家が流され橋が沈んだ黄瀬川の源流は御殿場

7月初めの豪雨災害が年中行事になりつつあります。

黄瀬川大橋

7月3日午前10時頃、静岡県沼津市と清水町の市町境に架かる県道230号線の黄瀬川大橋が沈み、橋はVの字型に折れ曲がりました。「大橋」と称するには物足りなさを感じないわけではありませんが、沼津バイパスができるまでは国道1号線ですので、1号線に対する「尊称」なのかもしれません。

黄瀬川大橋

支流が合流した直後にカーブがあり、実質的に川幅が狭くなって黄瀬川大橋に流れます。黄瀬川大橋には橋脚が4本あります。沈み込んだのはもっとも西側(沼津市側)の橋脚です。

2019年6月撮影のストビューを見ると、4本の橋脚のうち清水町側の2本については、(平時は)さほど水流を受けることはないようです。

沈み込んだ沼津市側の橋脚がもっとも負担の大きいポジションにあったものと思われます。

家屋の流出

黄瀬川大橋が沈む前に、黄瀬川の上流3キロほどのところで1棟の家屋が流出しています。午前8時半過ぎということです。

家屋の流出

流出した家屋は牧堰の右岸(西側)です。ここもカーブのあとに川幅が狭くなっています。衛星写真を拡大すると、流出家屋の100m上流では護岸工事が施されています。ここが補強されたために、流出家屋ではより強い負荷がかかったのかもしれません。

流出した家屋は鮎壺の滝で瓦礫になったはずですが、時系列としてはこの瓦礫が黄瀬川大橋の橋脚にダメージを与えた可能性を排除できません。

アメダス御殿場とアメダス三島
アメダス御殿場とアメダス三島(地理院タイルを加工)

黄瀬川(青)の源流は御殿場です。黄瀬川はJR御殿場線沿いに南流して、伊豆半島を北流する狩野川(ピンク)に合流します。黄瀬川大橋は合流地点から2つ目の橋です。合流地点に近い下流の黄瀬川橋は2011年から2014年にかけて架け替え工事がおこなわれています。

富士山南東斜面に降った雨は伏流水として潜ってしまうのかもしれませんが、愛鷹山の東斜面に降った雨は黄瀬川が一手に引き受けます。黄瀬川大橋にもっとも近いアメダス観測所は三島の元測候所です。3.5キロしか離れていませんが、アメダス三島付近に降った雨は大場川(紫)を経由して狩野川に合流します。

黄瀬川の源流は御殿場

アメダス御殿場は中央公園の敷地内です。通路がクロスする中央広場で西を向けば富士山です。標高は472mとされています。

アメダス御殿場

2020年の観測値は次のとおりです。1976年観測開始ですが、2020年の降水量は観測史上3位でした。全国54位ですので、もともと雨の多い地域です。

年降水量3524.5ミリ54位/1293地点
年平均気温13.9℃467位/922地点
年最高気温35.0℃569位/922地点
年最低気温-4.7℃375位/922地点
年較差39.7℃677位/922地点
年平均風速2.6m/s284位/921地点
年日照時間1735.8時間438位/841地点
▲アメダス御殿場の2020年観測値

7月1日から3日間の御殿場の1時間降水量は次のように推移しています。7/3午前9時までの12時間で300ミリを超えています。十分に災害レベルです。

アメダス御殿場の時間降水量
▲アメダス御殿場の時間降水量

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