風速計の高さ95.4ｍの広島地方気象台

広島地方気象台は少なくとも3回移転しているようです。1870年代に開設された気象観測所は7か所しかなく、広島は全国5番目の設置です。

▲広島地方気象台

1879年に広島県立広島測候所として設立された際は、当時の県庁内に設けられたようです。今のHGBホール付近と思われます（A）。

その後、埋立直後の千田町に新設移転しますが、細かくは特定できませんでした（B）。今の千田町アインスタワーの区画には「広島貯金支局原爆被災説明板」が設置されています。爆心地から1.6キロだそうです。

今の広島市立江波山気象館（C）はもともと気象台庁舎だったようです。1935年1月1日から1987年12月31日まで江波山で観測されています。露場がどこにあったのかわかりませんが、A～Dのうちここだけ標高20ｍ台です。

1988年から今の合同庁舎です（D）。風速計は地上からの高さが95.4ｍとされていますので、どう考えても屋上設置です。紅白塗装されたツインタワーがありますが、ストビューでは風速計のプロペラを確認できません。

右端に見える高層建物は26階建て90.57mの「ザ・パークハウス広島タワー」で2016年築です。

「アーバンビューグランドタワー」は43階建て166mで2004年3月築です。建築当時は広島でもっとも高い建物でした。影の長さがわかる航空写真です。

合同庁舎に移転したときはそんな建築計画はなかったわけです。

年平均風速をグラフ化しました。1975年と1988年に赤線表示があります。1975年は風速計の交換ではないかと思われます。

風速計は年中無休でフル稼働しているわけですから経年劣化はあって当然です。徐々にヘタれていくものかもしれないと思いたくなるグラフです。

最大瞬間風速もグラフ化してみました。赤線表示は2007年12月3日です。最大風速に関しては赤線表示がありませんので、最大瞬間風速用の風速計が交換されたものと思われます。

今の風速計では30m/s以上を観測したことはありません。旧・測候所のアメダス呉の最大瞬間風速も同じ2007年12月3日に赤線表示があります。同じタイプの風速計が設置されたものと推測されます。

より海が近い呉では最大瞬間風速35m/s以上が今の風速計では観測されていません。広島や呉の30m/sや35m/sは台風に限られると思われます。ここ15年ほど広島には強風を伴う台風が来ていないだけなのかもしれませんし、あるいは風速計が影響しているのかもしれません。

広島地方気象台の2020年の観測値は次のとおりでした。年最低気温はマイナス0.3℃で真冬日は1日だけでした。今年はすでに6回あります（2022年は19回）。

▲広島地方気象台の2020年観測値

2021年の年降水量は広島にしては異様に多い2200ミリ台です。広島では観測史上3位でした。

▲広島地方気象台の2021年観測値

一転して2022年の降水量は1200ミリ台です。前年比53.4％ですが、平年値は1572.2ミリですので平年比は77.1％です。気候変動が温暖化だけにとどまるなら短期的にはさほどの影響はないかもしれませんが、少雨・干ばつに発展すると経済活動への打撃に直結します。