アメダス地点名は「奥日光」、正式名称に奥はない

アメダス奥日光は次のように名称を変えています。真っ先に無人化された旧・測候所の1つです。

▲アメダス奥日光

観測地点名としては2003年4月から「奥日光」ですが、正式名称は「日光特別地域気象観測所」のままです。看板にも「奥」は付いていません。

東武日光駅は標高540ｍ台です。日光寺社群の玄関に当たる「神橋（しんきょう）」は標高590ｍ近くです。

東照宮の「三猿」付近には標高650ｍの等高線が通っています。眠り猫はさらに登ったところでスタンバイしています。アメダス奥日光は中禅寺湖の湖畔にあり標高は1292ｍになります。気温観測を伴う観測所としては富士山と野辺山に次ぐ3番目の標高です。

東照宮付近とは3～4℃の気温差があります。この落差を埋めるために「奥日光」の地点名が採用されているものと思われます。

開設当初の「中宮祠（ちゅうぐうし）」という名称は、アメダス奥日光の所在地が「日光市中宮祠2478」だからです。湖畔の名所に二荒山神社（ふたらさん-じんじゃ）の中宮祠があります。

男体山の頂上に奥宮があります。中宮祠は登山道入口の手前です。宇都宮市内にあるのは二荒山神社（ふたあらやま-じんじゃ）です。区別のために、東照宮の隣は日光二荒山神社、みんみん本店の近くは宇都宮二荒山神社と表記されることが多いようです。神橋近くにあるのは別宮です。

二荒山神社の本宮は東照宮のお隣です。東照宮の五重塔を左折すれば二荒山神社です。

弘法大師が「二荒」を「にこう」と読んで「日光」になったという伝承もあるようで、相変わらず弘法大師さんは各地で大活躍です。

中宮ではなく中宮祠なのは、最初は祠（ほこら）しかなかったということかもしれません。奥宮への登拝期間は5月5日から10月25日までです。日没までに戻れるように、登山の受付は正午がリミットです。

アメダス奥日光は移転していないようですが、1998年に緯度が0.002度小さくなっていますので、敷地内で観測露場が移ったものと思われます。庁舎の解体か不要敷地売却の関係なのでしょう。売却先は二荒山神社だそうです。

なお、去年の11月に日光市瀬川のアメダス今市が日光市稲荷町の「日光東町」に移転しています（穂標高差150ｍ近く）。日光東町が東照宮付近、奥日光が中禅寺湖や華厳の滝という理解でいいものと思われます。

アメダス奥日光の年平均気温は次のように推移しています。

2023年の年平均気温を10月までの実績と11月・12月の平均値を用いて試算すると8.5℃です。これまでの観測史上1位は2018年と2020年の8.1℃ですので、更新は確実視されます。

月平均気温が20℃台は去年まで5回ありました。今年は7月が20.0℃、8月が20.4℃です。7月と8月がともに20℃台は初めてです。夏日の日数は37日で、2018年の34日を上回りました。

真夏日は過去5回観測されていますが、2023年の猛暑日はありませんでした。標高が標高だけに猛暑日や熱帯夜が観測されたことはありません。最高気温は2018年8月5日の30.8℃、日最低気温がもっとも高かったのは1953年8月18日の21.1℃です。

最低気温はそれほど下がるわけではなく、1984年3月15日のマイナス18.7℃がレコードです。今年の1月25日にはマイナス15.0℃を観測しています。マイナス15℃台は2001年2月15日以来今世紀2度目でした。

2020年～2022年の観測値は次のとおりです。

▲奥日光の2020年観測値

▲奥日光の2021年観測値