吊橋の長さはセンタースパン(主塔間距離)基準

チャナッカレ1915橋

トルコのダーダネルス海峡に架かる世界最長の吊橋・チャナッカレ1915橋(チャナッカレ大橋)が開通しています。

ダーダネルス海峡

もともとはトルコ共和制100周年となる来年の完成だったはずですが、ずいぶん早い開通です。Google Earthの最新画像は1年前です。2つの主塔だけが確認できます。

チャナッカレ1915

17か月も早い完成は不安を煽られてしまいます。家でもそうですが、工期は延びるぐらいのほうが気分的にはむしろ安心だったりします。

センタースパン

吊橋の場合、橋の長さは橋の全長ではなくセンタースパンと呼ばれる中央主塔間距離が使われるのが一般的です。

センタースパン
株式会社長野技研>【事例紹介⑨】トルコ『1915チャナッカレ橋』 技術支援業務

上の図では全長4,163mですが、今回の報道ではチャナッカレ1915橋の全長は3,563mとされています。気になるのは「1915」です。1915はセンタースパンの距離ではありません。Wikiに次のような記述がありました。

第一次世界大戦中のガリポリの戦いにおいて、トルコ海軍が連合国海軍に勝利を収めた1915年3月18日を記念するものである。また主径間の長さ2,023メートルは、2023年にトルコ共和国が百周年を迎えることを意味している

Wikipedia>チャナッカレ1915橋

トルコは第1次世界大戦の敗戦国です。連合国に勝利したガリポリの戦いとはその局地戦です。オスマン・トルコ帝国は1918年に降伏しますが、この敗戦はトルコ革命に発展します。共和制を宣言するのが1923年です。

幻のメッシーナ海峡大橋

2020年11月の360度写真です。やはりずいぶん早い完成です。投稿者名がハングルですが、韓国企業が受注していますので工事関係者が投稿したのかもしれません。

吊橋は理論的にはセンタースパン4キロまで可能だと言われています。イタリアの長靴の先端とシチリア島を結ぶセンタースパン3.3キロ(全長5,070m)のメッシーナ海峡大橋は、2008年着工で2015年完成の予定でIHIなどが受注していましたが、政権交代などで計画は中止になりました。

メッシーナ海峡大橋の計画は、その後復活してはまた中止になっているようです。中国では2019年にセンタースパン1,700mの楊泗港長江大橋(武漢)と1,688mの南沙大橋(広州)が開通しています。世界一はいずれは中国に持っていかれるのでしょう。

【外部リンク】
■本州四国連絡高速道路株式会社 長大橋技術センター>長大橋ランキング
■株式会社IHI>世界最長のメッシナ海峡大橋の建設工事を受注
■ハンギョレ>世界最長の吊り橋「トルコのチャナッカレ大橋」、韓国の技術力で竣工(3/21)

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