和歌山県橋本市の柏原(かせばら)と三重県名張市の赤目町柏原

「柏原」の地名は全国に100前後あります。その読み方は12~13通りに及びます。

橋本市の柏原

橋本市は「かせばら」の読みで問題ないものと思われます。郵便番号検索では「カセバラ」です。ただ、橋本市が運営している「はぴもと」と題する子育て情報サイトで柏原保育園のURLが「/hoikuen/kashiharahoikuen」となっています。「かしはらほいくえん」です。

アドレスが「かしはら」だというだけのことで、「かしはら」という振り仮名が振ってあるわけではありません。当地のストビューを確認してみました。保育園や幼稚園はその名称をひらがな表記した看板を掲げていることがよくありますが、残念ながら私の期待は裏切られました。

あまり役に立ちそうにないタウン情報サイトには、よせばいいのに「ハシモトシリツ カシワラホイクエン」という読みが記載されています。広告掲載が主目的と思われるサイトですので信憑性は薄いわけですが、一応は考慮せざるを得ません。

市立柏原保育園は2020年3月で閉園となり、その敷地には市内3園を統合した新しい施設が建設され、私立「山田さつきこども園」として2021年4月に開園しています。どうやら「はぴもと」という公設サイトは歴史証人の役割を果たしているだけのようです。

サイト自体が外注かもしれず、そうだとすれば市外の業者が作成したものかもしれません。個人サイトならいざ知らず公設サイトなのですから、開園から1年近く経過しても新設こども園のページがないというのは怠慢と言われかねません。

柏原文書(かせばらもんじょ)

「アップグラン カセバラ」という賃貸物件が複数ヒットします。もちろん橋本市柏原の所在です。家主がカセバラさんである可能性は排除できませんが、地名としての「柏原」を採用したとも考えられます。

橋本市柏原
橋本市柏原(地理院タイルを加工)

和歌山県Webサイトでは、柏原にある西光寺所蔵の古文書が県指定有形文化財に指定されたときのPDHに「かせばら」との振り仮名が示されています。

○橋本市柏原(かせばら)区の所有する数千点に及ぶ古文書群のうち、寛元(かんげん)2年(1244)~慶長(けいちょう)2年(1597)の中世文書140点。現在は、近代製の「黒箱」に納められている。

和歌山県>柏原文書について

縄文遺跡の遺跡名称の場合には信頼度が落ちますが、さすがに古文書関係の文化財なら信頼していいのではないかと思われます。

名張市赤目町柏原

三重県名張市赤目町柏原を流れる川は滝川です。その名のとおりで、上流(南)には赤目四十八滝と呼ばれる渓谷があります。滝川は宇陀川に合流し、宇陀川は名張川に合流します。名張川は2府2県を行ったり来たりしながら最終的には淀川として大阪湾に注ぎます。三重県名張市は水系的にも関西圏です。

名張市赤目町柏原
名張市赤目町柏原(地理院タイルを加工)

郵便番号検索では「アカメチョウカシラ」ですが、これが実は形勢不利なのです。織田信長の大軍に攻め立てられて、当時の領主が籠ったとされるのが柏原城です。この柏原城にはタモさんが訪れたそうです(2020年2月放映ブラタモリ)。

伊賀流忍者の歴史を語るうえでは欠かせない「天正伊賀の乱」の決戦の地である、『柏原城址(かしらじょうあと)』にも訪れていました。
柏原城は「天正伊賀の乱」終戦の城とも呼ばれています。
永禄年間に滝野貞清によって築かれた城で、1574(天正2年)に貞清が死去したのちは十郎吉政が跡を継いでいます。そして1581年(天正9年)の「伊賀の乱」では百地丹波守はじめ周辺の土豪がこの城に集結して最後の抵抗を試みましたが、織田信長に降伏することになりました。

名張市観光協会「なばり観光ガイド」>NHK『ブラタモリ』で紹介されました!「柏原城址」へのアクセス案内

観光協会さんだけではありません。柏原城に関してはWikipediaも「かしらじょう」としています。市のWebサイトでも「かしら」です。もちろん、城は「かしら」、字は「かしら」と使い分けるものなのかもしれません。

名張市Webサイトで「かしら」と「かしら」をサイト内検索すると、2021年の市道の通行規制に関するExcelファイルがヒットします。「柏原」は11セルに使われていますが、そのうち9セルが「かしら」、2セルが「かしら」で入力されたようです。少なくとも土木関係の市役所職員は「かしら」に馴染んでいるようです。

なお、名張市の中心市街地には「丸の内」という地名があります。一般に「名張城」と呼ばれるのは、こちらの陣屋です。伊賀上野城のように天守を備えた建物ではなく、移築された門と屋敷があるだけです。それを城門と呼ぶなら城門です。城に定義がありませんから…。

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