リトル・エンジェルスはマスゲーム派生ではなかった

平和の天使
創立年のナゾ
運営母体は「韓国文化財団」
国連公演に7万ドル払った？

平和の天使

私は旧・統一教会（統一協会）のリトルエンジェルスと北朝鮮のマスゲームは、同じ起源を持つものではないかと思っていました。

長崎市矢上町には「リトルエンジェルズ」という洋菓子店があります。東京都三鷹市には「リトルエンジェルス・インターナショナルスクール」がありましたが、今は「ムサシインターナショナルスクール東京」の名称です。

2020年11月撮影のストビューまでは「リトルエンジェルス」でした。英語による授業が行われているインド系の学校のようです。小中高＋幼児部です。ほかに、沖縄には「リトルエンジェルス保育園」があり、イギリスには「リトルエンジェルス」というロックバンドがいました。

いずれも旧・統一教会（統一協会）とは関係ないはずです。軟式の少年野球チームなどで「リトルエンジェルス」を名乗るチームも複数あるようです。ちょっと親バカが入った名称かもしれません。

統一教会系の「リトルエンジェルス芸術団」は、教団行事にもたびたび顔を出す7歳から15歳の少女で構成された民族舞踊団です。公式サイトによれば1962年創立とされています。

小∙中学生により構成されるリトルエンジェルス芸術団は、韓国伝統芸術団として、韓国の美しい文化芸術と韓民族の平和愛好精神を全世界の人々へ伝えるため、「太極旗を世界に」というスローガンのもと、1962年5月5日創立されました。
The Little Angels.＞平和の天使リトルエンジェルス

創立年のナゾ

ところが、文鮮明氏の自叙伝「平和を愛する世界人として」では1963年創設と記述されているようです。複数の信者ブログにその記述があります。当時は「仙和児童舞踊団」の名称だったようです。来日は20回以上です。

1962年5月「韓国文化財団」により創設
1965年9月　アイゼンハワー米大統領のための特別公演
1968年9月　メキシコ五輪の民族芸術祭に政府代表として参加
1971年1月　皇室御前特別公演
1971年11月　エリザベス女王のための御前特別公演
1972年11月～73年2月　日本公演（日劇、大阪サンケイホール、京都会館第1ホール、名古屋、神戸国際会館）
1973年12月　国連総会議場公演、日劇公演
1974年10月　日本公演
1976年7月　アメリカ独立200周年祝賀特別公演（ワシントンケネディセンター)
1981年11月　リトルエンジェルス芸術会館が完成
1985年5月　筑波科学博覧会公演
1988年9月　ソウル五輪開会式
1990年1月　日本公演（東京、名古屋、大阪）
1990年4月　モスクワ公演（1990年12月14日韓ソ共同宣言）
1990年7月　台湾公演（台北、台中、台南、高雄）
1992年7月　日本公演（東京、大阪、仙台、名古屋など）
1993年7月　日本公演（東京、大阪、福岡など14都市）
1994年7月　台北公演
1996年1月　日本公演（北海道、青森、仙台、新潟、東京など12都市）
1996年7月　イスラエル公演
1997年1月　日本公演（福岡、広島、長崎、名古屋、大阪、東京など11市で計16公演）
1997年7月　南米7都市公演（ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンなど22公演）
1997年8月　日本公演（北海道、仙台、青森、東京など13都市で計17公演）
1998年1月　日本公演（福岡、岡崎市、名古屋、大阪、東京など12市で15公演）　
1998年5月、北朝鮮公演（民間使節団として北朝鮮を初訪問、平壌で3公演）
1998年7月　日本公演（長野、千葉、北海道、大阪、東京、名古屋など10市で16公演）
1999年8月　日本公演（東京、福岡、神戸、静岡、新潟など9市）
2000年7月　日本公演（宮城、群馬、東京など7都市）
2001年1月　日本公演（東京、広島など10都市）
2001年7月　日本公演（札幌、長野、前橋など6都市）
2002年5月　日韓ワールドカップ開幕式（ソウル）
2002年7月　日本公演（東京、大阪、京都など10都市）
2003年2月　関西公演（大阪国際会議場）
2003年10月　上海公演
2004年2月　日本公演（福岡、広島など10都市）
2004年7月　中国公演（北京人民大会堂）
2005年7月　日本公演（東京、仙台など9都市）
3006年11月　トルコ公演
2007年1月　アメリカ5都市公演
2007年7月　日本公演（宮城、群馬、東京, 福島県, 千葉など7市）
2007年11月　パリ公演
2008年7月　日本公演（東京、福岡など7都市）
2010年6月　国連参戦16か国巡回公演（アメリカ、カナダ、コロンビア）
2010年9月　国連参戦16か国巡回公演（ヨーロッパ7か国、アフリカ2か国）
2010年11月　国連参戦16か国巡回公演（東南アジア4か国）
2011年11月　インド公演（ニューデリー）
2013年10月　シンガポール公演
2015年5月　ヨーロッパ公演（オーストリア、フランクフルト、ロンドン）
2015年11月　日本公演（東京新宿文化センター、神戸ポートピアホール、広島上野学院ホール、福岡宗像ユリックス）
2016年7月　ネパール公演
2018年2月　平昌冬季オリンピック開会式
2019年1月　日本公演（東京、大宮ソニックシティ）
2019年7月　コロンビア独立200周年記念公演（ボゴタで3公演）
2019年10月　日本公演（愛知国際会議展示場）
2022年1月　ドバイEXPO 2020特別公演

コロナの関係で最近は海外公演もご無沙汰気味です。日本公演も2019年に愛知国際会議展示場で開かれた「孝情文化祝福フェスティバル」の第3部が最後です。銃撃事件の被告が火炎瓶を持って足を運びながら入場できなかったイベントです。前夜祭で細田議長がスピーチしたあのイベントです。

最新の活動は、2023/07/27臨津閣（イムジンガク＝北朝鮮国境）のピースロード・イベント公演のようです。受験を控える小学6年生は公演メンバーから外れるのが慣例だそうです。中学生は同一敷地内にある系列の成和芸術中学校の生徒のみを受け入れているようです。

運営母体は「韓国文化財団」

運営母体は「韓国文化財団」です。2015年の日本公演も「韓国文化財団」が主催しています。どうやらウィーン少年合唱団がモデルということです。朴普煕（パク・ポヒ、1930-2019）氏のアイデアのようです。

この「韓国文化財団」については、朴氏が長く理事長を務めており、朴氏の長女・文薫淑（ムン・フンスク、1963-）氏が理事長職を引き継いでいます。1984年に交通事故で亡くなった文鮮明＆韓鶴子夫妻の第5子で次男の文興進氏と死後1か月後に霊肉祝福を受けたのが文薫淑氏です。

少女たちがいわば親善大使となり、各国首脳や元首たちに踊りと歌を届けるというシステムです。アメリカでは「韓国文化自由財団（Korean Cultural & Freedom Foundation、KCFF）」として資金を集めた時代があったようです。

数え切れないフロント組織の最初の団体がリトルエンジェルスだったけわけです。その成功に味をしめたのかもしれません。宗教には抵抗を示す人々を取り込み、要人に接近するアイテムとして活用されたものと思われます。

次のストビューはGoogle Mapで「リトルエンジェルス芸術団」として示される建物ですが、右側の紫看板？「센와 예술 중학교」は「仙和芸術中学校」です。

両者は一体のものなのかもしれません。ソウル市郊外のこの土地は趣旨に賛同した政府が寄贈したという話もありますが、私には確認することができません。

国連公演に7万ドル払った？

ユニバーサルアートセンター、仙和芸術中、仙和芸術高、景福小、仙和幼稚園、すべて教団系の施設です。

韓国で開かれた2度のオリンピック開会式だけでなく、サッカー日韓ワールドカップの開幕式でもリトルエンジェルスは登場しています。韓国の国際イベントには欠かせない存在なのかもしれません。

さて、1973年12月の国連総会議場での公演について、文鮮明氏は次のように語っているようです。

私がリトル・エンジェルスをつくってどんなに苦労していることでしょう。今も赤字を出しているのです。今回の国連で公演するのにも七万ドルというお金を現金で支払ったのです。
真の御父母様の生涯路程 5＞リトル・エンジェルス国連特別招請公演（一九七三・一二・二七、ニューヨーク、国連議事堂）

1973年は変動相場制に移行した年です。当時の為替レート280円で換算すると7万ドルは2000万円弱にしかなりません。愚痴をこぼすほどの巨額とは思えません。支払先がどこなのかという問題はありそうですが、まさか国連に払ったわけではないはずです。

数十人が移動するわけですから、旅費と宿泊費だけでそんなもののようにも思えます。1人40万とすれば50人で2000万です。当時は格安チケットはありません。世一旅行社の創業は1985年ですので、案外この方面に敏感だったのかもしれません。

朴普煕（パク・ポヒ、1930-2019）1957年「韓米文化自由財団」創設。1964年「韓国文化自由財団」創設。1982年「ワシントン・タイムズ」初代社長。1991年の文鮮明・金日成会談に「世界日報（韓国）」発行人として同席。1994年に金正日、中曽根康弘と会談。1995-98年「全国祝福家庭総連合会」第4代総会長。「世界平和連合」議長。「韓国文化財団」理事長（2000）、総裁（2012）、名誉理事長（2016）。