プール給水を止め忘れた下水道料金
下水道料金の算出に際しては、水道の使用量を下水道の使用量とみなす旨の規定が各自治体の条例に定められています。排水メーターは聞いたことがありません。井戸水の場合は、揚水ポンプにメーターがあればメーターの数値で下水料金が決まり、手押しポンプのようにメーターがなければ世帯の人数に応じた定額制となっているのが一般的です。
井戸水であっても、それを下水道に流すのなら下水道代を払えというのは納得できる話です。高知県の小学校でプールへの給水を1週間止め忘れたため今年7月の下水料金が290万円に及び、高知市が例年との差額分の半額を求償するというニュースがありました(担当教諭66万円、校長と教頭各33万円)。
この学校は井戸水を使用しているため、水道料金は発生しません。むしろ、よく井戸が枯れなかったものだと感心したくなります(枯れたのかもしれませんが…)。
この種の事件はそれほど珍しいことではありません。2015年には千葉市の小学校で、2019年には神奈川県綾瀬市の小学校でやはりプール給水の止め忘れ事件があり、今年の2月にも兵庫県庁で排水弁の閉め忘れがありました。
ニュースのタイミングが例のマスクの問題とかぶったこともあり、まるで高知市はブラック企業だと言わんばかりの意見が多いようです。ニュースでは言及されていませんが、市側は「重過失」扱いで求償請求しているものと思われます。
給水者、給水開始時刻、給水終了予定時刻、給水終了時刻を記載する台帳なり日誌なりが存在するはずです。アナログであったとしても、管理者による押印というダブルチェックが効くようにシステム設計されていることでしょう。
台帳?があるのに不記載や不実記載でこの事件に至ったのなら、「重過失」案件として扱われても仕方がないのではないかと思われます。重過失なら求償請求は排除されませんし、全額賠償を求めたわけでもなく、同情の余地も踏まえた「相場」です。
三日月こそ初月
事件の舞台は高知市立初月(みかづき)小学校でした。初月村は1935年に高知市に編入されています。2021年3月撮影のストビューを埋め込みました。
たしかに「Mikaduki」です。これは「なるほど」のクチです。三日月は厳密には新月から数えて3日目の月(月齢2)ですが、いわゆる新月(月齢0)は真っ暗であり、2日目の月(月齢1)はすぐに沈んでしまいます。実際に目にする機会に恵まれるのが三日月以降と考えるなら、「みかづき」こそ「初月」だと言えるわけです。
ただ、さすがに「初月」を「みかづき」と読むのは難度が高く、みかづきスイミングスクール、ヤマト運輸高知みかづきセンター、みかづき歯科クリニック、みかづきハイヤー、みかづき公園、みかづきクリーニングなど、民間企業や施設はひらがな表記を用いており、「初月」は小学校と交番ぐらいです。
Google日本語入力では「みかづき」を「初月」に変換できませんが、MS-IMEは「みかづき」を「初月」に変換してくれます。
山形県朝日町の初月山
初月小は高知駅から車で10分弱です。旧初月村の村域は今の東久万(~くま)、西久万、南久万、北久万、万々(まま)、中万々になるようです。
地理院地図を検索すると、山形県朝日町に標高376mの「初月山」という山があります。この「初月山」をどう読むのかさっぱりわかりません。
「初月」は訓読みで「はつづき」、音読みで「しょげつ」です。素直に読めば「はつづきやま」か「しょげつさん」になります。「がっさん」の近くであることから「初月・山」ではなく「初・月山」の可能性もありますが、「みかづき」の線は薄かろうと思われます。
Google Mapのクチコミに「はづきやま」との投稿がありました。この2か所以外に「初月」の文字列を含む地名はないようです。
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