震災被災地の臨時観測所が廃止、宮古市のアメダス刈屋

臨時観測所

東日本大震災の被災地に設置されていた臨時観測所が2021年12月7日に廃止になっています。地盤が緩んだ地域の土砂災害や洪水を警戒するために増強された施設です。2011年6月14日に岩手、宮城、福島、茨城の計9か所に設置されました。このうち高萩については、一足早く2018年にその役割を終えています。

アメダス臨時観測所
アメダス臨時観測所(地理院タイルを加工)

紫マーカーのアメダス女川は2011年5月に観測を開始しています。近隣のアメダス江ノ島の復旧が遅れたために待ちきれなかったようです。半年後に復旧したアメダス江ノ島は2021年3月で廃止になっています。

今回は宮古市のアメダス刈屋に着目します。2014年5月撮影のストビューです。

擁壁越しに雨量計の頭だけ見えます。宮古市立新里中学校の敷地の端っこに設置されていたようです。雨量のみの観測所でした。

アメダス刈屋

観測施設が設置される前(震災3週間後)の衛星写真です。

アメダス刈屋の設置前

設置後となる2012年4月の衛星写真です。雨量単独のアメダス観測所はストビューの助けがなければ衛星写真だけで特定するのは困難です。

2020年の年降水量は1541ミリで岩手県のアメダス50か所中24位でした。日降水量の最大値は2016年8月30日の179.5ミリです。観測史上初めて東北地方の太平洋岸(大船渡)に上陸した2016年台風10号で観測されています。

宮古との比較

アメダス刈屋の標高は140mです。旧測候所の宮古特別地域気象観測所は標高43mです。両者はほぼ同緯度で、その距離は直線16~17キロです。

刈屋と宮古
刈屋と宮古(地理院タイルを加工)

年降水量を比較してみました。通年観測は9年だった刈屋ですが、年降水量では宮古に9戦全敗です。山間部のほうが雨が多いというわけではなさそうです。

刈屋と宮古の年雨量

刈屋村は1955年に茂市村(もいちむら)と合併し、新里村(にいさとむら)を名乗ります。内陸の新里村は2005年に沿岸部の田老町(たろうちょう)とともに宮古市と合併します。

旧・新里村の村域にはJR山田線の茂市駅があります。刈屋には茂市駅から分岐するJR岩泉線が通っていましたが、2010年の土砂崩れによる脱線事故から運行されることはなく、震災を経た2014年に岩泉線は廃線となり岩手刈屋駅も廃駅となりました。土砂崩れの現場は岩泉町のようです(×印付近)。

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