本土最少の人口357人、奈良県野迫川(のせがわ)村

本土では最少

2020年国勢調査の速報値で人口の少ない村は次のとおりです。減少数と減少率は2015年国勢調査からの減少数と減少率です。老齢化率は全人口に対する65歳以上の割合になります。本土最少は大川村から野迫川村に移りました。

都県人口減少数減少率平均年齢老齢化率
東京青ヶ島村 離島169人-9人-5.1%44.5歳20.6%
東京御蔵島村 離島323人-12人-3.6%40.9歳17.1%
東京利島村 離島327人-10人-3.0%45.5歳21.8%
沖縄渡名喜村 離島346人-84人-19.5%56.3歳36.4%
新潟粟島浦村 離島353人-17人-4.6%53.4歳37.0%
奈良野迫川村357人-92人-20.5%60.4歳40.9%
高知大川村366人-30人-7.6%54.5歳36.5%
長野平谷村387人-97人-20.0%51.9歳29.7%
和歌山北山村404人-42人-9.4%57.3歳36.1%
鹿児島三島村 離島405人-2人-0.5%45.1歳22.0%
▲人口の少ない村
本土の人口の少ない村(地理院タイルを加工)

人口の推移

「広報のせ川」11月号によれば、2021年10月26日現在の人口は348人で世帯数が210戸です。大川村が373人216世帯ですので、住民基本台帳上でも本土最少の座は揺らぎません。四半期ごとの人口と世帯数をグラフにしてみました。この1年ほどは踏ん張っています。

野迫川村の人口の推移

国勢調査による5年ごとの人口の推移は次のとおりです。ピーク時のほぼ10分の1になります。

国勢調査による人口の推移

10月1日基準の2020年国勢調査が357人、広報誌の同年10月31日時点の人口も357人ですので、球磨村のような差は見られません。

野迫川という川はない

野迫川村と言うくらいですから「野迫川」という川があるのだろうと思っていたら、そんな川は実在しません。標高840m台の村役場の近くを流れる川は北股川です。野迫川は合成地名のようです。1889年(明治22年)の町村制施行時から1度も合併していません。

明治22年4月、川組・組・並組がそれぞれ合併し、現在の野迫川村が誕生しました。

野迫川村>村の歴史と文化財

水系的にはどこに属するのか気になるところですが、北股川(地図の紫)は村内で川原樋川(かわらびがわ、地図の緑)に合流し、五條市を通過して十津川村で十津川に合流します。和歌山県に入った十津川は熊野川と呼ばれるようになります。新宮川水系です。

新宮川水系北股川
新宮川水系北股川(地理院タイルを加工)

野迫川村役場の最寄駅は南海の高野山駅です。村内に公共交通機関はほぼありません。スクールバスを兼ねた村営バスは白ナンバーのようです。Google Mapで県庁までルート検索してみました(もちろん車利用)。

奈良県庁2時間12分
和歌山県庁1時間41分
大阪府庁2時間9分
▲Google Mapのルート検索

熊野古道小辺路

村内随一の宿泊施設と思われる「ホテルのせ川」さんのWebサイトには次のような記載があります。

高野山駅より公共交通機関でのお越しは大変難しくなっています。ご宿泊のお客様には、高野山駅まで無料送迎バス(※)がございます。ご予約が必要ですのでご連絡ください。
※固定時刻にて15:20、送りは朝10:00発です。

ホテルのせ川>アクセス

「○○バス停から徒歩○○分」ではありません。どれほど困難なのか調べてみたくなります。最寄りのバス停は鶴姫公園の「野迫川村総合案内所前」バス停と思われます。護摩壇山行きの予約制急行バスで、標高1100mです(地図の★印)。

野迫川村の観光スポット
野迫川村(地理院タイルを加工)

バス事業者は南海りんかんバスです。時刻表では10時18分の1日1便しか設定されておらず、しかも季節運行で12月から3月までは運休です。Google Mapでバス停からホテルまでルート検索すると、緑の時計回りコースが10.2キロで徒歩2時間27分、黄色の反時計回りコースが11.0キロ2時間32分でした。

緑のルートでは大半が熊野古道小辺路の林道を通ることになります。2013年のストリートビューを辿ってみましたが、対向車とすれ違うことはありませんでした。道路は整備されており、眺望スポットもないわけではありませんが、渓谷沿いではないため単調です。休憩できる施設や自販機やトイレもありません。歴史ロマンに浸ることができるかどうかは微妙なところです。

秘境感を堪能できるのは反時計回りコースです。集落も通過します。畑にはイノシシやシカ対策と思われる防護ネットが張り巡らされています。野迫川村では毎年ツキノワグマの目撃情報があります。村に診療所は1つしかありません。

平維盛の墓も事情は同じで公共交通機関で行くのはほぼ絶望的です。雲海スポットの立里(たてり)荒神社は予約制・季節運行のりんかんバスが土日祝に1日1往復しています。10時23分着で12時11分発です。

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