2022年の年間日照時間が全国1位のアメダス家島

2022年の年間日照時間全国1位は2866.0hの南鳥島でした。南鳥島はおそらく永遠の1位でしょうし、居住地域ではありません。実質的な全国1位は2508.8hだった兵庫県の家島です。

家島諸島には4つの有人島があります。東から男鹿島（たんがしま）、家島、坊勢島（ぼうぜじま）、西島の4島です。定期便は姫路港から結構な頻度で出ています。所要時間は30分ほどです。

▲家島諸島の有人島（国勢調査、国土地理院2022）

西島の2世帯は採石（砕石）関係と思われます。男鹿島には営業中の民宿が少なくとも2軒あります。昔はダチョウ牧場があったそうですが、痕跡さえ見つかりませんでした。今は採石中心です。

家島と坊勢島にはそれぞれ小中学校があり、家島には高校もあります。漁業が盛んな坊勢島は2000年頃までは人口が増えている島として有名でしたが、今はその面影もありません。家島町に属していた4島は周辺の無人島とともに2006年に姫路市に編入合併しています。

4島の位置関係は次のとおりです。坊勢島と西島の距離は50ｍほどしかありません。

西島の採石場の航空写真です。

この採石場を4人で稼働させているとは思えません。採掘しているのは花崗岩系のようです。西島には1969年まで朝鮮初級学校の分校があり、日本人児童が通っていた時代もあるそうです。

同じく採石主体の男鹿島には私好みの「湖」もあります。

さて、アメダス家島は島のほぼ中央に設けられています。あいにくストリートビューがありませんので、特定することはできませんでした。標高は88ｍとされています。アメダス家島では最高気温が高くなりません。35℃以上は過去3回だけです（1978年12月統計開始）。

▲家島の35℃以上

アメダス家島の最大瞬間風速1位は去年の台風14号で観測された33.7m/sです（アメダス観測所の最大瞬間風速は2007～2008年が統計開始です）。アメダス四国中央の47.4m/sは暴風域の外でしたが、家島の33.7m/sは暴風域内だったはずです。

去年の日照時間を周辺の3地点と比較してみました。明石は全国4位、小豆島の内海は12位です。姫路はやや内陸に観測所があります。

家島は1月からスタートダッシュを決めて、年間累積日照時間1位を1度も譲ることがなかったようです。

日照が長く雨が少ないのが瀬戸内気候ですが、アメダス家島で年降水量がもっとも少なかったのは2005年の538ミリです。ところが、1976年9月10日の日降水量は528ミリ＋αでした。この日は一部欠測がありますので、実際には538ミリを超えていたはずです。

▲1976年台風17号の降水量

表に記載した平年値は1991～2020年の数値ですが、家島ではほぼ1年分、小豆島の内海では1年分以上、姫路でも半年分の雨が降っています。

死者・行方不明者171名を出した台風17号は奄美大島を過ぎてトカラ列島付近で停滞し、四国から関東に伸びる前線も丸2日停滞しました。全国の総雨量は過去最大クラスと言われています。

なお、1976年当時のアメダス家島は島の南側に設置されていたようで、現在地に移転したのは1978年12月ということです。

2020年の日照時間は全国13位でした（表の順位はすべて降順）。夏はそれほど暑くなく、冬はあまり寒くないという理想的な気候です。

▲アメダス家島の2020年観測値

2021年の年最高気温は33℃台です。兵庫20地点では標高540ｍの兎和野高原に次いで最高気温が上がらない観測所になります。

▲アメダス家島の2021年観測値

2022年の降水量は大台に届きませんでしたが、家島では1984年に赤穂から海底送水管が通じており、現地の少雨がストレートに渇水につながるわけではありません。