コロナ感染者の急減はウイルス自身の変異が原因?

敵失で危機深刻化を回避

9/28の緊急事態宣言解除を受けた記者会見で尾身茂・政府分科会会長は、コロナ感染者急減の要素として次の5つを述べています。
(1)人が動く夏休みやお盆期間が過ぎた
(2)医療危機が報道されて感染リスクの高い行動を回避するようになった
(3)東京の夜間滞留人口が減少した
(4)ワクチン接種効果
(5)天候の影響
語っている本人も釈然としていない印象を受けた会見でした。その後、ウイルス自身の生存戦略ではないかという報道もありましたが、推測の域を出るものではありませんでした。

 新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を国立遺伝学研究所と新潟大のチームが30日までにまとめた。
 8月下旬のピーク前にはほとんどのウイルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていた。このウイルスではゲノム全体に変異が蓄積しており、同研究所の井ノ上逸朗教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘する。

Yahoo!ニュース>ゲノム変異、修復困難で死滅? コロナ第5波収束の一因か(10/30(土) 16:22 配信元=共同)

対策が奏功したのではなくウイルスの側で自滅していったというこの神風説は、これまでの分析の中でもっとも納得できるものです。

明日にも累積死亡者500万人

Johns Hopkins大による10月30日午後8時22分時点の世界の感染者総数は246,182,902人、死亡者数は4,992,176人です。明日にも累積の死亡者数は500万人に達する勢いです。

世界の新規感染者数の推移
世界の新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 10/30)

世界的には谷を下り切って再拡大に向かう局面に入っているようですが、日本国内の新規感染者数はまだ減り続けています。

日本の新規感染者数の推移
日本の新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 10/30)

最新のgoogle予測では向こう28日間の新規感染者数は4605人です。1日換算で164人にしかなりません。死亡者予測の58人を年換算すると756人ですので、もはや無視しても差し支えないレベルです。年内に時短制限が復活する要素は見られません。実効再生産数も8月末から丸2か月「1」を下回ったままです。

東洋経済オンライン特設サイト>全国の実効再生産数

この様子なら日本の第6波に経口治療薬が間に合うのではないかと思われます。

ヨーロッパで感染拡大中

ロシアを含む東欧では感染拡大中です。

ロシアの新規感染者数の推移
ロシアの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 10/30)

ウクライナも過去最高水準です。

ウクライナの新規感染者数の推移
ウクライナの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 10/30)

ルーマニアはそろそろピークアウトかもしれません。

ルーマニアの新規感染者数の推移
ルーマニアの新規感染者数の推移(Johns Hopkins大 10/30)

この3か国は死亡者数も同じようなグラフを示しています。ワクチン接種率を調べてみました。

必要回数1回
ロシア32.37%37.43%
ウクライナ16.87%23.06%
ルーマニア27.91%28.64%
▲ワクチン接種率(Our World in data

ウイルスの自滅に救われた可能性が高い日本ですが、海外との往来再開も段階的に緩和に向かうことになります。今のところの最大の懸念材料は海外からの持ち込みです。

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