「三杯飲んだら死ぬまで生きる」vs「~死ぬまで長生き」

「一杯飲むと三年長生き?」のオレンジジュース

伊豆半島の東伊豆道路を南下すると、稲取を過ぎて河津町に入ったところに「伊豆オレンヂセンター」さんがあります。

伊豆オレンヂセンター
伊豆オレンヂセンター(地理院タイルを加工)

ここの名物の1つが「ウルトラ生ジュース」です。オレンジの生ジュースです(ブルーベリーもあるようです)。

伊豆オレンヂセンター

ストビューで確認できる幟には「一杯飲むと三年長生き?」の惹句が添えられています。ネットで検索した店内ポスターは「一杯飲んだら三年長生き?」です。現存するのかどうかわかりませんが、この施設はいわゆる秘宝館を併設していました。食事するかウルトラ生ジュースを飲めば「奥の院」に入ることができたはずです。

なぜ1杯で3年なのだろうと思っていたわけですが、「1杯で3年長生き」のお茶が青森・八甲田山にあります。

萱野高原の三軒茶屋

青森駅方面から八甲田山や酸ヶ湯温泉に向かう途中の萱野高原には3軒の茶屋があります。

萱野高原と八甲田山
萱野高原と八甲田山(地理院タイルを加工)

青森市内から登っていくと、手前にあるのが「長生きの茶屋」さんと「カヤ野茶屋」さんです。この2軒は隣接しています。

長生きの茶屋

300mほど登ると、酸ヶ湯温泉直営の「かやの茶屋」さんがあります。3軒とも「ご自由にお飲みください」のお茶が振る舞われています。「かやの茶屋」さんの商品名は「かやの三杯茶」で、惹句は次のとおりです。

一杯飲むと三年長生きし
二杯飲むと六年長生きし
三杯飲むとなんと死ぬまで長生きするという

「カヤ野茶屋」さんの言い回しは少し異なり、お茶の名前は「長生き鶴亀茶」です。

一ぱい のめば 三年長生きし
二はい のめば 六年長生きし
三ばい のめば なんと おどろいたことに 死ぬまで生きる
長生き鶴亀茶

手前の「長生きの茶屋」さんは「カヤ野茶屋」さんと言い回しが同一で、最後が「長生きのお茶」になります。

死ぬまで生きる

「一杯飲んだら○年長生き」を私は何度か見聞きしたことがあります。いわゆるテキ屋の口上だと理解していました。オレンジジュースとお茶なら、歴史がありそうなのは明らかにお茶のほうです。

伊豆オレンヂセンターさんの「ウルトラ生ジュース」というネーミングは、1966年放映開始のウルトラマンではなく1964年東京オリンピック体操競技の「ウルトラC」に由来するということです。それなりの歴史はありますが、オレンジジュースを3杯は飲めません。オリジナル性は萱野高原に軍配です。

1杯で3年、2杯で6年はいいとしても、気になるのは「死ぬまで長生き」「死ぬまで生きる」の相違です。「死ぬまで生きる」のは普通のことです。オリジナルかどうかは別にして、より上質なのは「死ぬまで長生き」のほうです。

ネットで検索すると、秋吉台の別府弁天池湧水は「1杯飲めば1年長生き」のようです。奄美のハブ酒も1杯1年ということです。ハブ酒は何杯も飲めません。和歌山・那智の滝は霊験あらたかなようで滝壺の水が1杯10年だそうです。長寿の水あるいは長寿の滝は各地にあります。

ふと思ったのは、「死ぬまで長生き」よりも「死ぬまで生きる」のほうが深いのではないかということです。過ぎたるは及ばざるが如しで、欲張りすぎると振り出しに戻ると言いたいのかもしれません。惹句として上質なのは「死ぬまで長生き」、警句として良質なのは「死ぬまで生きる」でしょうか。

まさか、酸ヶ湯から伊豆に飛ばされるとは思っていませんでした。

【2024/02/03追記】奥多摩・日の出町の「つるつる温泉」では「入ってつるつる 出てほかほか ひと風呂あびれば長生き十年 重ねて入れば若返る」と謳っています。1996年オープンの施設です。

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