東京と大阪、記者会見とプレスリリースの相違

◆「台東区の新型コロナ感染者数は連休前の2倍以上」と題して7月5日付で公開したページに事実関係の誤りがありましたので、焼き直しました。


東京都知事の定例会見が始まるのは毎週金曜日午後2時です。

小池知事の定例会見は、都庁の記者クラブにファクスで申し込めば、クラブ非加盟の報道機関やフリーランスの記者も参加可能だ。ただ、会見は都庁の記者クラブ主催ではあるものの、質問する記者は小池知事が指名する。

 会見の“常連”であるフリージャーナリストの横田一氏は、2017年の総選挙で小池知事が「希望の党」を率いて惨敗した際、あの「排除します」発言を引き出したことで注目されたが、その後指名される機会は激減した。他の記者が手を挙げていても、会見は小池氏の判断で打ち切られる。

 会見終了時、指名されなかった横田氏が退室する小池氏に向かって質問を浴びせ、初宿理事がこれを遮るように「記者会見は終了しました。不規則発言はおやめください」とマイクで告げるのが会見の“風物詩”となっている。

ダイヤモンド社>小池都知事が圧勝の裏で露骨にメディア選別、批判的な記者は“排除”

終わり方がいつもスッキリしないのが都知事の会見です。

これに対して大阪府知事の会見は「質問がなくなるまで」が原則です。

東京都福祉保健局Webサイトは今でも空白だらけの報告でお茶を濁しています。下の表の空白部分は「調査中」です。公表する気がないのなら、最初から項目を絞ればいいのにと思わなくもありません。

東京都福祉保健局「新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(第538報)」

「報道数」などという表題からして気になります。まるで報道向けには発表を控えている別の数字があるかのような表現です。「ここまで発表済み」の意味なのだろうとは思いますが…。一方の大阪はこんな感じです。

新型コロナウイルス感染症患者の発生(1886例目から1893例目)について「別紙」

感染ピーク時には大阪でも「調査中」はありましたが、公開が基本です。両者の項目を比較してみましょう。

東京大阪
リリース日×
居住地居住地
年代年代
性別性別
属性職業
渡航歴×
接触歴濃厚接触者
×同居家族
×発症日
重症症状
▲東京と大阪の発表項目

東京にあって大阪にないのはリリース日と渡航歴です。最近やけに発表時刻が早くなっている東京ではリリース日が不可欠なのかもしれません。大阪は毎日16時までの集約分を18時に発表するというルールです。役所的と言えばまさしく役所的ですが、別に悪いことではありません。

該当者がそれほど多くない渡航歴は特記事項で対処すればいいというのが大阪の考え方なのだろうと思われます。現実問題としては、7月の今の時点で渡航歴を確認することにほとんど意味はありません。

大阪にあって東京にないのは同居家族と発症日です。もちろん東京でも同居家族の有無や発症日を調べるでしょうし検査もしているのでしょうが、項目として存在しません。会話できない重傷者が多かった時期ではありませんので、保健所レベルでは把握しているのではないかと思われます。発症日は感染拡大防止には渡航歴より重要な情報です。

東京(左)と大阪(右)の陽性者状況

こちらでは、大阪にあって東京にないのが「検査実施件数」と「現在陽性者数」です。検査数と陽性者数が並んでいると陽性率がわかります。陽性者数は(1)アクティブの隔離対象者、(2)死亡、(3)回復に3区分するのがデフォです。東京の発表の仕方では足し算を強いられることになります。

なぜ、東京と大阪でこんなに差がついたのでしょうか。大阪がうまく機能しているのは、前市長が知事で前知事が市長だからです。府のことをよく知っている市長と短期間とはいえ市長を経験した知事は、ともに大阪都構想を推進している立場でもあります。

大阪19保健所の設立主体は10府市ですが、大阪府と大阪市が同一歩調をとれば、ほかの8市もこれに倣うしかありません。目詰まりが起こりそうな箇所を把握している彼らはいち早く情報共有に取り組んだわけです。

東京31保健所の設置主体は26自治体(1都23区2市)に及びます。もう半年近くになるというのに、いまだに区市と都の役割分担さえ明確になっていないのではないかと危惧されます。東京の新指標7項目は次のとおりです。

  1. 新規陽性者数
  2. 消防に寄せられた発熱などの相談件数
  3. 感染経路不明の人数と増加比
  4. PCR・抗原検査の陽性率
  5. 救急医療「東京ルール」の適用件数
  6. 入院患者数
  7. 重症患者数

このうち新たに加えられた(2)と(5)は土日は更新されないようです。(4)の陽性率も日曜日は更新されませんでした。3月の3連休で痛い目にあったという自覚はないのでしょう。土日がお休みでは兆候を見逃す恐れがあり、モニタリングとは言えません。

実は大阪でも7月3日にモニタリング指標の修正が加えられています。

  1. 新規陽性者における感染経路不明者7日間移動平均前週増加比
  2. 新規陽性者における感染経路不明者数7日間移動平均
  3. 7日間合計新規陽性者数
  4. 直近1週間の人口10万人あたり新規陽性者数
  5. 患者受入重症病床使用率
  6. 確定診断検査における陽性率の7日間移動平均
  7. 新規陽性者における感染経路不明者の割合

また、通天閣のライトアップは6月末で終了しています。

重傷者用ベッドに余裕がある限りはさほど深刻に考えなくてもいいわけですが、東京は陽性率が5%を超えてきましたので、1か月後の不安は否定できません。

5月9日付で東京の区市町村別感染率を算出していますので、再チャレンジしてみました。「感染者」は7/7 19:00更新の数値、「増加率」は2か月前とくらべて累積感染者数が何倍になったか、「感染率」は人口1万人当たりの感染者数です。

市区町村感染者増加率感染率保健所
御蔵島村129.070島嶼
新宿区8882.5225.852(区)
港区3811.3015.004(区)
中野区3321.919.886(区)
渋谷区2241.369.739(区)
台東区1932.549.497(区)
豊島区2622.008.794(区)
中央区1331.438.445(区)
千代田区471.317.652(区)
目黒区1891.406.675(区)
墨田区1681.396.351(区)
世田谷区5581.346.054(区)
杉並区3101.405.385(区)
品川区2071.165.191(区)
江東区2631.935.150(区)
荒川区1082.404.998(区)
文京区1071.374.709(区)
練馬区3371.704.608(区)
大田区2771.413.803(区)
板橋区2142.163.728(区)
北区1291.613.704(区)
狛江市281.403.400府中
葛飾区1491.353.305(区)
府中市831.263.175府中
小金井市382.713.068府中
西東京市591.402.920小平
足立区1951.652.878(区)
多摩市391.342.643南多摩
江戸川区1731.402.505(区)
清瀬市181.382.390小平
三鷹市401.482.101府中
武蔵野市261.441.777府中
東久留米市191.581.633小平
調布市381.091.614府中
小平市311.941.609小平
町田市641.361.475(市)
東村山市212.101.400小平
あきる野市111.571.369西多摩
立川市241.851.338立川
稲城市121.201.329南多摩
国分寺市151.251.205立川
昭島市131.441.162立川
日野市211.171.116南多摩
国立市81.331.072立川
八王子市561.330.971(市)
東大和市81.330.945立川
羽村市51.000.907西多摩
青梅市103.330.738西多摩
瑞穂町22.000.605西多摩
日の出町10.577西多摩
福生市33.000.516西多摩
武蔵村山市21.000.279立川
▲東京の区市町村別感染者数

23区で増加率が2倍に達したのは、新宿区、台東区、豊島区、荒川区、板橋区です。一方で港区、渋谷区、中央区の増加率はそれほど高くありません。

台東区の増加は、院内感染が発生した永寿総合病院関連で「調査中」だった94人を5月11日に加算したことによるものです。

台東区の累積陽性社数の推移
台東区の累積感染者数

荒川区では先月末から介護施設で20人規模の集団感染が発生しています。これを差し引けば標準的な数値におさまります。板橋区では区内の新規感染者をグラフ化していますが、感染経路などはノータッチです。

板橋区の新規感染者数
板橋区の新規感染者数

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