面白山(おもしろやま)
隣り合う県庁所在地・山形市と仙台市の市境(かつ県境)にそびえるのが標高1264mの「面白山」です。1225mの「南面白山」もあります。JR仙山線の山形側には「面白山高原駅」という駅があり、この無人駅を仙台方面に出発した電車は「面白山トンネル」に入ります。
面白山高原駅(おもしろやまこうげんえき)の所在地は山形市大字山寺「字面白山」です。私が乗った当時は、まだホームが短く停車した電車の一部はトンネル内でしたが、今は6両編成に対応しているようです。
仙台側から見ると面が白く見えることから、「面白山」と名付けられた。
Wikipedia>面白山
それでは面白くありません。
山形県山辺町(やまのべ-まち)には「面白口」バス停があります。「大字北山字面白」は「おもじろ」と読むようです。県境の面白山とは30キロ弱の距離がありますので、両者に関係はないはずです。
千葉県大多喜町には面白峡水力発電所があり、字としての「面白」もありますが、読みはやはり「おもじろ」です。
面白川(つらじろがわ)
四国中央市では「面白川」が瀬戸内海に注いでいます。
源流となる赤星山には「面白の滝」もありますが、残念ながら読みは「つらじろ」です。
面白谷(?)
松江市の玉造温泉駅と宍道湖SAの間にあるのが面白谷です。
なんと読むのかは微妙です。「全国遺跡総覧」には「おもしろだに」と記載されています。
これを素直に信じるなら「おもしろ」でいいわけですが、面白谷には「おもじろ釜」があります。2018年6月撮影のストビューを埋め込みました。
まあ、谷は「おもしろ」で、釜は「おもじろ」なのかもしれません。その可能性は否定できません。
おもしろない
結局、一番面白いのは北海道・雨竜町の「おもしろない」です。字としての「面白内」と雨竜川の支流「面白内川」があります。
角川地名辞典には「アイヌ語のオモシリオナイ(川尻に島がある川の意)に由来する」との記述があります。単にアイヌ語に漢字を当てただけですから「重城内」でもよかったのでしょうが、その当時は「面白い」という表現が日本語にはなかったかもしれません。
小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年だった。良平は毎日村外れへ、その工事を見物に行った。工事を――といったところが、唯トロッコで土を運搬する――それが面白さに見に行ったのである。
青空文庫>芥川龍之介「トロッコ」
「トロッコ」の初出は1922年だそうです。雨竜の開拓は1890年に始まっていますが、いつから「面白内」の漢字が当てられたのかはわかりません。
なお、「面黒」の文字列を含む地名は見つかりませんでした。「面(つら)」が白いから「面白」があるのなら、「面黒」があってもよさそうなものです。
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