世界平和女性連合創設大会の文鮮明氏スピーチ

1992年4月ソウル五輪スタジアム

世界平和女性連合は1992年4月10日にソウル・オリンピックスタジアムで創設大会を開いています。15万人が参加したようです。その際に語られた文鮮明師のスピーチです。引用元は信者サイトになります。

10 女性連合の会員の皆様。そして各国の代表の皆様! 今から七十二年前、私が生まれた一九二〇年は日帝の植民地下にありました。その時私は、強大国に蹂躙される弱小民族の苦痛と悲しみがいかなるものであるかを骨身に染みて体験いたしました。
11 私が青少年時代であったその当時には、この悲惨な戦争と罪悪の世界を救援する道が何であるかを深刻に悩まざるを得ませんでした。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

1941年4月、文鮮明氏は関釜連絡船で下関に降り立ちます。江本龍明の日本名で通った早稲田高等工学校を2年半で卒業して朝鮮半島に帰ります。1944年10月には日本滞在中の抗日運動で逮捕され、釈放されたのは1945年2月ということです。

文鮮明氏は1948年2月にも社会秩序紊乱罪で逮捕され、平壌刑務所から興南に移送されて投獄生活を送ります。投獄中に大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が成立し、やがて朝鮮戦争が始まります。国連軍が興南に攻め入り、囚人たちを解放したのは1950年10月だったようです。

興南

世界基督教統一神霊協会

文鮮明氏は平壌からソウルを経由して釜山に避難し、1954年に「世界基督教統一神霊協会」を設立します。

12 結論は、政治や軍事、経済力による救援は表面的、一時的なものにすぎず、宗教による救援だけが最も根本的な道であることを悟ったのです。
13 なぜなら、宗教を通じた神様の救援摂理は、悪なるサタン勢力が奪っていったすべての所有権を、反対を受け迫害を受けながら受け継いでいく戦略であるからです。悪の勢力は善を打ちながら滅んでいき、善は打たれながら悪を自然屈服させる道であることを教えるのが宗教なのです。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

悪は滅び、善は悪を「自然屈服」させるのだそうです。「自然屈服」するのなら放置してもよさそうなものですが、翻訳の問題があるのかもしれません。いずれにしても、世界平和女性連合の創設大会では宗教がベースにあることが強調されています。

21 人類の始祖アダムとエバが犯した原罪によって、偽りの父母となったため、再臨されるメシヤは人類の善なる始祖として、全人類を新しく生み直す真の父母として来られるようになるのです。
22 真の父母は、空中で雲に乗って再臨されるのではなく、今日この時代、我々が生きているこの地上に、韓国人として来られ、平和の統一世界を主導されるようになるのです。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

第三者目線でまるで他人事のように語っていますが、「真の父母」とは言うまでもなく文鮮明&韓鶴子夫妻のことです。文鮮明氏は今の北朝鮮生まれですが、あくまでも「韓国人として」「平和の統一世界を主導」するのです。

飛躍と妄想かも?

23 私は過ぎ去った七十年の歳月において数多くの迫害を受けながらも、屈することなく、このような教えを全世界で実践してまいりました。このように見る時、私の妻である韓鶴子総裁は、私と共にこの苦難の道を歩んできた全世界の女性の代表者であると言わざるを得ません。
24 夫である私が、天のみ旨に従い正義の道を歩む間、不義の勢力から迫害を受け、投獄される辛苦を共に味わいながら、私の妻は良心的で正義感のある女性たちによる新しい平和運動を起こす決意をしたのです。それがすなわち、きょうのこの大会として結実したのです。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

文鮮明氏が「数多くの迫害を受けながらも、屈することなく」活動を続けてきたのが事実だとしても、だからと言って、その夫人である韓鶴子氏が「全世界の女性の代表者」だとするのはいささか発想が飛躍しているように私には思われます。

25 民主・共産に分断された韓半島は、世界の中心地であり、南北統一こそが世界平和と統一の鍵になることを知り、私は世界の至る所で今日まで、この偉業のために全身全霊を傾けてきました。昨年(一九九一年)十一月、私が北朝鮮を訪問して金日成と会談したのもこのためでした。
26 今や世界のすべての宗教統一の日も遠くありません。韓半島における南北統一の日も遠くないのです
27 私の妻が総裁を務める「アジア平和女性連合」のソウル大会に、世界七十カ国の女性代表が列席する中で、きょう「世界平和女性連合」を創設する趣旨もここにあります。大韓民国が神様の救援摂理の中心国家であり、その祖国であるためです。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

ソウルで開かれているわけですから、韓国が「中心国家」なのでしょう。「南北統一の日も遠くない」はアジテーションとして理解できなくもありませんが、「すべての宗教統一の日も遠くありません」はもはや妄想のレベルです。宗教まで統一されてしまうなら、信教の自由は消滅するわけです。

選民思想?

31 きょう、この場に列席した十五万の韓国の女性たちは、韓鶴子総裁を尊敬し、「世界平和女性連合」の基本理念である「頭翼思想」と「神主義」で人よりも先に思想武装し、訪ねくる世界の女性たちを教育することのできる指導者たちとならなければなりません。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

はて、列席した15万人は「韓国の女性」ばかりではないはずです。それは置くとして「頭翼思想」とは右翼と左翼を統一させることのようです。

列席者は韓鶴子総裁を尊敬しなければならないばかりか「世界の女性たちを教育することのできる指導者」になることが求められています。したがって、女性連合の方々は指導者としての使命感に燃えて活動されているものと思われます。

32 人類の真の父母となられるメシヤが再臨するこの時代、南北が愛と真理で統一されるこの時代、世界のすべての宗教が正に一つとなるこの時代、そして、すべての人類が人種と理念を超越して、平和の新世界を正に創造するこの時、新しい歴史の創造のために召命された皆様方、全世界の女性に、神様は無限の祝福を与えてくださることでしょう。
33 「アジア平和女性連合」と、きょう創設される「世界平和女性連合」の前途に、神様の偉大なる祝福と栄光があらんことを祝願しつつ、これで私の激励の辞を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

文鮮明先生の講演>26. 世界平和と世界女性時代の到来

自分はメシヤだと自分に敬語を使うセンスにはちょっと馴染めませんが、どうやら「先に思想武装」した君たちは指導者なのだ、と語ったスピーチのようです。私がそのように理解した、というだけのことです…。

この創設大会の前には1267組の合同結婚式が行われています。韓国から325組、日本から801組、その他42か国から参加したということです。

女性連合の初代会長は?

ところで、別の信者サイトにも上記創設大会のスピーチが部分的に収録されています。邦訳が多少異なりますが、内容は同一であることから、上記スピーチは捏造されたものではなかろうと思われます。その信者サイトに次のような記述があるのです。

一九九二年四月十日、ソウル市、蚕室オリンピック・メインスタジアムにおいて、「世界平和女性連合」創設大会および「アジア平和女性連合」ソウル大会が、世界七十二力国の女性代表および全国の女性十五万人以上が参加する中で挙行された。同連合の役員として、「世界平和女性連合」総裁に韓鶴子女史、会長に崔元福女史が推戴された。

真の御父母様の生涯路程>第七節「世界平和女性連合」と世界女性時代

女性連合の初代会長は劉孝元氏夫人の史吉子氏だったはずです。ただし、1994年就任とされていることから、1992年の創設時は会長空席だったのだろうと私は思っていました。崔元福氏を初代とするなら、私が抱えていたモヤモヤが1つ解消します。

1992崔元福初代
1994史吉子第2代初代
1997文蘭英第3代第2代
2014文妍娥第4代第3代
2019文薫淑第4代
2023堀守子第5代
▲世界会長?

「北風と太陽」さんは崔妍娥(文妍娥)氏を第4代会長としていました。崔元福氏を初代だとすれば文妍娥氏は第4代になります。

一方、(今の)女性連合は堀守子氏を第5代としていますので、崔元福氏をカウントしていないものと思われます。崔元福氏は「二人お母様」と呼ばれていたそうです。なかなか意味深な呼称です。教団的には1998年に釈迦と祝福結婚しています。つまり、世俗上は独身です。

家庭を強調する団体ですから、さすがにそういう立場の初代会長では具合が悪いと考えたのかもしれませんし、あるいは何か別の理由があって除外したのかもしれません。

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