主催者側の論理として
聖隷クリストファーのセンバツ落選が依然として波紋を広げています。それほど意外な選考ではなかろうというのが私のスタンスです。
秋の東海大会は4県から各3チームが出場し、県1位チームは1回戦不戦勝でシードされます。東海地区の出場枠は2校ですから、優勝した日大三島が選ばれるのは当然のことです。日大三島は静岡大会と東海大会を次のように勝ち上がりました。
東海 | F | 6○3 | 聖隷 |
東海 | S | 10○5 | 大垣日大 |
東海 | 2 | 5○2 | 津商 |
静岡 | F | 7○2 | 聖隷 |
静岡 | S | 5○2 | 静岡 |
静岡 | Q | 10○9 | 掛川西 |
静岡 | 3 | 11○0 | 三島北 |
静岡 | 2 | 10○1 | 藤枝東 |
2校目を選ぼうとするとき、候補になるのは日大三島に負けたチームです。これら以外の高校は、これらの高校に負けているのですから、2校目に割り込む余地はありません。
気になるのは日大三島と静岡県大会準々決勝で接戦を演じている掛川西です。スコアから想像されるのは日大三島がエースの登板を回避したということです。いずれにしてもハイスコアの接戦ですので、さほど高い評価にはなりません。
静岡3位の静岡高校は東海大会の1回戦で大垣日大に負けていますので、この直接対決の結果から2校目にはなり得ません。
聖隷、大垣日大、津商の3校は日大三島に負けたという点ではイーブンです。相互に直接の対戦はありません。ただ、聖隷は東海大会2回戦で中京に勝っていますが、大垣日大は岐阜県大会決勝で中京に負けています。中京高校を間に置いて考えるなら、「聖隷>中京>大垣日大」の序列も成立するわけです。
自滅した中京
聖隷と中京の試合は終盤の逆転勝ちです。
聖隷 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | =4 |
中京 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | =3 |
9回表にピッチャーが走塁妨害をとられて1点差、その後は3四死球で逆転だったようです。妨害やボークから投手が崩れていく高校野球ではありがちな展開です。典型的な「勝ちに不思議の勝ちあり」の試合です。中京が自滅したと捉えられても仕方がないものと思われます。
これを聖隷が中京の自滅を誘ったと評価すれば「聖隷>中京>大垣日大」の序列が成立します。9回の攻防が評価対象外なら、3者の関係はまだイーブンです。この試合に対する評価で、話が大きく変わってくるわけです。
東海大会準決勝も見ている分には面白い試合だったようです。
至学館 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | =8 |
聖隷 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 0 | 0 | 4x | =9 |
ロースコアの1点差なら負けたチームも評価されますが、ハイスコアではなかなかプラス評価に働きません。
準優勝は2位ではない
陸上競技のよ~いドンならタイム順で1位、2位、3位を決められますが、トーナメント大会では1位は決まっても2位以下は決められません。トーナメント大会における準優勝は2位ではありません。2003年センバツの北信越2枠は、02年秋の北信越大会で優勝した遊学館とベスト8の福井が選出されています。
北信越大会の準優勝は福井商でしたが決勝はコールド相当の大差でした。優勝した遊学館をもっとも苦しめたのはベスト8敗退の福井です。福井は2002年秋季県大会準決勝で福井商に勝っています。2校目が福井に転がる理屈は通っています。
1校目は優勝した遊学館なり日大三島です。2校目については遊学館や日大三島に負けたチームのいずれかであるべきです。今回の選出はそこの逸脱はありませんので、問題はないというのが私なりの理解です。それほどの無理筋ではありません。
福井商を選ぶか福井を選ぶか、聖隷を選ぶか大垣日大を選ぶかは選考委員会の見識です。別ブロックを勝ち上がってきたからといって、必ずしも2位とは言えません。聖隷は日大三島に2度負けていますが、大垣日大は1度負けただけです。
「個人の力量」は本音ではない
そうは言っても、「個人の力量」が説明にならないのは明らかです。無難に「地域性」を押し出したほうが理解は得られやすかっただろうと思われます。奥歯にモノが挟まったような言いようは、何らかの別の理由が存在するからだろうと考えるのが自然です。
ようやく「なるほど、そういうことだったか」という報道が出てきました。配慮が必要だとしても、そこはオープンにしたほうがよかろうと私は考えています。私はすでに野球ファンではありませんので、完全に他人事ですが…。
固定ページに「21世紀枠選出校の勝率」というページを作成しました。今後のウォッチ対象とします。今回の21世紀枠選出校のうち只見は福島県大会で学法石川に負けています。東北大会準優勝の学法石川は選出されていますので、只見が県大会敗退でも「逆転現象」にはなりません。
大分舞鶴は大分県大会決勝で負けた明豊に対しては「逆転現象」が生じていますが、九州大会で負けた大島は今回「お情け無用」で出場しますので、辛うじて許容範囲内です。
丹生は福井県大会準決勝で14対0という派手なスコアで福井工大福井に負けています。福井工大福井は北信越大会初戦負けでセンバツを逃しました。直接対決で勝ったチームが出られないのに、負けたチームが出られる制度は受け入れられないというのが一貫した私のスタンスです。
特別枠を設けたからといって、「あと一歩」のチームがなくなるわけではない。出場枠が有限である以上、「タッチの差」は常について回るのだ。グレーゾーンが拡大したことによって、逆に当落線上からこぼれ落ちるチームは増える。どこかを引っ張りあげれば、必ず別のどこかがしわ寄せを受けるのだ。
旧セットポジション>21世紀枠の正体
別に「あと一歩」組のチームが嫌いなわけではない。むしろ私は待ち望んでいる。だが、それは自力で壁を突破してほしいということなのだ。
20年経過しても、この考え方はいささかも揺らぐものではありません。私が野球ファンであった時代の東海地区の一般選考枠は3校でした。2校に減ったのは21世紀枠によるしわ寄せです。
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