お婆ちゃんの記憶
北近畿から山陰にかけての積雪記録を調べたのは今月始めでした。19世紀に観測を始めた彦根地方気象台では積雪深の記録が90センチ台であること、21世紀では2017年に60センチの積雪が観測されていることを私は把握済みでした。
12月27日のNNNニュースでは、彦根地方気象台で午前6時に73センチの積雪が観測されたことを伝えるとともに、「50年くらいこんなのないんちゃう」と言うお婆さんの映像が流れました。彼女の記憶は正しいのでしょうか。
93センチ | 1918/01/09 |
85センチ | 1936/02/03 |
83センチ | 1917/02/03 |
80センチ | 1927/01/31 |
80センチ | 1922/01/21 |
78センチ | 1952/02/06 |
77センチ | 1940/02/09 |
73センチ | 1984/02/10 |
1984年以来の積雪73センチですので、37年ぶりになります。ただ、12月26日の日降雪量は57センチで、1967年1月9日の51センチを上回る観測史上1位でした。こちらは54年ぶりの更新です。「50年ぶり」という彼女の記憶は正しかったことになります。他局のニュースで聞いていただけのことかもしれませんが…。
積雪深の73センチは12月としては最大です。これまで1945年12月19日に観測された57センチが1位であり、12月26日の段階ではあと1センチに迫っていました。
この大雪もあって、琵琶湖の水位はかなり回復しています。この冬の取水制限は免れそうです。
県庁所在地にない地方気象台
地方気象台は県庁所在地に設けられているケースが大半ですが、千葉(銚子)、埼玉(熊谷)、山口(下関)とともに、滋賀では彦根に設置されています。大津市は滋賀県発足時から県庁所在地ですが、京都との距離があまりにも近いためと思われます。
地図の青マーカーが彦根、赤が京都気象台、紫は大津市役所です。アメダス大津は草津との市境に設置されています。
京都地方気象台が「観象台」として開設されたのは1880年(明治13年)です。彦根地方気象台は1993年に「滋賀県立彦根測候所」として設立されています。県立であるからには地理的なバランス上、彦根か近江八幡になるものと思われます。合併の関係もあり彦根市の人口は県内5位ですが、近江鉄道や平和堂の本社は彦根にあります。
気象台の所在地は「彦根市城町」ですので彦根城の近くです。標高87mで風速計の高さは19.7mとされています。
2020年の観測値
彦根気象台の2020年観測値は次のとおりです。最低気温はそれほど下がらず、年較差も小さくなっています。
年降水量 | 186.5ミリ | 618位 | /1293地点 |
年平均気温 | 15.8℃ | 289位 | /922地点 |
年最高気温 | 36.3℃ | 381位 | /922地点 |
年最低気温 | -1.4℃ | 146位 | /922地点 |
年較差 | 37.7℃ | 780位 | /922地点 |
年平均風速 | 2.9m/s | 223位 | /921地点 |
年日照時間 | 1905.9時間 | 288位 | /841地点 |
最高気温は37℃台が5回あります。38℃台はまだ観測されていません。彦根の平均気温等の推移です。
彦根は一度も移転していませんので、夏日と真夏日の日数もグラフにしてみました。
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