標高1mの「高原」は宮城県亘理町の阿武隈川沿い

3つの高原町

「高原」の文字列を含む基礎自治体は次のとおりです。

(宮崎)高原町たかはるちょう1934年に町制施行
(広島)神石高原町じんせきこうげんちょう2004年に4町村合併
(愛媛)久万高原町くまこうげんちょう2004年に4町村合併
▲「高原町」

宮崎県の高原町は高原村が1934年に町制施行しています。読みは「たかは」であり、「こうげん」ではありません。町役場付近の標高は210m台ですが、天之逆鉾で有名な標高1573mの高千穂峰を町域に含んでいます。

3つの高原町
3つの高原町(地理院タイルを加工)

神石高原町は油木町、神石町、三和町、豊松村の神石郡4町村が合併して成立しています。新町名は公募により新神石町、神栄町、神星町、神石高原町、平成村の5点に絞られ、33票中22票を得た「神石高原町」に決まっています。「神石高原」産の農産物ということで使われていたようです。

○現在、農協をはじめ、まるごと市場等で使用されており、郡民・福山方面にもなじんでいる。
○県内だけでなく全国的にもブランドがあり、歴史的にも受け継いでいく為神石の名を残し、高原が望ましい。
○神石郡は高原の地であり、地形的に相応しい。

神石郡合併協議会「じんらいむ」16号(5ページ)

久万高原町は上浮穴(かみうけな)郡5町村のうち小田町を除いた久万町、面河村、美川村、柳谷村が合併しています。新町名の最終候補は久万、美川、くま、石鎚、高原でした。高原と久万が12票同数で再投票となり、13対11で「高原町(こうげんちょう)」に決まります。

 新町名の選定については、協議会で新町名候補選定小委員会を設置し、小委員会で選定した5候補を確認了承するとともに、公募、新町名候補選定小委員会、協議会で、正当な手続きをもって正式に高原町と決定した。
 本来、協議決定事項について再検討を加えることは望ましくない。しかし、お互いに己を捨て、将来の地域全体を見据えて取り組まなければならない自治体の合併作業において、協議会から再検討の是非の検討をゆだねられた新町名検討小委員会では、さらに地域住民の一体性を確保することができ、しかも新町誕生にふさわしい町名の表現ができる可能性があるのではないかとの判断に至った。

かみうけな合併協議会だより第13号「新町名検討小委員会報告書」(2ページ)

いったん正式に決まった「高原町」が「久万高原町」に変わったのは、「久万」を残したい思惑が働いたものと思われます。宮崎の高原町から注文がついたわけではなく、あくまでも内部事情です。

標高の低い「高原」TOP10

自治体名にこだわらなければ、標高の低い「高原」の地名は各地にあります。こんなにあるとは思っていませんでした。読みはほぼ「たかはら」です。

0m山口長門市(高原瀬)
1m宮城亘理町逢隈蕨高原おおくま わらび たかはら
2m福島いわき市平原高野高原たいら はらごや たかはら
3m福島いわき市平荒田目高原たいら あっため たかはら
3m沖縄沖縄市高原1~7丁目たかはら
8m徳島石井町高原たかはら
9m徳島上板町(高原)
10m宮城大崎市松山須摩屋高原まつやま すまや たかはら
10m愛知刈谷市(小高原小学校)おだかはら-
11m茨城水戸市(高原)
11m京都八幡市川口高原かわぐち たかはら
▲標高の低い「高原」

山口県長門市に「高原瀬」と名付けられた岩礁があります。おそらくここが最低標高の「高原」だと思われます。どんな理由で「高原」にしたのか、膝を突き合わせて小一時間じっくり聞いてみたい気がします。

高原瀬
高原瀬(地理院タイル

地理院地図では平瀬の北東に高原瀬がありますが、山口県の図版では「高原瀬」は平瀬の北西だったりします。ひょっとすると高原瀬は東西に長いのかもしれません。「原」に意味があるのだとすれば、広いほうが都合がいいのです。「鷹」が舞う「原」のような「瀬」と読み解けないわけでもありません。

山口県>津波災害計画区域の指定の工事に係る図書

亘理町の高原は標高1m

宮城県亘理町の「高原」は阿武隈川河口まで3キロありません。仙台空港から9キロです。

仙台空港から9キロ(地理院タイルを加工)

居住地として最低標高の「高原」ではないか思われるのが亘理町逢隈蕨の「高原」です。常磐自動車道の東側に0.8mの三角点があります。

亘理町の高原
亘理町の高原(地理院タイルを加工)

当然、東日本大震災では津波被害を受けているはずです。下の地図の色塗り部分が浸水地域で、赤矢印付近が亘理町の「高原」です。

亘理町東日本大震災活動等記録集

2011年7月撮影のストビューを見ると、「高原」地区の建物は深刻な被害は受けていないようです。床下レベルで済んだのかもしれません。亘理町4地区のうち、阿武隈川河口付近の荒浜は震災前から人口が半減し、上の地図の範囲外(南)にある吉田も2000人ほど減っていますが、逢隈地区は若干増えています。

最低標高の「こうげん」はどこ?

これがもともとのテーマです。確認できた範囲でもっとも低い「高原(こうげん)」は、標高42mの「道の駅十三湖高原」でした。津軽半島の五所川原市です。

十三湖高原
十三湖高原(地理院タイルを加工)

シジミが名産の十三湖はいたって素直に「じゅうさんこ」と読みます。面積は日本で21番目です。名称の由来については、13の集落があったとか、13本の河川が流れ込んでいるからという説も説明されていますが、やはりアイヌ語の「トーサム」がもっとも有力と思われます。

2018年4月撮影のストビューを埋め込みました。道の駅の展望台からの風景です。

十三湖は汽水湖ですので水面標高はゼロメートルです。「高原」とは相対的なものでしょうから、標高42mでも高原でいいのかもしれませんが、植生が変わってこその高原感だと私は理解しています。

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