富士山頂
気象庁職員は国家公務員のはずです。現状では山梨県の一部に寒冷地手当の適用があるものの、静岡県には寒冷地手当がありません。富士山頂の気象観測は1932年に始まっています。有人で通年観測していましたが、2004年に無人化され、気温と日照のみの観測です。

測候所跡にある標高3774.9mの電子基準点です。2013年7月撮影のストビューを埋め込みました。
富士山の最高気温は1942年8月13日に観測された17.8℃です。最高気温で戦前の観測値が1位のまま残っている観測地点はかなり珍しいものと思われます。2020年の観測値は次のとおりです。
年平均気温 | -5.2℃ | 922位 | /922地点 |
年最高気温 | 14.9℃ | 922位 | /922地点 |
年最低気温 | -30.1℃ | 907位 | /922地点 |
年較差 | 45.0℃ | 292位 | /922地点 |
年日照時間 | 332.3時間 | 841位 | /841地点 |
気温の推移
平均気温等の推移をグラフ化しました。欠測の多い年(気象庁サイトの]印)はブランクにしましたのでスカスカですが、年平均気温は1998年の-4.6℃が1位です。2位が2016年、3位が2020年、4位タイが2015年と2010年、6位タイが2018年ですので、温暖化の傾向は富士山でも見られます。

富士山では測候所時代の1966年9月25日に最大瞬間風速91.0m/sを観測しています。1960年代に90m/sを測れる風速計があったというのも驚きですが、この1966年9月25日には2つの台風が日本に上陸しています。
台風24号が高知県安芸市付近に上陸したのが午前10時頃で、台風26号はそれより早く午前0時過ぎに御前崎の西方に上陸しています。91.0m/sが何時に観測されたのかわかりませんが、ルート的には26号がもたらした日本最高記録なのでしょう。山梨県内では170名以上の死者・行方不明者が出ています。
さて、1964年8月に設置された富士山レーダーは1999年に運用が終了、麓の富士吉田市立富士山レーダードーム館に移設されています。

南極の福島ケルン
Google Earthプロで南極の昭和基地を検索したところ、一緒に「福島ケルン」にピンが刺さっています。Google先生は私を挑発しているに違いありません。「ほら、気になるだろう。調べてみるがよい」と言われているようです。

ケルン(ケアン)とは積み石のことのだそうです。山岳の積み石は頂上を示したり、道標代わりに積み上げたりすることもありますが、福島ケルンは墓標としての積み石です。
1960年10月10日、激しい吹雪の中、犬の餌やりと、遠征用のカブース(そり付の移動小屋)の点検に出かけ、基地からわずか数十mの所で行方不明になりました。
国立極地研究所>昭和基地NOW!!>越冬成立式・福島ケルン慰霊祭2009年2月3日
折悪しく、その時、昭和基地に滞在していたベルギー南極観測隊の隊員にも行方不明者が出ており、その捜索のため昭和基地が手薄になっていた時でした。
結果、ベルギー隊の隊員は救助に成功しましたが、福島隊員は発見できず、懸命の捜索もむなしく、10月17日に死亡と認定されました。
8年後、第9次観測隊によって、遺体が昭和基地のある東オングル島の隣の西オングル島で発見され、その地で荼毘に付され、遺骨の一部がこの福島ケルンに納められています。
遺体は1968年2月に4キロ先で見つかっています。福島ケルンは高さ2.5mということですので、もちろん重機を用いて積み上げられたものでしょう。
昭和基地の気温の推移
南緯69度の昭和基地に設けられた観測所の観測値は、気象庁Webサイトには1957年2月以降が掲載されていますが、欠測の多い初期を除いて1967年以降をグラフにしました。

国内とは異なり、幸いにも温暖化の傾向が見られるグラフではありません。
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