タテ型信号機の島・粟島の8月は沖縄より暑かった

粟島航路は新潟県村上市の岩船港から1日2往復程度です。1日2便の場合は、島から日帰りできるように設定されますので、本土からの日帰りは厳しいものがあります。所要時間はフェリーが1時間35分、高速船で1時間です。

距離的には岩船港より山形県・鼠ヶ関港のほうが近かったりします。そういえば、酒田港発着の飛島航路も直線距離なら秋田県・象潟（きさかた）港のほうが近いわけです、海運の歴史が日本海側を北上していったことの反映なのかもしれません。

▲粟島と飛島（面積は2023/04、人口は2020年国勢調査）

私は、能登半島～佐渡島～粟島～飛島～男鹿半島～渡島大島～奥尻島が一連の海底山脈上にあるものと思っていました。

たしかに佐渡と飛島はつながっていますが、どうも粟島だけはちょっと独特のポジションにあるようです。

【2024/07/15追記】1964年の新潟地震では、粟島全体が1.5ｍ隆起したということです。

Google Mapで「アメダス粟島」を検索すると粟島漁港付近の道路上にピン（赤）が刺さってしまいますが、おそらく黄色マーカーの区画が観測露場と思われます。

2016年5月31日に移転してきたようです。ストビューが2012年10月しかありませんので、確実に黄色マーカーとは言えませんが、形状からして間違いないでしょう。以前は学校の校庭の片隅に温度計・雨量計が、校舎の屋上に風速計・日照計が設置されていたようです。

その学校前には島で唯一の信号機があります。雪国を象徴するタテ型信号機です。あいにくアメダス粟島では積雪の観測が行われていません。実際にはそれほど積もることはないようですが、新潟だけにタテ型信号機の在庫が豊富だったに違いありません。

タテ型信号機の島は、この8月、沖縄のどの島よりも月平均気温が高くなりそうです。どうやら日本海の海水温が高いため、夜になっても気温が下がらないという現象が起きているようです。

これまでアメダス粟島で月平均気温がもっとも高かったのは1985年8月の28.3℃です。今月はこれを大きく上回りそうです。1985年8月と2023年8月の日最高気温・日最低気温は次のとおりです。

寒かった月と比較しているのではなく、これまでもっとも暑かった月と比較してこのグラフです。26日まで完全勝利です。8月10日は最低気温が30.6℃です。ヒートアイランド現象とは無縁の山形県境に近い島で最低気温が30℃以上とは困ったものです。

アメダス粟島でこれまで日最低気温がもっとも高かったのは2020年9月3日の28.8℃でした。今月だけでこれを5回超えています。

▲粟島の日最低気温

実は、アメダス粟島の最高気温は2019年8月15日の37.0℃がレコードです。小さな島ですので、フェーン現象が効く土地柄ではありません。日中の暑さより夜間に気温が下がらないことで平均気温が押し上げられているようです。

さて、アメダス粟島の年平均気温は次のように推移しています。

2020年から2022年の観測値は次のとおりです。

▲粟島の2020年観測値

▲粟島の2021年観測値