香港区議会議員選挙の特別枠

私は選挙前に世論調査の電話を受けたことが過去3回あります。知事選で1回だけ付き合いましたが、誰に投票するかを問われて当選ラインには届きそうにない候補者を答えました。意中の候補でもなく、実際の投票行動とも異なります。

香港在住で政府系メディアから電話や訪問対面の事前調査をされたら、民主派に投票するとは絶対に答えない自信があります。自殺行為になりかねません。警察が前に出すぎるとそういうことになってしまいます。

先日の香港区議会議員選挙におけるいわゆる民主派の当選者数について、報道では382~390議席の範囲でさまざまな数字が出回っています。中間派をどうカウントするかの問題なのかもしれません。得票率は民主派56.7%に対して建制派(親中派)41.7%だったそうです。

Wikipedia中国語版で各選挙区の議員の色分けがなされていました。全18区の数字を足し算したところ、民主派388議席、建制派86議席、中間派5議席となります。黄大仙区では25選挙区で民主派が議席を独占、大埔区でも19議席独占です。

2019香港区議選の議席

99年間の期限で1898年にイギリスに租借された新界地区には郷事委員会なるものがあるようです。1898年の中国は清朝時代です。いきなり国家間の都合でイギリス領にされては、昔から現地に住んでいる人にとっては迷惑な話です。

原居民に対して従来の権利を認めることで抵抗の少ない統治が可能になります。このため、清が滅び中華民国から中華人民共和国になっても新界では清朝時代の決まりごとが慣習法として生きていたということです。

郷事委員会はその名残ですが、各郷事委員会の主席は自動的に区議会議員となります。主席を選ぶ選挙は区議選とは別に行われるものと思われます。グラフでは赤で示した郷事委員会枠の27名はすべて建制派です。

今回の選挙は小選挙区で452議席を争い、民主派が388議席、建制派は65議席、中間派5議席でした。民主派の議席占有率は85.9%です。27議席の郷事委員会枠を足し算すると総議席数は479議席で、民主派の占有率は81.0%です。

さて、Newsweekの記事によれば(頁末外部リンクの3段落目)、世論調査は行われていたようです。ただ、その結果を探し出すことができません。また、中国メディアでは新華社はこの結末を掴んでいたようです。

目下のところ、私の関心事は中国当局がなぜ選挙を中止にしなかったのかということですが、駐香港連絡弁公室や香港政府が北京政府に適切な情報を上げていないのだろうという説には同意できます。

【外部リンク】
Newsweek>香港区議選:中国共産党は親中派の勝利を確信していた(今はパニック)
ハフポスト>民主派圧勝の香港区議会選挙、勝者と敗者の声明に明暗くっきり。中国共産党系メディアは「不公平な状況」と牽制

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