廻船問屋が建てた小学校と燈明台と伏木測候所

廻船問屋の長男として生まれた藤井能三は27歳のとき、教師を招き教科書を用意して伏木小学校を開校します。1873年（明治6年）のことです。規模や地域や対象年代が異なるとはいえ、早稲田大の前身・東京専門学校は1882年（明治15年）の開校です。

藤井能三は1877年（明治10年）には港湾整備の前提として、西洋式の伏木燈明台（とうめいだい）を建設します。1999年、復元された灯台が場所を少し変えた万葉防波堤に設置されています。燈明台に設けられたのが私立伏木測候所です。

▲伏木測候所

旧・伏木測候所が無人化されたのは1998年ですが、2005年には気象資料館として公開されています（火曜定休）。観測露場はこの裏ですが、風速計は現役のようです。

燈明台は小矢部川河口にありましたが、測候所は1892年に移転しており、高台の現在地に移転したのは1909年です。

所在地は「高岡市伏木古国府（ふるこくふ）」です。その名のとおり、かつては国府が置かれていたのが伏木です。気象資料館には「越中國守館址」の石碑があり、近所の勝興寺には「越中國廰址」の石碑があります（国府は平安末期に新湊に移転しています）。

伏木は富山県内最古の観測所ですが、県内最高気温も伏木の39.7℃です。39℃台は2度観測されています。

▲富山県内観測お所の最高気温

2度移転していますが統計断絶を示す赤線は入っていませんので、灯台時代からグラフ化しても問題はないようです。年平均気温の推移は次のとおりです。

夏日の日数は次のように推移しています。2022年は夏日121日と猛暑日15日が過去最多でした。

冬日（最低気温0℃未満）も集約してみました。

2020年の観測値は次のとおりです。年平均気温の15.1℃は伏木では初めての15℃台でした。

▲アメダス伏木の2020年観測値

2021年の観測値です。伏木の年降水量の平年値（1991-2020年）は2281ミリです。2600ミリ降ると、さすがに200位台に入ってくるようです。

▲アメダス伏木の2021年観測値

2022年の年最低気温はマイナス2.6℃です。同じマイナス2.6℃だったのは静岡、神戸空港、米子、宇部、（鹿児島の）牧之原などです。