新自由クラブで当選した最後の1人が甘利幹事長

◆このページは敬称略としています。

新自由クラブ結党

1976年6月、6人の自民党国会議員が新自由クラブを結成します。10年後の1986年8月には解党して大半は自民党に復党することになりますが、新自由クラブの初代代表は河野洋平でした。結党時の衆議院議員は次のとおりです。赤字は新自由クラブ公認、太字は当選、数字は当選回数です。選挙区は中選挙区制の時代です。

選挙区76798083869093
河野 洋平神奈川5新4新5新6新7新8自9自10
西岡 武夫長崎1新5無6無7自×自8自9自10
山口 敏夫埼玉2新4新5新6新7新8自9無10
田川 誠一神奈川2新6新7新8新9新10進11
小林 正巳兵庫3新2新×新×無×
▲新自由クラブ結党時の5代議士(参院:有田一寿)

ブームと離反と

1976年12月の総選挙では現職5人に加えて12人の新人が初当選を果たします。大原一三は当選後の追加公認で、鳩山邦夫は新自由クラブ推薦で初当選しましたが自民党に入っています。

選挙区76798083869093
甘利 正神奈川3新1新×新2
甘利 明神奈川3新1新2自3自4
伊藤 公介東京11新1新×新2新3新×自4自5
中川 秀直広島2新1新×無2自3自4自×自5
菊池 福治郎宮城2新1無2自3自4自5自×自6
中馬 弘毅大阪6新1新×新2新3新×無4自5
依田 実東京9新1新×新2新×
工藤 晃神奈川1新1新×新×無×
鈴木 恒夫神奈川1新×新1自2自×
加地 和京都1新1新×新×
川合 武神奈川4新1新×
永原 稔静岡1新1新×
大成 正雄埼玉5新1無×
刀祢館 正也兵庫2新1
大原 一三宮崎1無1無×自2自×自3自4自5
鳩山 邦夫東京8無1自×自2自3自4自5無6
▲1976年初当選組とその後継者

1979年7月、路線対立から幹事長の西岡武夫が離党し、菊池福次郎らが追随します。同年12月の総選挙で新自由クラブは惨敗し、1980年以降は若干盛り返しますが、1976年のブームが再来することはありませんでした。

選挙区76798083869093
木村 守男青森2新×新1自×自2自3生4
石原 健太郎福島1新×新1新2新×無×
田島 衛東京10無×新1新2新×新×
小杉 隆東京3新×新1新2新3自4自5
泰道 三八千葉1新×無1自×
上田 清司埼玉5新×新×新×
柿沢 弘治東京6新1自2自3自4自5
宇都宮 徳馬東京2無10無×
田中 秀征長野1無×無×無×自1自×自2さ3
▲その他の関係者

宇都宮徳馬は1980年参院選で新自由クラブと社会市民連合の推薦で当選、1986年は新自由クラブの比例1位で当選しています。田中秀征は1976年のみ新自由クラブ推薦による出馬です。

ほかに、松沢成文が自民党に復党しなかった田川誠一の進歩党推薦で1987年神奈川県議選で初当選しています。1985年都議選には山田宏、下村博文、松原仁が新自由クラブから出馬しています(当選は山田のみ)。

旧・神奈川3区

河野洋平が神奈川3区(平塚市、藤沢市、小田原市、茅ヶ崎市など)で初当選するのは1967年です。

河野 洋平30自民106,827票17.2%
河村 勝51民社91,123票14.7%
加藤 万吉40社会77,806票12.5%
平林 剛45社会71,493票11.5%
小浜 新次51公明68,516票11.0%
安藤 覚67自民67,336票10.9%
▲1967年総選挙

1969年総選挙では社会党が議席を減らして自民2議席になりました。次点落選が県議5期を務めた甘利正です。

河野 洋平32自民100,216票14.9%
小浜 新次54公明99,341票14.7%
河村 勝54民社94,558票14.0%
小金 義照71自民92,466票13.7%
平林 剛48社会79,859票11.8%
甘利 正53自民68,020票10.1%
▲1969年総選挙

1972年の総選挙では共産党が初議席を獲得します。トップ当選は河野洋平、次点落選が甘利正です。

河野 洋平35自民141,448票16.9%
小浜 新次57公明112,297票13.4%
増本 一彦36共産107,245票12.8%
平林 剛51社会99,440票11.9%
河村 勝57民社97,436票11.6%
甘利 正56自民96,592票11.5%
▲1972年総選挙

定数が増えた1976年選挙

1976年総選挙は定数が20増えていました。5人区だった神奈川3区は、神奈川3区(藤沢市、茅ヶ崎市、相模原市、大和市、海老名市、座間市など)と神奈川5区(平塚市、小田原市、秦野市、厚木市、伊勢原市など)に分区され、定数はそれぞれ3になりました。

新・神奈川3区では甘利正が念願の初当選です。

甘利 正60新自ク162,029票28.0%
加藤 万吉49社会112,209票19.4%
戸沢 政方57自民110,585票19.1%
小浜 新次61公明108,182票18.7%
▲1976年総選挙

神奈川5区は自民党空白区です。

河野 洋平39新自ク161,081票37.1%
河村 勝61民社96,649票22.3%
平林 剛55社会74,633票17.2%
亀井 善之40自民56,509票13.0%
▲1976年総選挙

このあと、甘利正は1979年総選挙で落選しますが、1980年総選挙で2回目の当選を果たし、1983年総選挙後は甘利明に引き継がれます。新自由クラブの初代代表は河野洋平ですが、新自由クラブで国会議員としての当選実績がある最後の1人が現自民党幹事長・甘利明ということになります。

父・甘利正は県議の前に依知村(えちむら)の村長を務めています。依知村は1955年に厚木市に編入されています。

依知
依知(地理院タイルを加工)

依知村役場跡の石碑が厚木山際郵便局と駐車場との敷地境に建てられています。2019年5月撮影のストビューです。

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