全長2500キロのカタコンベ
オデーサ市はウクライナ第3の都市です。人口は約100万人で、面積はWiki「オデッサ」のページの本文では「約160km2」とされ、右の囲みには「164.9km2」と記載されています。姉妹都市・横浜市のWebサイトでは、やけに少ない「約116平方キロメートル」です。
Google先生は「162.4 km²」と答えてくれます。英語版のWikiも調べてみましたが、面積の記載は見つかりませんでした。港湾都市ですので、埋め立てで面積が増えることはあり得ます。

オデーサには全長2500キロとされる地下迷宮があるそうです。カタコンベと呼ぼれているようですが、一般的にカタコンベとは地下墓地を意味します。パリやローマ、アレキサンドリア、ペルーのリマなどが有名です。オデーサのカタコンベは墓地として利用されたことはないそうです。
1830年代以降、地下から石灰岩を切り出すために掘られたトンネルということです。必ずしも統制がとれた状況で掘られたものではありません。複数の業者?が掘り進み、接続されたもののようです。トロッコ軌道が残っていたり、水没したり、シェルターとして利用できる空間があったり、さまざまです。
モスクワにも地下迷宮はあるはずですので、世界最大のダンジョンではないかもしれませんが、世界有数の地下施設であることは間違いなさそうです。
赤い扉
地下通路への入り口の1つではないかと見られる赤い扉をストビューで見つけました(違うかもしれません…)。
全長2500キロということは、長さ10キロのトンネルが250本ある計算になります。オデーサの市域は南北に長い形です。縦横のマス目状に掘られているとして、縦100本プラス横150本で250本になります。
100m間隔のトンネルだとすれば、東西10キロ・南北15キロのエリアに巨大地下通路が存在することになります。10キロと15キロを掛け算すると150k㎡です。ほぼオデーサ市域に匹敵するわけです。山手線内側の面積は約64k㎡です。
マウリポリのアゾフスタリ製鉄所とは異なり、もともとシェルターとしてつくられたものではありませんので、コンクリートで補強されているのはごく一部だということです。それでも避難施設・避難経路としては役に立つのでしょう。
気体の比重を調べてみました。酸素は空気より重く、二酸化炭素は酸素より重いようです。換気設備が伴わないと、多人数・長期間の滞在は難しいものかもしれません。
0.07 | 水素 | 1.05 | エタン |
0.14 | ヘリウム | 1.11 | 酸素 |
0.60 | アンモニア | 1.27 | 塩化水素 |
0.97 | 窒素 | 1.31 | フッ素 |
0.91 | アセチレン | 1.38 | アルゴン |
0.97 | 一酸化炭素 | 1.53 | 二酸化炭素 |
0.97 | エチレン | 2.49 | 塩素 |
いずれにしても全長2500キロという巨大空間ですので、二酸化炭素で埋まる心配はしなくてもよさそうです。
オデーサ年表
この都市の歴史は戦争の歴史でもあります。
15世紀 | オスマン帝国領 |
1787-1791 | 露土戦争 |
1772年 | ヤシ条約でロシア領 |
1774年 | 港湾建設が始まる |
1853-1856 | クリミア戦争 |
1865年 | 鉄道が開通 |
1914-1918 | 第1次世界大戦(一時は同盟国が占領) |
1920年 | ソビエト政権 |
1939-1945 | 第2次世界大戦(1941オデッサの戦い) |
1990年 | ウクライナ独立宣言 |
2014年 | オデッサの悲劇 |
【外部リンク】
■Newsweek>ウクライナの巨大地下空間、オデーサにも存在 総延長2500キロのトンネル網で防衛有利に(4/29)動画あり
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