています。

内閣府「台風第19号に係る被害状況等について」

このうち、麻績川(おみがわ)の決壊箇所がまったくわかりません。そもそも「宮の下」という地名が麻績村には見当たりません。「宮本」ならあります。ひょっとすると、「宮本」を「みやのした」と読むのかもしれません。

箱根の「宮ノ下」は芦ノ湖畔の箱根神社を下った場所です。麻績村の神社を探してみようと思ったところ、宮本には「宮川」という名前の川が流れているのに気づきました。この宮川は麻績川に合流しています。

宮川を上流に遡ってみると神明宮がありました。本殿や拝殿は国の重要文化財ということです。「宮」はきっとここなのでしょう。「台風19号MAP」では決壊のマーカーを宮川との合流点付近に置きました。

麻績村付近(Google Earthプロ)

神明宮の東、千曲市との境界付近がスキー場や別荘地で有名な聖高原になります。さて、上の地図の右肩にかすかに見えるのが千曲川です。宮川から千曲川までの最短距離は6キロですが、宮川が合流した麻績川は西に流れています。

麻績川、犀川、千曲川(Google Earthプロ)

黄色が麻績川、赤が犀川、青が千曲川です。道路なら峠越えで整備できますが、川は低いところに流れるだけで、高低差は絶対です。麻績川は迂回しながら犀川に合流し、穂保地区の上流で千曲川に合流しています。

川俣町から南相馬市へ向かう途中の飯舘村で

福島県飯舘村では河川や道路や家屋の被害はなかったことになっています。それはそうなのでしょうが、人的被害は出ています。こんなニュースがあります。

★12日夜、75歳男性が川俣町から勤務先の南相馬市に向かった
★13日朝、飯舘村で運転席まで水が浸かった無人の車が見つかった
★14日朝、近くの用水路で遺体が見つかった

新聞配達のアルバイトだそうです。釈然としないのは、川俣町が中通りに属し、南相馬市は沿岸の浜通りだということです。分水嶺は伊達郡川俣町と相馬郡飯舘村の町村境にあります。県道12号線の町村境の地名はズバリ「水境」です。

飯舘村付近(Google Earthプロ)

川俣町から南相馬市までルート検索すると47分です。隣接する福島市や二本松市なら33分です。わざわざ飯館村を越えて南相馬に通っているのは、震災で川俣町に引っ越したという事情があるからなのかもしれません。

普通のニュースなら、「飯舘村△△で遺体が見つかった」となるはずですが、あいにくこの件ではそこまで報道されませんでした。出発点が川俣町で目的地は南相馬市、事故現場は飯舘村というアバウトな情報しかありません。

飯舘村と南相馬市をつなぐ2車線道路は、県道286号線と12号線です。常識的に考えて、目的地は旧・原町市が有力です。出発地が川俣町なら12号線に限られるはずです。

車が水に浸かっているのですから、事故現場は道路と川が並行しているか交わっている地点です。等高線が入った地理院地図で12号線を辿ってみると、増水時にここは危険だと思われる箇所がありました。

で、このページを書き始めたわけですが、警報時刻を確認するために福島県Webサイトの「台風第19号による被害状況即報 (第10報)」を開いてみると、「深谷地区」との記載があるのを見つけました。

ビンゴです。12号線の深谷地区入口の標高は470mで、深谷地区出口となる駐在所手前は438mです。危険箇所はほぼ中間にあり、その標高は438mです。下った道路がフラットになっている地点です。

2014年9月撮影のストビューです。右前方に見える枯れ草部分が新田川です。丘を回り込むように流れています。トラックのあたりで、県道12号線と新田川はニアミスします。川は道路より急カーブですので、濁流は溢れてしまうでしょう。

大森堰付近(Google Earthプロ)

飯館の時間降水量は次のとおりです。朝刊が販売所に届くのが2時頃だとして、多少の余裕を見て0時前に出発したのかもしれません。雨のピークは過ぎていますが特別警報発令中です。

12日10:00  1.5mm
12日11:00  6.0mm
12日12:00 16.5mm
12日13:00  6.0mm
12日14:00  6.5mm(14:09 飯館村に大雨警報と暴風警報)
12日15:00 16.5mm(15:05 飯舘村に土砂災害警戒情報)
12日16:00 19.5mm(15:48 飯舘村に洪水警報)
12日17:00 25.0mm
12日18:00 34.5mm
12日19:00 29.0mm
12日20:00 32.5mm(19:50 飯舘村に大雨特別警報)
12日21:00 38.0mm
12日22:00 36.5mm
12日23:00 20.5mm
12日24:00 17.5mm
13日01:00 14.0mm
13日02:00  4.5mm

車が発見された13日朝は、遺体のあった用水路はまだ濁っていたに違いありません。水が引いた14日に遺体が見つかったものと思われます。

飯舘村の人口は1950年代をピークに減少を続けています。原発事故当時の風向きの関係で「計画的避難区域」に指定されていましたので(2017/03/31解除)、低地に新しい住宅地が供給されることもなかったわけです。

実際のところ、浸水したのは農地だけなのでしょう。浸水区域に住戸が存在しなければ、浸水による住戸被害も起きないことになります。この現場付近のハザードマップは白です。

流れ橋も流されて

内閣府の「台風第19号に係る被害状況等について」に次のような記載があるのを見つけました。都府県道・政令市道の被災状況の項目です。

内閣府「台風第19号に係る被害状況等について」

京都ぉ? 台風19号の京都は暴風域に入ったか入らなかったのレベルだったはずです。関西の計画運休は一部にとどまり、深刻な被害は出ていないものと思っていました。早速調べてみたところ、たしかに流出したとのニュースがありました。

上津屋橋(Google Earthプロ)

れっきとした京都府道281号線の一部で、木津川に架かる上津屋橋(こうづやばし)でした。衛星写真では細いガス橋のようにしか見えません。幅員3.3mの人道橋です。バイクや自転車は降りて渡るようにという注意書きがあります。

ちなみに、「じゃらん」の口コミ評価は3.9(46件)です。長崎市オランダ坂が3.7、札幌市時計台は3.4、高知市はりまや橋は3.1ですから、全国的に有名な観光名所より高い評価を受けています。

埋め込んだストビューは2017年6月撮影のものです。今回流された橋ではなく先代の橋となります。前回流されたのは2017年10月で、その復旧は2018年6月です。流されたら流されたで、橋桁だけが残っている風景が珍重されるようです。

時代劇のロケで頻繁に使われる上津屋橋は、かつて「探偵ナイトスクープ」に登場したことがあります。2007年6月8日放映の「流れ橋の板は何枚?」で、長原探偵の回でした。

依頼者と長原探偵が板の枚数を数えながら渡りますが、数は一致しません。2往復しても一致せず(1回目の依頼者と2回目の探偵が1784枚で一致)、一緒に数えた5回目が1784枚でしたので、この数値に決まりました。

男2人が木橋を歩いて渡るだけという地味すぎる絵柄に、2往復目になると演出が入ります。華がないからとビキニ姿の女性が登場したり、悪人役に追われた農民(町民?)役が2人をお代官様に見立ててすがったりという仕込みです。

たしかに、簡単に答えが出てしまってはバラエティとしては成立しないわけです。尺を笑いで稼ぐにはこれもありです。なお、流れ橋は両岸の堤防を結んでいるわけではありません。堤防より低い位置に架けられています。

産経のヘリ空撮映像がありましたので埋め込んでおきました。