ネット初期時代の論戦
インターネットが普及し始めた2000年代の初頭、某(亡)サイトの掲示板で菅原橋交差点は6差路なのか8差路なのかという論争がありました。物好きな私はJR新小岩駅から徒歩20分ほどの現地を見に行き、③⑧⑨を足せば11差路、ピンクの3本を足せば14差路と言えなくもないと強弁したものです。
ギスギスし始めた掲示板の雰囲気を解消したかっただけで、本気で11差路や14差路だと主張したつもりはありません。先日ネット検索してみたら、20年前にはごく一部の支持しか得られなかった素頓狂な「11差路」説が今ではなんとなく通用しそうな気配が生まれていることに驚きました。
① | 北北東 | 千葉街道 | 江戸時代から存在 |
② | 北東 | 旧・上八幡道 | 明治末期には存在(一通、進入不可) |
③ | 東北東 | (通路) | 交差点に直進できない(車両通行不能) |
④ | 東南東 | 鹿骨街道 | 昭和初期に整備 |
⑤ | 南南東 | 仲井堀通り | 1970年代前半に暗渠化(一通、進入不可) |
⑥ | 南 | 同潤会通り | 1954年頃に接続 |
⑦ | 南南西 | 千葉街道 | 江戸時代から存在 |
⑧ | 南西 | 親水公園南側道 | 水路の側道(車両通行不可) |
⑨ | 南西 | 親水公園北側道 | 水路の側道(車両通行不可) |
⑩ | 西北西 | 鹿骨街道 | 昭和初期に整備 |
⑪ | 北北西 | 仲井堀通り | 1970年代前半に暗渠化(左折のみ可) |
横断歩道基準なら6差路、拡大解釈して8差路
6差路を主張する論拠は次のような明快なものでした。地図で緑色に塗ったA~Gは横断歩道です。
- A-Eの横断歩道の外で①に合流する⑪は交差点外である
- A-Eの横断歩道の外で⑦に合流する⑧は交差点外である
- B-Fの横断歩道の外で④に合流する⑤は交差点外である
- B-Fの横断歩道の外で⑩に合流する⑨は交差点外である
- ③は交差点に直進できないので交差点外である
- よって、菅原橋交差点は①②④⑥⑦⑩の6差路である
これに対して8差路派は⑪についてAとG、⑤についてBとCの横断歩道が隣接しており、交差点内左折不可や一方通行による交差点内進入禁止という配慮がなされていることから、ここまで交差点の範囲を広げてもいいのではないかという意見でした。8差路派は設置されている信号機の表示がすべて「菅原橋」であるとも主張していました。
少数意見として、6差路でも8差路でもなく、①⑦⑪の3差路、①②⑦⑧の4差路、④⑤⑥⑩の4差路にすぎないという意見もありました。昔の話ですので、微妙に違っているかもしれませんが、私はそのように記憶しています。
明治末期(大正初期)の地図ではおおむね次のようになっています。水路もありますが、水路の両側には側道がありますので同じことです。
歴史的には①②⑤⑦⑩の5差路であり、交差点手前の①に⑪が、⑤に④が、⑦に⑧⑨が合流しているというのが限りなく真相に近いのかもしれません。戦後になって⑥が加わっただけの話です。
車で交差点内に進入できるのは5本だけ
②の道路は一方通行で交差点から入ることはできますが、②の道路から交差点に入ることはできません。横断歩道はありませんが、横断歩道に相当する箇所はカラー舗装されています。
③の道路はチャリ同士でもすれ違うことが難しい昔のいわば畦道です。2016年12月撮影のストビューを埋め込みました。
⑤の仲井堀通りも一方通行で、交差点から入れるだけで交差点に進入することはできません。⑧の道路はちょうどバス停で千葉街道に合流します。合流部分には車止めが設置されていますので、車両が交差点に入ることもできませんし、交差点から⑧に入ることもできません。
⑨に関しては、角敷地のマンションが⑨に面した車庫を設置しており、この車庫を利用する2台あるいは3台だけは出入りができます。その先は車止めがあるため、通り抜けることはできません。
⑪の仲井堀通りは交差点を右折することも直進することもできません。つまり⑪から交差点には入れないのです。2021年4月撮影のストビューです。
⑪から交差点内に入ることすらできないという点で、6差路説がやや優勢だったように覚えています。
動画あり
意外と事故は起きないということが話題になっているようですが、車で交差点に入れるのが①②⑤⑥⑩の5本だけですので、思わぬところから車が出てくることはありません。千葉街道のYou Tube動画がありました。
動画は20:10から再生します。⑦から①方面です。チャリを抜いたらすぐに菅原橋バス停です。対向車の軽ワゴンが入っていくのが⑩、前方のトラックが左折するのが⑪です。東京から千葉街道を直進するだけなら「11差路」の存在には気づかないかもしれません。
拡大解釈を重ねて無理やり「11差路」と呼ぼうとしているだけのことですので、実際の交差点自体はそれほど複雑ではありません。ただ、鹿骨街道を直進するなら、初見ではさすがに戸惑いそうです。
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